静かな生活  微睡の 私記

 
さりげなく 簡素に生きたい。傍らに コーヒーがあって
とっておきの本たちがあれば それだけでいい
 

幼子の笑顔に勇気づけられて パリの憂鬱的

2008-07-23 21:35:36 | 散歩

 表は暑いからと、外出を控えても身体には悪いのです。熱中症を心配しながらも、道路わきの違法駐車の心配があって、結局バスにする。歩行に適当な、たとえばなんとか神社前・・・のバス停で下車して少し歩くことは最近覚えた散歩の方法です。



 さて、良い気分になった頃合いを見て、近くの食べもの屋さんに入る。  メニューから「茸パスタ」を注文して、待っていると、子供をだっこした若いお母さんがお店に入ってきたのです。だっこした女の子は、ニコッとわたしに笑いかけます。・・・どうしたものか、わたしはどぎまぎしてしまった。というのも、この春に読んだボードレールの巴里の憂鬱の一節“老婆の絶望”と重ね合わせてしまったからです。 もし、今、この幼児に笑顔で応えると、驚いてわーっと泣きだしてしまうのではないか、その子はいつもぴちぴちと若い母親を見慣れているから、笑顔を作るといよいよ皺皺の女に変貌するわたしに恐れを感じるだろうから・・・。でも女児は、いつまでもにこにこ、笑顔を向け続けます。



 ようやくわたしは勇気を出して、おずおずと笑顔を返しました。しつこく思われないように、声を出さずに、笑顔だけを返し続けました。パスタが殊の外美味しかったけれど、バスの来る時間が気になって、半分残してお店を出ました。巴里の憂鬱は感動的な詩の本です。ボードレールはわたしの心を爽快にしてくれました。



 明日は土用の丑の日。どこかでウナギを買って、忍び寄る老いに備えて鋭気を養いましょう。今日はとても爽やかな気分を幼子に頂いた、ステキなお散歩日和でした。