ひかりとしずく(虹の伝言)

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『脱原発と自然エネルギー社会のための発送電分離』を読みました!

2013-02-09 | ともこレポーターによる記事
合同ブックレット、eシフト|エネルギーシリーズ|vol.②
『脱原発と自然エネルギー社会のための発送電分離』星川淳監修/合同出版 を読んで
執筆者(星川淳、飯田哲也、山下紀明、開沼博、
竹村英明、及川斉志、小田嶋電哲、平田キ仁子) 

発送電分離とは、電力を送る送電網を「公共の財産」にして、どの発電業者にも開放するということです。(現在は電力会社が保有しています。地域独占は電力だけです。
日本の電力システムの問題は実はそのベースの社会、政治、産業構造の問題に直結していて、そこが核心なのです。政治、国策が絡んでいます。)
例えば、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーの業者も商売ができるようになります。消費者がクリーンな電気を選べるようになります。
 
だから、発送電分離、電力自由化は、脱原発、再生可能エネルギーへのシフトチェンジのために必要なのです。一昨年前にはてんつくマンこと、 軌保博光さんがネットで呼びかけ、全国から署名を集めて政府に要望書と共に提出をしたのですが、変化しないですね。
 欧州では、電力の小売と配電が違う会社で担っている事もあり、子会社が沢山存在します。一番早く自由化したのはイギリスでした。
 1986年の4月26日のチェルノブイリ原発事故後、ドイツの各地で生じた『原発に反対する親の会』ですが、その年末からは解散していきました。ところが、シェーナウという町ではその後、『原発のない未来のための親の会』となり、目的を「環境保護と健康のために原子力の利用を即座に断念する事を可能にする方策を支援し、実行に移す」としました。

★ エネルギーの節約の推進
★ 節電による経済的な倹約
★ 地域分散型の発電の推進

この3つを取り組みにして、節電キャンペーンを始め、競争で一番になった家庭には賞品を贈る等楽しいイベントを行っていきました。なぜ節電かというと、一番環境に優しい電力は生産されない電力だから、というのです。すると、平均20%の節電が可能であることがわかりました。バンドや歌で楽しげに節電をアピールしました。
 
車の利用も、「相乗りセンター」というものを作り、過剰な利用を少なくしていきました。また、チェルノブイリの子どもたちを支援する運動、保養にも携わりました。
 
そして、ラインフェルデン電力(KWR)に対して3つの要求をします。
〇 原発への関与をやめること(出資と買取)
〇 節電を促す料金体系を設定すること
〇 小型コジェネレーション装置(発電とその廃熱利用のシステム搭載の装置)からの電力買取価格の引き上げをすること

KWRがこの要望に応えないと、エネルギー経済法の改正と向かいます。ここで、20年契約を前倒しに町に要求してきたKWRと真っ向から対決となります。

親の会の代表、ウルズラ。スラーディックさん、「チェルノブイリ原発事故後、政府が何もしなかったことに対する不満が当時のモチベーションでした。当時の社会は何も変わらなかったのです。そうした不安は十分に私たちの原動力になりました。」
 
1990年11月、『シェーナウ電力網を買い取る会』を設立します。方法は住民投票でした。住民に賛同を得るために、親の会はさまざまなイベント、環境をテーマにした講演会、若者の暴力、子どもの予防接種についての話し合いなど)を行い、そこにチラッと投票の事を話して行き、住民の意識を徐々に引き込んでいきます。また、専門家にも協力を求め、自分たちの考えている方法の証明していったのです。

投票で勝利した会はその後、電力会社となります。シェーナウ電力会社(EWS)は
買い取り価格のUp、基本料金を下げ、使った分Kw/hの使用量をUpし、節電へと向けます。
 
1996年にはEU電力自由化指令が出たことにより市場を国内へと向け、競争も激しかったものの、“エコ電力”として注目されます。会社も4つの有限会社に分けます。
・「電力・ガス網EWS」・「エネルギーEWS」・「電力・ガス販売EWS」
・「ダイレクトEWS」再生可能エネルギー法に準拠する電力のマーケティング
(これらからの出資で『EWS電力網を買い取る協同組合』を賄うのです。)
 
「大きな目標だけでなく、小さな目標を立て、一歩ずつ進んでいくことが大切です。1つの目標を達成したら、みんなでお祝いをするのです。」という明るいシェーナウの人々をモデルに日本でも一歩を踏み出したいと思います。 

今、日本各地で自家発電システムを利用している所が増えています。神奈川県の藤野電力という旧藤野町地区の会社では、ソーラーパネル、小水力発電(手仕事と工夫で作成したもの)で自家発電を行っています。それでイベントやお祭りの電源供給を行ったり、ミニ太陽光発電システム組み立てワークショップを出張もありで行っているようです。独立ソーラーのコンセントを自然住宅の外につける(ソーラーパネルの発電能力50w~100w)という、ちょっと、見てみないと想像できないのですが、そんな事をしているところもあります。
ドイツでは自然エネルギー開発もルール化されています。審議会により、風力発電は人の住んでいる所から1キロ離す、野鳥の通り道には建てない、周りの住民の合意を得る(メリットが地元に還元されないので、反対が多い)決められています。今の日本には、存在していませんが、これらを考えて働くコーディネーターが今後は必要になってくるでしょう。

あとがきでも、ドイツ、シェーナウの住民の決意と行動力に学びたいとあります。
私も切に電力の自由化を願います。私たちの暮らしに電力は欠かせません。早く後ろめたさを感じない暮らしをしたいです。

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