すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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禁煙を税金で支援すべきか?

2011年06月22日 | 日記
 昨日(21日)の福祉生活病院常任委員会で、6月補正予算で提案されている禁煙治療費助成事業費について、補正予算から削除すべきだという修正案を提出しましたが、否決されました。
 この事業費は、ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200未満の人は、禁煙治療を受けるとき、保険適用の対象外となるため、これらの人が治療を受けるときに保険適用相当額を支援しようというものです。

 この事業が良い事業か、悪い事業かと問われれば、良い事業だと思います。ただ、非常に厳しい財政状況の中で、実施すべき事業かちえば、私は疑問です。それで、修正を提案しました。
 その理由は①喫煙は大人が自己責任でするもので、自己責任で吸い始めた以上、禁煙も自己責任ですべきではないか②税金は喫煙者も、非喫煙者も治めていますが、喫煙者、それも、まだ、呼吸器疾患やがんなど合併症の低い段階の人に対して税金を使うことに非喫煙者の理解が得られるのだろうか③保険適用になっている人で治療を受けているのは、肺がんなど別の病気を発症し、その治療のために、禁煙治療をしている人が多いのが現実で、禁煙を薦める効果があるか疑問④禁煙治療は、禁煙治療中に断念する人が多く、しかも、治療後9カ月の実績では、55%の人が再度、喫煙を始めており、治療実績は必ずしも高いとはえない⑤健康保険の制度的欠陥を埋め、がんの発症率を抑えることで健康保険の支出抑制になるというが、国保の保険者は市町村であり、県より、市町村がする事業ではないのか⑥この事業を対象となるのは20歳未満から喫煙をしていた人が想定され、違法行為者に税金で進んで支援していいのか……などなどの理由からです。
 平成18年に禁煙治療の保険適用を決めた中医協も、適用すべきかどうか、議論が重ねられていました。総医療費抑制の視点から、効率性、有効性を厳しき審査して、ニコチン依存症として治療を始めるべきなのはブリンクマン指数200以上という線引きがなされていると、厚生労働省の担当官が聞きとりに対して話していただきましたし、当時の中医協の議事録や資料からも、様々な意見があったことが読み取れます。
 賛成したベテラン議員は「昨年6月に「鳥取県がん対策条例」を制定した経緯があり、私の意見はわかるが、ここは贅沢でも、若者の禁煙を支援したい」と述べ、別のベテラン議員も「喫煙を始めた年齢が低いほど、合併症の発症率が高く、依存性も強いので、税金を使ってでも治療を促進すべき」と話されました。これらの意見は見解が異なるものの、示唆に富むものです。ところが、ニコチン依存症の治療費助成費であるのに、ある若手議員は「1本でも煙草を吸って、吸いたくなるので必要」というもののありました。医療の問題は感情の流されやすいのですが、きちんとした医学的知見を調べた上での議論が必要だと思います。

 結局、賛成は提案した私だけで、否決されました。ですが、本会議に再度提案することはしません。私は副委員長でもありますし、しっかりと議論したうえでの否決ですから、議決責任が私にもあると思うからです。ただ、中医協の水準を超える治療を推奨するのですから、福祉保健部には、治療実績の確認と追跡調査をきちんとして、事業が有効であったかどうか検証をして欲しいと要望し、担当者は「当然、そういたします」と答えていただきました。文句や注文を付けるだけでなく、疑問があれば、今後も提案の修正を含め、実行性のある提案を続けて参ります。
コメント (8)
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