「関西広域で考える男女共同参画フォーラム」が、17、18の両日、倉吉未来中心でありました。両日とも参加するつもりで楽しみにしていたのでが、17日は竹内市長のご母堂様のご葬儀に参列させていただきましたので、18日だけの参加となりました。18日のメインは鼎談。樋口恵子先生をコーディネーターに、パネリストは関西広域連合協議会会長で元関電社長の秋山喜久さん、元上勝町長で、もくさん社長の笠松和市さん、それに平井知事。
「人口激減社会での地域の活性化を考える~~女性の能力活用と多様な生き方が紡ぐ社会の可能性」をテーマの三人が言葉を交わしたのですが、秋山さんが「女性の活力を大事にすることが企業には大事。税制など行政も考える点がある」などと話されると、樋口さんが「20年前に提言したことを、経済界のトップが話された。時代が変わったと感じます」とコメントされていたのが印象的でした。
フォーラムを終え、会場を出てくると、樋口さんの新刊書のサイン会が催されていました。
ミーハーの私は、ちゃっかりサインをもらって帰りました。
会派希望(のぞみ)は15日、平井知事に平成26年度当初予算に対する要望を提出しました。副知事、教育長、統括監、総務部長が同席。我々の会派は所属議員5人が参加。横山会長が要望を知事に手交。政調会長の私が説明しました。以下、要望は長文になりますので、5分割して全文をアップします。
平井知事は平成23年4月、「みんなで やらいや 未来づくり」というキャッチフレーズの下、5つのアジェンダを掲げて当選されました。このアジェンダは未来づくり推進局の手で、政策目標となり、2期目の平井県政は、この政策を力強く実現するための日々であったのではないでしょうか。そして、アジェンダの根底にある「県行政が県民の皆様と手を携えて、鳥取県から日本を変える、鳥取の誇りを創造するチャレンジ」という方向性は間違っていなかったと私たち会派希望は考えています。
知事選挙の関係で平成27年度当初予算が骨格予算となることから、平成26年度当初予算案は、アジェンダを政策として完成させる予算でなければなりません。ですから、パートナー県政を完成させる予算であった欲しい、重箱の隅まで目が行き届いた予算であって欲しい、実効性と即効性、そして、将来に向かって県民が夢を抱ける予算であって欲しいと強く願います。
平成26年度当初予算に対する会派要望は、アジェンダと政策目標に添ってまとめました。そのため、要望事項は多岐にわたりましたが、平井県政2期目のアジェンダと政策目標は、会派希望の政策的方向性と一致する部分が多いことから、平成25年度の事業継続を求めた事項も少なくありません。精査いただき、1つでも多く、要望事項を予算化し、実現していただくことを望みます。
【Ⅰ】パートナー県政
Ⅰ―0 予算編成の基本
Ⅰ-0-1 消費税等の増税のよる県内経済の疲弊を防ぐため、未来づくり財政誘導目標を平成26年度予算は緊急避難的に停止し、県内の景気動向が冷え込まない積極的な予算編成を心がけていただきたい。
鳥取県の地方交付税は平成16年度から平成19年度にかけて約250億円も減額され、財政力指数は全都道府県中45位の厳しい財政状況の中にありながら、経常収支比率1位、将来負担比率3位という堅実な財政運営をされてこられた手堅い財政手腕にまず敬意を評します。「未来づくり財政誘導目標」は、県債は平井県政2期目が始まった平成22年度の県債残高3,677億円を超えず、一方、基金は300億円以上を維持し、当初予算編成時でのプライマリーバランスを黒字化するとなっています。しかしながら、平成25年度の予算編成時、このままではプライマリーバランスは平成26年度末には179億円の赤字、基金は272億円と300億円を切ると試算されていました。財政誘導目標を達成するためには、さらに大幅な予算の切り詰めをしなければなりませんが、すでに鳥取県は不要不急の支出削減には積極的に取り組んできており、消費増税で県内景気の後退が予想される中、これ以上の予算削減は県民の暮らしに大きなダメージを与えかねません。せっかく達成してきた「未来づくり財政誘導目標」を放棄することは断腸の思い出はありますが、平成26年度当初予算の編成にあたっては、県内の景気動向を注視しながら、積極的な予算編成にしていただくよう望みます。(11月会派要望時 【Ⅰ】-1)
Ⅰ-0-2 県財政健全化のため、地方が使える財源を確保するなど、国への働きかけを強化していただきたい。
三位一体改革による地方交付税の影響はマイナス234億円と計算されています。加えて、臨時財政対策債は増え続け、国に合わせて人件費を削減するよう求めて交付税を減額するなど地方への支出を一貫して削減してきました。法人税は本店所在地で一括徴税されるなど日本の徴税制度は中央集権的であり、交付税制度は、その再配分をなす役割を負っているはずでが、政府の都合のいいように運営されているとしか思えません。
現在、5%の消費税のうち、地方消費税収が1%、消費税収のうち地方交付税分が1.18%で、計2.18%が地方の税収ですが、4月の8%へのアップで、地方消費税が1.7%(現行比0.7ポイント増)、地方交付税が1.4.%(同0.22ポイント増)で、地方の税収分が3.1%(同0.92ポイント増)に増えます。しかし、来年10月の10%への税率アップでは、地方消費税分が2.2%(同1.2ポイント増)、地方交付税分が1.52%(同0.34ポイント増)で、地方分は3.72%(同1.54ポイント増)に増えると説明されていますが、用途別に見ると、地方消費税収分の1%を除く、3.72%は地方の社会保障財源(+1.2%)に充てるとされており、地方が自由に用途決めることが出来ず、トータルで見ると地方財政が苦しくなるようなことのないよう地方を重視した税制改革を進めるよう国に働きかけることを望みます。
加えて、今回の消費税率のアップは、税と社会保障の一体改革としてなされたものです。しかしながら、国の議論を見ていますと、年金、老人医療、介護の高齢者3経費に議論が終始しているように思えてなりません。社会保障は障がい者福祉、医療、子育てなどを含めて、はじめて完結できるものと考えます。消費税の税率アップに合わせ、国と地方を通じて持続可能な高品質な社会保障が実現できるよう全国知事会等と連携して議論を巻き起こしていただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅱ】-2)
Ⅰ-1.県民参画基本条例制定へ
Ⅰ―1-1 世論調査の手法を用いた定期的な広聴制度を導入していただきたい。
県政運営における県民参画の基本理念を定めるとともに、県民参画のための情報公開、広聴及び県民投票の基本的事項について定める県民参画基本条例が昨年3月22日成立しました。「県が保有する県政に関する情報は、県民共有の財産であり、県民は、当該情報に対して知る権利を有する」と同条第3条は県民の散る権利を明確に宣言し、第6条で「県は、施策の立案、決定、実施、評価、見直し等の過程の多くの段階において県民に情報を提供し、県民の意見を聴くための多様な手法を用いるよう努めなければならない」と県に責務を定めたことは、個人情報保護法、特定秘密保護法と知る権利の擁護より、情報を管理する風潮が強まる中、鳥取県の民主主義の確立に大きく寄与するものと期待しています。
しかしながら、県民電子アンケートや県政出前説明会などは条例の制定以前からの継続であり、条例の制定を受けた顕著な動きが県民の皆様には見えていないように思えます。県庁や総合事務所を訪れた人、あるいは、県の会議やイベントなどで集まった人から県政への意見や批判を集めるアンケートが簡単に出るように、県民課にアンケート集計システムを導入することを望みます。マークシートの光学読み取り装置の価格も安くなっており、調査回数が増えれば、費用対効果は大きいと考えます。
Ⅰ-2.鳥取力創造運動の展開
Ⅰ-2-1 鳥取力創造運動支援補助金の拡充継続を求めます。
鳥取で活躍する「人財」と「豊かな地域資源」を、県内外の「顔が見えるネットワーク」でつなげることによって、鳥取ならではの強み、ポテンシャルを最大限発揮する「鳥取力」創造運動は、「みんなで やらいや 未来づくり」の中心施策です。地域づくりなどに取り組む住民団体やNPO、企業などの多様な主体を応援する鳥取力創造運動支援補助金は、補助対象も広く、使いやすい補助金として県民の人気も極めて高いので拡充継続を望みます。加えて、それぞれの団体が鳥取力を自立的かつ自立的に発揮できるようになるためには、活動の継続が重要ですが、スタートアップ型での継続は2回までで、3年以内に発展型に進化しなければ補助金は打ち切られてしまいます。5年程度まで継続していただくことを望みます。
Ⅰ-3.ボランティア活動等の推進
Ⅰ-3-1とっとり県民活動活性化センターの運営が確かなものになるように支援と予算の計上を求めます。
とっとり県民活動活性化センターが昨年末から、ボランティアバンクとしての活動を始めました。ボランティアバンクが成功するかどうかは、運営団体が地域にどれくらい密着しているか、また、ボランティアを希望する県民とボランティアを求める団体をどれくらいネットワーク化しているかにかかっています。県内には市町村が運営している市民活動センターもあり、県のイベントなどを担当し、ボランティア希望者の個人データと運営ノウハウを蓄積しているNPOや市民団体もあります。県のセンターだからと上から目線になることなく、活動を始めた経験のないセンターという謙虚な思いで、市町村のセンターやNPO等に活性化センターへの協力を求めることが大事です。しっかりとした連携をしていただきたいと望みます。加えて、ノウハウやアイデアなどはタダと思っている人が少なくないようですが、これらは立派な知的財産です。無償でノウハウなど引き出そうとせず、相応の対価を支払うなどの配慮も望みます。これまでのボランティアの募集業務などに携わった方々からは、全県組織のセンターには無理がある。総合事務所の範囲くらいで運営すべきだという意見も聞きます。倉吉のセンターが一括して業務を担うのではなく、各総合支所にブランチを設置して運営する方法も検討していただきたいと思います。
Ⅰ-4.透明度全国ナンバーワン県庁
Ⅰ-4-1 施設管理業務の委託や指定管理を適正化し、そこで働く人たちの労働条件を改善されたい。
県施設の清掃、警備、植栽管理、空調などの設備保守などでは、業務委託入札や指定管理者制度の導入にあたっては、そこで働く人たちの労働環境を守る意味で、適正利潤が確保できる最低制限価格を導入するとともに、合わせて業務評価も導入することなどを昨年の新年度予算に対する要望で求めました。この要望に対して「委託の電子入札案件については、極端な低価格による過度の競争の状況が認められ、かつ、契約目的の確保のために必要と認められる場合は、総務部で実施している施設管理調達最低制限価格制度試行要領に準拠した適正な競争を確保するよう入札実施課を指導している。なお、適正な履行が行われない場合は、契約相手方に適正な履行を求め、それでも履行されない場合は契約解除を行い、併せて指名停止の措置を行う」との回答を頂きました。しかしながら、県外業者による低価格入札が散見され、清掃業務では障がい者の雇用創出のための制度を利用した例が少なからずあるとの指摘を聞き及んでいます。再度、制度について見直しをしていただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅱ】-4改訂)
Ⅰ-5.ハイブリッド行政の展開
Ⅰ-5-1 スカイマークで結ばれる都道府県との連携を深め、観光や商工行政を共同で進めることで、大交流時代を花開かせていただきたい。
スカイマークの航空路が12月、米子と神戸、茨城、成田の間に就航し、来春には羽田、那覇、札幌へ延伸し、いよいよ、鳥取県は大交流時代へ踏み出します。兵庫、茨城、千葉、沖縄の各県、北海道の観光や商工行政の担当部局と連携を取っていただき、観光客や修学旅行を誘致し合い、素形材や電子部品などを相互に販売できるように旅行会社や修学旅行担当の教師、部品の仕入れ担当者を招く費用などを計上し、しっかりと市場開拓をしていただくよう望みます。
Ⅰ-6.お役所主義の打破と筋肉質で効率的な県庁づくり
Ⅰ-6-1 県の工事や建築を施工したとき、適正な利潤が確保できる最低制限価格になるよう設計単価を厳しく検証していただくと共に、低入札価格調査制度は限定的に運用していただきたい。
県の土木や建築の工事を施工した企業の皆さんから「適正な利潤が確保できるような最低制限価格になっていない。落札しても損をするだけなので、入札に参加しない」という愚痴をよく聞かされます。担当部局からは「最低制限価格は、算出した予定価格に一定の乗率を算出している。乗率を引き上げることで最低制限価格を引き上げてきたが、現在は90%まで引き上げた。業者の皆さんの指摘のようなことはない」との説明を受けたのですが、この問題を調査する中で「設計のプロポーザル時、予定価格もその評価の一部となるため、予定価格を低く見積もることで、設計業者は受注しようとする傾向があり、今の予定価格の水準は適正値の6割から7割だ」という指摘も聞きました。この指摘が本当ならば由々しき問題と考えます。設計のプロポーザル時、設計業者が積算した予定価格が適正化どうか確認するとともに、工事や建築の入札時にも、再度、予定価格が適正かどうか県の責任で再度積算して、施工業者の皆さんの疑問に応えていただきたいと思います。
また、県の積算は、月間建設物価などの書籍に基づいてなされますが、月間建設物価で記載されている市場価格は、大手ゼネコンが一次卸業者からの購入価格がベースになっています。東日本大震災の復興や五輪に向けての社会資本の整備などで、資材費や人件費の価格は上昇傾向にあり、地方の、しかも、中小企業の購入は、思った以上に高値となるケースもあるそうです。県内の土木建設企業とそこで働く県民の皆様を支えるために、また、不落や不調で県の土木や建設の工事が遅れることのないように積算の検証は慎重な上にも慎重していただくことを望みます。
さらには最低制限価格を下回った場合でも、低入札価格調査を実施して発注するケースもありますが、予定価格が厳密に積算されていれば、下請け業者を泣かせるか、若しくは、手抜き工事をしない限りは、赤字を覚悟して受注するしかありません。税金である以上、1円でも安く入札すべきではありますが、建設土木業は鳥取県にとって重要な産業であり、ここで雇用されている県民も少なくないことから、消費税導入による民間建設需要の落ち込みが予想されることでもあり、低入札価格調査をするのではなく、景気が回復し、建設需要が高まるまで、最低制限価格を下回った場合は、原則、失格とし、低入札価格調査による発注は止めていただきよう望みます。
Ⅰ-6-2 県施行工事は通年発注にし、県内企業が途切れなく仕事ができるよう国に明許繰越の柔軟な対応など制度改正を働きかけていただきたい。
県施行工事は、会計年度が始まった後の6月に集中して一括して行われる傾向があり、その影響で、年度末と年度始めの3月~5月には発注がほとんどないという指摘をよく耳にします。県施行事業と言っても、その多くは交付金事業のため、国の予算決定を待って入札を行わなければならないというスキームが問題の根幹であることは理解しますが、県内の建設業界各社は長びく不況と公共事業の抑制よって厳しい経営を強いられています。企業を少しでも支えるためには、社員や機械を遊ばせることなく、年間ずっと仕事がある状態においてあげることが効果的です。仕事のない3月~5月にも仕事ができるようにするためには、国の予算成立後、直ちに発注ができるように前倒しで準備をすることと、債務負担行為の機動的な運用をすること、国に対して明許繰越の柔軟な運用を求めるように働きかけることなど、どのような対策が効果的か検討し、効果的と判断できれば新年度から実験的でもいいので試行し、その必要経費を計上して頂くことを望みます。
Ⅰ-6-3 県発注の工事や物品購入時の県職員の対応を丁寧にしていただくよう指導していただくと共に、工事完成や物品納入の通知があったときは、速やかに完工検査と工事代金支払いを実施し、県内企業の資金繰りを支えていただきたい。
県内企業は地方税の納付主体であり、そこで働く人たちは大切な県民です。ところが、公共工事の現場などで訪れた県職員の中には対応が悪く、横暴な言動が目立つ職員もいるようです。「子どものような年の職員が、建築資材を足でガンガン蹴りながら、汚い言葉で罵られた。この業界で半世紀近くも生きてきたが情けなくて、涙が出てきた」と話された社長さんも居られました。こうした声は、発注側と受注側の関係にあるので、職員の固有名詞を挙げての話にはなりにくく、やはり、県側の担当部課長からの指導に頼るしかありません。発注側だからといって上から目線であって良いわけがなく、こうした対応は問題だと考えます。出先機関も含め、丁寧な対応の徹底を望みます。
県内企業はアベノミクスの恩恵も少なく、建設業なども好況と感じられないようで、やはり、公共事業に期待する所が多いようです。ところが、完工検査が遅れるケースが散見されるそうです。昨年度、完工検査から2週間後の支払いだったものが、制度改正で1週間程度に早まくなったことは良かったと思いますし、県土整備部に敬意を表したいと思いますが、経営が厳しく、1日も早く工事代金を得たい企業が多い県内の状況に鑑み、仮払いやネットバンキングの利用などで早期の支払い方法を再検討いただき、地元企業の資金繰りを支えていただきように望みます。(11月会派要望時 【Ⅱ】-2)
Ⅰ-6-4 新規創業者も県の物品調達等の入札に加われるよう公示を見なおしていただきたい。
鳥取県で競争入札に参加したと思う企業や個人は「平成24年8月31日付鳥取県公報第8426号 (鳥取県告示第606号)物品等の売買修理等及び役務の提供に係る調達契約の競争入札参加者の資格審査の申請手続等」に従って申請をすることになっています。そして、この公示によると、資格は従業員数、製造高、販売高又は収入高、資本金、営業年数、契約実績その他の経営又は信用の状態を総合的に勘案して行う審査の結果に基づき決定することになっています。これでは契約実績のない新規創業した企業や個人は不利になるだろうと予想されます。厳しい鳥取県経済を考えると、新規創業した企業が成長してこそ、県内経済は改善すると思いますし、経営基盤の安定していない創業まもない企業にこそ、県の入札に加入してもらい、その礎を築いて欲しいと思います。物品の調達は納入時にきちんと検査してから代金を支払えば、県にとってデメリットは何もないはずです。公示の見直しをしていただくよう望みます。(11月会派要望時 【Ⅱ】-3)
Ⅰ-6-5 元請業者に対して、下請け、孫請け業者が不当な施工体制や支払い条件を押し付けられることがないよう指導・調査を継続されたい。
下請け、孫請け企業も利潤を確保できるように公共工事改革を進められるよう旧「会派かけはし」で要望しましたところ、
「元請業者から下請業者への下請代金の適正な支払については、平成22年8月に最低制限価格を概ね90%程度まで引き上げ、下請業者へのしわ寄せ防止を図るとともに、
① 前金払を受けたときは下請業者に対して必要な前払金を支払うこと、あるいは請負代金の支払はできるだけ現金払いとすることなどを元請契約の際や下請取引等点検調査において指導する。
② 施工現場実態調査員が、工事現場で下請の使用状況など工事の施工体制の実態を調査し、適切な措置を取るようその場で指導する。
③ 元請、下請業者を直接訪問しての聞取調査、指導、並びに下請業者からの相談を受けて元請業者への指導を行う。
などの施策を実施しており、引き続き下請代金支払の適正化を図る。」
との回答を頂きましたし、鋭意、下請け企業への調査がなされましたことにも感謝を申し上げます。しかしながら、この問題は解決には程遠いのが現状のように思います。というのも、下請け、孫請けの業者は、元請業者とはひとつの系列の中にあり、施工体制や支払状況に対する不服を話したいと思っても、様々な調査の中で県の担当者に告発すると、元請け業者に対する背信行為として次の工事以降、受託を打ち切られるのではという心配から話せないという下請け業者の皆さんが少なくないようです。しかしながら、調査があったことで、元請業者の対応が変化しつつあるという言葉も聞きました。調査したが、下請けイジメはなかったと単年度で、指導・調査を撃ち切るのではなく、こうした背景に配慮しながら、指導や調査は引き続き、継続していただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅱ】-1)
【Ⅱ】産業未来・雇用創造
Ⅱ-1 経済成長戦略断行
Ⅱ-1-1 県が主体となって鳥取県沖のメタンハイドレートの研究開発を加速されたい。
県はメタンハイドレートに関する情報収集などのため、日本海側10府県で構成する「海洋エネルギー資源開発促進日本海連合」にも加入されましたが、さらなる取り組みをお願いしたいと思います。
国はメタンハイドレートなど海洋地下資源の調査船は海外からリースしており、相当な経費を要していることから、調査船の建造を検討する動きもあるようです。調査船が建造されれば、その母港を設定することになると思われますが、東京本部を中心に情報収集を今から始め、母港用地の無償提供など思い切った厚遇で県内への母港の誘致を成功へと導いていただくことを望みます。母港が設定されれば、単に操船要員が配置されるだけでなく、関連研究機関などの誘致も期待でき、大きな経済効果が期待できます。加えて、鉱業法の改正で、海洋地下資源の採掘権は、技術と資金の両面で現実に開発できることを示して、国の指定を受けることになっていますので、メタンハイドレートの採掘権を県内に担保するためにも意味が大きいと思われます。(11月会派要望時 【Ⅴ】-4改訂)
Ⅱ-2 中小企業底力アップ
Ⅱ-2-1 信用保証の在り方を再検討して、実質金利の軽減をはかると共に、貸し渋りのないよう指導して県内中小企業を支えていただきたい。
鳥取県の制度融資は、経済情勢や経営方針に添って多彩なメニューが用意され、2.3%~1.43%という低利で融資が受けられ、県内中小企業の経営を支えています。ところが、融資を受けるものは信用保証協会の信用保証を受けることが条件になっており、0.45%~2.3%の保証料が発生しており、保証料と合わせた実質金利は、金融機関が貸し出すプロバー融資の金利に比べてけっして低くないというのが現状のようです。そして、県内金融機関は、自己でリスクをとって融資をすべきであるにもかかわらず、担保や経営状況の良い企業には銀行本体が融資し、経営が悪化した企業は県の制度融資に切り替えるというケースも発生していると聞き及んでいます。
過去、一般質問で個別の融資管理ができていない問題を指摘したところ、「信用保証協会が審査しているので、個別案件まで県が把握している必要はない」との答弁でした。制度融資をブラックボックスにしてしまっているから、制度融資が本当の中小企業支援策にならず、金融機関優遇策との批判を受けるのではないでしょうか。制度融資は県内中小企業に取りましては、生命線のような意味を持っています。県信用保証協会には出損金や補助金として平成25年度は117,876,000円を支出し、平成26年度当初でも、115,309,000円の支出を要望されており、しかも、協会長は直近まで副知事だった藤井喜臣氏でありますので、商工労働部と連携して、信用保証制度の抜本的見直しに着手していただきたいと望みます。
日野市のように信用保証料の支援制度を設けている自治体もあると聞いています。制度融資の制度設計を見直し、実質金利を軽減することで県内企業を支えていただくことを望みます。加えて、金融機関の融資を制度融資に切り替えて、金融機関がリスク回避をすることがないよう強く指導もしていただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅸ】-1改訂)
Ⅱ-2-2 ふるさと産業支援事業の対象業種を拡大していただきたい。
ふるさと産業支援事業は伝統的な技術・技法を用い、地域の特色を生かした製品を生産している因州和紙、弓浜絣、倉吉絣、陶磁器、竹工、酒造、菓子、木製家具、建具、クラフト を対象に、「商品開発・販路開拓補助金」「後継者育成事業費補助金」などの制度があり、商品開発から市場開拓、後継者育成まで一貫した支援を受けられると好評です。しかし、この10業種以外にも、食品加工など伝統的な技術・技法を用い、地域の特色を生かした製品を生産している業種は他にもあります。平成25年度11月定例県議会の一般質問での知事答弁通り、対象業種を広げ、今以上の業種がこの制度を利用できるようにしていただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅸ】-2)
Ⅱ-2-3 県内中小企業が消費増税で経営不振に陥らないよう県商工会連合会への支援を継続していただきたい。
県内経済はアベノミスクの効果を実感することもなく、消費税の増税による民間需要や設備投資の冷え込みが予想され、今後、経営不振に陥る中小企業が相次ぐのではないかと考えます。中小企業の経営改善や市場開拓を指導している県商工会連合会の活動は、中小事業にとって重要です。経営支援専門員の減員を止め、現数を維持する方向で県商工会連合会への支援を継続していただくよう望みます。
Ⅱ-3 「食のみやこ鳥取県」の確立
Ⅱ-3-1 鳥取産呼称制度を創設し、安心安全を担保することで「食のみやこ鳥取県」ブランドの確立に向けて稼働されたい。
「ふるさと認証食品制度」は県産品の推奨。「食のみやこ鳥取県推進サポーター制度」は県産品の応援団づくり、「とっとり食の安全認定制度」は安全な食品づくりと制度趣旨や対象が違うことで様々な制度が中途半端なまま混在し、十分機能しているとはいえません。にもかかわらず、「とっとり県産品登録制度」まで登場しました。消費者に認知されている意見もお聞きましたが、首都圏で多くの友人知人に聞きましたが、これらのマークを認知していた人は1人もいませんでした。これが現実です。
これらの諸制度の目的を突き詰めていくと県産品のPR、つまり、ブランド化に他なりません。消費者向けの制度は単純な方がいいに決まっています。そして、広告宣伝は資源の集中投下が原則です。例えば県のマスコットであるトリピーを、その認知度を活かして、植樹祭では花トリピー、障がい者芸術文化祭ではアートリピーとして活用したように、県産品のブランド化制度を整理統合し、ロゴやシンボルマークも統一すべきと提案します。
EUの産地呼称制度は、地域特産品を定められた伝統製法で生産したものを伝統的特産品保護(Traditional speciality guaranteed)、加えて、特定の地域で生産又は加工又は調整されているものを地理的表示保護(Protected Geographical Indication)、さらに特定の地域で生産・加工・調整されたものを原産地呼称保護(Protected Designation Origin)というように段階的な保護制度を設けています。さらに、鳥取県の制度でも、食のみやこ鳥取県推進サポーター制度でも、三星サポーターというのもあります。
鳥取県産品の認証制度では、産地呼称制度のように品質を保障するものはありません。生産、加工、調整がどのように鳥取県内で行われ、製法もルール化し、品質や特徴を担保するような新制度を考えてはいかがでしょうか。国際認証があれば安全の星3つ、食の安全認証を受けていれば安全の星1つ、原材料が完全に県産なら県産の星3つ、生産、加工、調整がすべて県内なら県産の星3つ、県内独特の製法なら県産の星1つ、低農薬栽培なら自然の星1つ、完全無添加なら自然の星3つという具合に、ひとつの制度ですべての県産品を包含できるような制度の新設と、必要経費の予算計上を望みます。
Ⅱ-3-2 全県フードバレー構想を策定していただきたい。
フードバレーとは、オランダの首都アムステルダムから約85㎞南東方向に位置するワーヘニンゲン大学を中心とする農業・食品産業が高度集積した地域のことで、8,000人の科学者と1,500社近くの食品関連企業、70の化学企業、20の研究機関が集まっています。オランダの食品業界は470€、農産物輸出は230億€と米国に次いで世界2位の規模を誇りますが、これを支えているのがフードバレーです。
鳥取県は海の幸、山の幸に恵まれていることは間違いありません。もし、フードバレーのような産官学の集積を図ることができれば、県を支える大きな産業に成長する可能性を秘めています。県内には県産業技術センター・食品開発研究所や食物栄養専攻を持つ鳥取短期大学、氷温研究所、一般財団法人日本きのこセンター・菌蕈研究所などがあり、これらの知的資源を最大に活用して商品開発を進めるシステムを県が中心になって創造すると共に、食品メーカーの研究所や工場等の誘致等を進めて集積する「全県フードバレー構想」を提言したいと思います。構想を立案するための研究会の設置と、そのための必要経費を計上していただきたいと思います。
Ⅱ-3-3 国際認証に対する支援策を継続していただきたい。
国際認証の取得は、加工食品輸出のための必要条件となるだけでなく、国内のサプライチェーンに納品する場合も、近い将来、スタンダートになるのではないかという方向性は、平井知事と認識の一致をみたところです。「食の安全・安心プロジェクト推進事業補助金」は、国際認証を取得する鳥取県独自の助成制度であり、BSIやGFSIの評価も高いので、新年度においても、拡充継続して頂くことを望みます。また、県内の食品関連企業に国際認証への正しい認識を持ってもらうため、BSIやGFSIと連携を深め、講習会等の開催などの事業もしていただきたいと望みます。
Ⅱ-3-4 新しい養殖漁業が鳥取県の水産業の明るい未来を開こうとしています。市場開拓や流通設備の整備を支援していただきたい。
泊でマサバの井戸養殖という新しい事業が始まりました。井戸水を使い、朝水揚げして東京に直送するという新しい漁業に挑戦されています。大衆魚だったサバも、関サバのようにブランド化できれば高級魚に変身しますし、今回のマサバ養殖も、そうした流れの一環です。銀ザケやモロコなど相次いで新しい養殖の試みがなされていますが、首都圏や関西圏で認知してもらうためのPRや市場開拓、鮮度を保つための流通施設の整備など様々な課題も横たわっています。高い魚価を目指すこうした養殖漁業を定着させ、発展させることは、明日の鳥取県の水産業に大きな意味を持ちます。市場開拓などで思い切った支援策を実行に移していただけるよう希望します。(11月会派要望時 【Ⅷ】-6)
Ⅱ-4 雇用創造1万人プロジェクト
Ⅱ-4-1 第一次産業の後継者育成策を整理・充実し、新規就労者が増えるようPRにも努めていただきたい。
第一次産業も鳥取県にとって大事な産業であり、ここでも雇用創造を図るべきです。そして、雇用を創造するには新規就農者対策が重要です。新規就農者対策としては、新規就農資金の貸付制度や就農支援交付金など様々なメニューが用意され、農業や水産業の後継者育成に懸命に努力されている県職員や鳥取県農業農村担い手機構など関係者の皆様にまず敬意を表したいと思います。しかし、実績を見ると、離農者を補うほどの就農者を確保するまでには至っておらず、休耕地や耕作放棄地の増加は、全国と同様の問題となっております。
その一方で、鳥取大学農学部の学生の中には、鳥取県で就農を希望する学生も少なくないのですが、農作業のノウハウは、大学の4年間で身につくほど甘くはなく、加えて、農地の確保などは大きな資金も必要で不安を抱え、踏み切れないというのが実情のようです。就農資金は最大3,700万円まで融資を受けることができ、同機構のホームページなどでPRもされているのですが、こうした制度があることを知らない学生がいるようです。ひとつには丁寧な対応を心がけたことから、農家の家族、県外からの移住、定年後の新規就農など様々なスキームが混在し、分かりにくくなっているのではないかと心配しています。様々な制度を一度整理して利用者が分かりやすいように担い手機構に相談やPRの窓口を一本化して再編すると共に、鳥取大学農学部との連携を強化することを提言いたします。加えて、1人前になって1人立ちできるまで、丁寧なフォローもお願いしたいと思います。
加えて、やはり、農業の後継者問題を考えるとき、一番有効なのは家族が就農されることではないでしょうか。後継者支援の諸制度の中には、家族への適用を認めないものが散見されます。子や孫が継がないものを、他人が継ぐということはないと思います。まず、農地や農機具があり、幼い頃から農作業を見て育ち、父母から指導を受けることもできる家族から後継者育成は始めるべきではないでしょうか。そうした視点からは、家族が就労する場合の支援制度の整備を望みます。(11月会派要望時 【Ⅷ】-2改訂)
Ⅱ-5 北東アジアゲートウェイの推進
Ⅱ-5-1 LCC(北東アジア地方協力委員会)が実り多きものになる県内企業と準備を重ねると共に、GTI(広域図們江開発計画)に日本政府も参加するようはたらきかけていただきたい。
中国、ロシア、モンゴル、韓国の4か国が協力して進めているGTI(広域図們江開発計画)は、環日本海地域の地域連合に発展する可能性を秘めており、鳥取県の将来のために、LCCに参加することには意味があると考えます。鳥取県で平成26年夏にLCCが開催される予定ですが、LCCを単なるセレモニーにするのではなく、1社でも、2社でも県内企業の実際のビジネスに繋がってこそ、実り多きものと評価されると考えます。県内企業と連携して準備を重ね、LCCに参加する地方政府の経済担当者を地元企業へ案内するなどの工夫をしていただくことに加え、外務省や経済産業省の応援を依頼するとともに、GTIに日本政府が復帰するように働きかけを強めることを望みます。
Ⅱ-5-2 境港を国際貿易港として大きく発展させるため、日本国内と韓国国内の流通網の整備を進めていただきたい。
大阪港と天津港を直行海路で結ぶより、大阪から境港まで高速道路で運び、DBSフェリーを経由して、東海から仁川まで再度、高速道路で運び、仁川から天津港までフェリーやローロー船で運ぶほうが時間的に短いことが、境港を利用する最大のメリットになるのではないでしょうか。DBSフェリーを利用した輸出に対する助成を継続すると共に港湾施設の整備を進め、検疫や通関、入出国審査の時間を短縮できるようCIQ体制の整備を国に働きかけることを望みます。加えて、ヤマトロジスティックなどの流通企業と連携を深め、国内流通網の整備を進めていただきたいと思います。
Ⅱ-6 高速道整備と産業展開
Ⅱ-6-1 山陰道のミッシングリンク解消に向けて、吉岡IC~青谷IC間等の開通に全力をあげていただきたい。
山陰自動車道は、平成25年12月14日に鳥取IC~鳥取西IC間、21日に赤碕中山IC~名和IC間が開通し、全線開通に向けて大きく前進しました。しかし、道路はミッシングリンクが開通してこそ、その有用性を発揮できます。吉岡温泉IC(仮称)~青谷IC間が平成29年度には開通予定ですが、1日でも前倒して開通できるように国に強く働きかけると共に、残土処理や周辺道路の開通など県としてできることは、必要経費を計上して力強く進めることを望みます。また、山陰近畿自動車道についても、全線開通に向けて重ねてのご努力をお願いします。
Ⅱ-6-2 山陰道全線開通時には全国規模のイベントを仕掛け、鳥取を売り出せるよう万全の準備を進めていただきたい。
吉岡温泉IC(仮称)~青谷IC間が平成29年度に開通予定です。ミッシングリンクが解消することから、鳥取はそれこそ大交流時代を迎えます。しかし、自動車専用道路の開通は、移動時間の短縮をもたらすことから、高額商品を県民が大都市圏へ買いに行ってしまって地元商業界の売上が低下するストロー現象や目的地以外は通過交通になってしまって地元観光がむしろ衰退するといった危険性も内在しています。地元、商業店舗のグレードアップを支援する取り組みや地域の観光資源を再発見して整備するなどの地に足を付けた対策を今から準備し、順次実行に移していただくよう望みます。博覧会のような大型イベントは、発信力が大きいので、そうした、地道な対策を踏まえたキックオフイベントとして計画することも検討すべきと考えます。
Ⅱ-7 やらいや農林水産業プロジェクト
Ⅱ-7-1 TPP参加で県内の農業経営は非常に厳しい局面を迎えようとしている。TTPに対応できる農業政策を立案できるよう調査研究を進め、農家で生きていくことができる「もうかる農業」を実現するよう努力を始められたい。
TPP議論が煮詰まってきました。国会決議では、コメ、麦、砂糖、乳製品、牛肉・豚肉を農産物の「重要5項目」として関税をなくさない「聖域」にしてきましたが、ここにきて、砂糖やでんぷんを混ぜた米粉調製品の一部や、砂糖類のキャラメル、チューインガム、牛の舌(タン)や肝臓(レバー)などに約220品目ついて、関税をゼロにしたり、関税率を減らしたりできないかの検討が始まり、聖域5項目を有名無実化しそうです。その結果、TPPが発効すると県内の一次産業には大きな影響があると思われます。県内農家の経営が成り立つような「もうかる農業」を実現するのは、TPPに対応できるしっかりとした持続可能性のある農業政策を立案することが喫緊の課題です。そのための調査研究を始めるとともに、調査研究のために必要な予算措置を講じていただきたい。
ウルグアイ・ラウンドでは年間6,000億円、10年間で6兆円もの農業支援策が立案されました。今回のTPPでも同様の動きがあると聞き及んでいます。東京本部を中心に情報収集に務め、いち早く県内でも使えそうなスキームがないかどうか調査して、鳥取県分の十分な予算を確保できるように積極的に働きかけていただきたい。(11月会派要望時 【Ⅷ】-1)
Ⅱ-7-2 コメの新品種への支援と、人気品種の生産技術向上のための支援をしていただきたい。
新しい鳥取県産米である鳥系93号、愛称「きぬむすめ」は1等米比率が安定して高いことから県農業協同組合中央会では、作付面積の拡大に重点的に取り組む方向性を定め、平成25年産は、前年産の倍の作付を実施されたそうです。しかしながら、「きぬむすめ」は新品種のため、認知度がまだ低いようです。消費者に評価していただき、人気を高めるため、PR資材の作成、試食販売など市場拡大への支援を望みます。また、米の共同乾燥調整施設についても、「きぬむすめ」の拡大に対応して、JA鳥取中央が三朝ライスセンターの整備をする計画をお持ちですので、助成措置を望みます。
県内で最も作付面積が広い「コシヒカリ」の平成25年産米は、夏場の高温の影響で1等米比率が低く、良質米の生産技術の向上が喫緊の課題となっています。県農林総合研究所を中心になって生産技術の改良に務め、技術向上のための指導にも積極的に取り組んで頂くことを望みます。
Ⅱ-7―3 飼料米の生産拡大を支援していただきたい。
飼料自給率の向上のため、稲の実と茎葉を同時に収穫し発酵させた稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ、WCS)や飼料米の生産を県は推奨し、平成30年には飼料米650ha、WCS用稲350haの生産を目指しています。鳥や豚の飼料として使う場合は、加工せずそのま使えるので、輸入トウモロコシとの価格差はほとんどありませんが、牛の飼料にする場合は、キロあたり2円程度の加工費が必要となり、採用のネックになっています。
県内では食用米であるニホンバレやヒノヒカリが飼料米として栽培されており、単位収量は10aあたり、平均514キロだそうですが、これを北陸193号など単位収量の多い専用品種で栽培すると800キロ前後まで、増収が期待できます。問題は、周囲の食料米との交雑が心配されるため、種籾生産を既存の農地と隔離された場所でしなければならないことです。飼料用米専用品種の種籾生産を支援するスキームを新設し、飼料米の生産を増やしていただきよう希望します。(11月会派要望時 【Ⅷ】-5)
Ⅱ-7-4 野菜や果樹の生産環境整備を支援すると共に、後継者確保策を確立されたい。
らっきょうの根切や梨の交配などの作業従事者が高齢化や農家世帯の減少によって確保できなくなって、生産現場で支障を生じています。広域的に作業従事者を確保するため、労働局や大学、NPO等との連携を深めて募集活動を支援する他、農福連携を拡大するなど県としての支援策を検討していただきたい。また、野菜や果樹の生産環境の整備も重要です。JA鳥取いなばでは、アスパラガスを重点推進野菜と位置づけ、作付面積の拡大を図っているものの、共同選果作業が手作業のため、鮮度維持や選別時間短縮のため、アスパラガス選別包装機の導入を計画しておられるそうです。購入支援を望みます。
果樹栽培は、果樹園が成園化して所得が確保できるまでに年月がかかるという実態があるにもかかわらず、せっかく成園化した時に農業者の病気や死亡によって栽培が中断するケースも増えているそうです。継承すればその年から所得を得ることができる果樹園(もったいない園)については、後継者を広域的に募集するようなスキームを構築できないか、検討していただくことを望みます。加えて、もったいない果樹園、育成が必要な果樹園、品種更新が必要な果樹園と、果樹園ごとに条件が大きく異なることから、栽培の継承について、一律的ではなく、状況に応じた資金調達や労働力確保、生産技術指導の支援ができるように制度等を再検討していただくことを望みます。
Ⅱ-7-5 酪農ヘルパー支援事業は継続となりましたが、利用料金などの課題から十分に酪農家の要望に応えられていないため、予算措置を講じて制度の充実を支援していただきたい。また、休日確保は若年層の就農には不可欠であり、対象を広げた農業ヘルパーが可能かどうか調査研究も始めていていただきたい。
酪農は動物を対象とするため、酪農家は休日を取ることもままならず、それが酪農経営のネックになっています。酪農家の周年労働を解消するために酪農ヘルパー事業が始まりました。平成25年度で国と県で積み上げた地方基金事業が終了することから心配していましたが、平成26年度から3年間、酪農経営安定化支援ヘルパー事業として継続されることになりました。しかしながら、利用料金やルパー要員の確保などの問題から、酪農家の要望に十分に答えられていないのが現状であり、特に若年層に参画してもらうためには酪農ヘルパーのよる休日の確保は不可欠です。
利用上のネックになっているのは利用料金で、もう少し安いと、利用日数を増やすことができ、酪農経営に「ゆとり」がうまれ、年配の酪農家でも経営を継続でき、後継者の確保の一助にもなると考えています。その一方、酪農ヘルパーの給与を改善することは、長年ヘルパーとして勤務したいという人を増やすことになり、経験豊かなヘルパーなら酪農家も安心して飼育管理作業を任せることがきます。
利用料金の軽減と、給与など酪農ヘルパーの待遇改善は相反する命題であり、解決するには県が予算的支援策を充実するしかないと考えますので、支援制度を再検討し、必要な事業費を確保できるよう予算措置を望みます。
また、酪農ヘルパーの発想は今日的であり、評価すべきと考えます。農業ヘルパーとして拡充整備し、米作や野菜栽培などの分野で就労されている農家へも広げることができないか調査研究も始めていただきたいと思います。(11月会派要望時 【Ⅷ】-4)
Ⅱ-7-6 鳥獣対策センターが機動的に活動できるように予算を充実されたい。
鳥獣害被害は23年度は6,673万円だったものが、24年度は7,185万円へと被害が増大しています。県は鳥獣対策全般を強化するため、今年4月の組織改正で、全県の鳥獣対策の中核となる鳥獣対策センターを新設されました。電気柵の設置など鳥獣被害総合対策事業 として1億5233万円を予算計上して努力されていることは承知していますが、やはり、抜本的な対策として、農地周辺に緩衝帯を整備することと、野生鳥獣を駆除することによる頭数管理に力をいれるべきではないでしょうか。
緩衝帯等の農地周辺環境の整備については、鳥獣被害総合対策事業の中で県と市町村が連携して実施されており、平成24年度からは国事業(1/2助成)に加え、県事業(1/4助成)で嵩上げして支援を強化されました。里地里山の保全再生を図る目的で八頭町や地元団体と共同で取組を進めている里地里山保全再生事業では、実の成る木の植栽など緩衝帯整備等の取り組みをモデル的に実施されていますが、この取り組みを全県的に拡大していくべきと考えており、必要な予算措置を望みます。
頭数管理について県は、鳥獣保護事業計画と特定鳥獣保護管理計画を策定し、鳥獣保護区の設定や生息地の保全・整備の方針を定めていますが、やはり、猟友会の皆さんの有害鳥獣駆除へのモチベーションを高めるためには、駆除した鳥獣が商業ベースで安定的に取り引きされ、できれば特産品としてブランド化されることが必要で、そのためには解体から流通、販売、調理しての提供まで一貫した体制の整備が必要です。意欲ある市町村への支援策を充実されることを望みます。また、県東部には射撃場がないため、狩猟免許取得や狩猟技術向上が図れないという声も聞きます。射撃場復活について鳥取市など関係市町村との協議も進めていただきたいと思います。
また、今年度に設置された「鳥獣対策センター」が有効に機能するよう人材の配置と必要な予算の計上も求めます。(11月会派要望時 【Ⅷ】-3)
Ⅱ-7-7 政府の円安誘導により、漁業用燃料の高騰が漁家経営を厳しいものにしていることから、国の燃料費補助に加え、省エネ型漁船への転換を支援していただきたい。
政府の円安誘導のため、漁業用燃料が高騰しています。燃料費は、漁家支出の大きな部分を占めており、漁家経営を苦しめています。燃油高騰分を補填する国制度もありますが、燃油が急騰した分は有効でも、高止まりが続けている現状ではカーバしきれない面も出てきています。そうなると操業現場での構造改革が必要です。LED集魚灯の導入など省エネ型漁船への転換を支援するとともに、水産資源回復のための漁獲割当制や放流事業の県漁連の自助努力に対し、支援頂くことを望みます。
Ⅱ-7-8 県産魚のファストフィッシュ加工を支援していただきたい
骨や内蔵などの生ごみが出て、まな板に血が着くなど小奇麗に料理できないことが、消費者の魚離れの一因であることから、内臓や鱗を取ったり、三枚に下ろしたりする手間を省いた下ごしらえ済みのファストフィシュが好まれる傾向にあります。県漁業協同組合も「県産魚の消費拡大対策事業」として、ファストフィッシュ加工の促進を望んでおられますので、加工業者への支援策等の予算化を望みます。
Ⅱ-7-9 境港お魚ガイド活動支援事業を継続していただきたい。
平成25年度当初予算に向けて、専門ガイドによる境漁港ツアーの開催費に対する県の補助を旧会派「かけはし」でお願いしたところ、境港地区観光振興の強化及び産地境港の知名度向上ならびに水産物の消費拡大を図る「境港お魚ガイド活動支援事業」として、2,345千円を計上していただきました。10月末段階で、1,102人と、平成24年度実績の612人を大きく超え、境港市と連携して保育園・幼稚園の5歳児を対象とした境港魚市場探検を実施するなど地元の食育・魚食普及活動へも広がりを見せています。
「さかいみなと漁港・市場活性化ビジョン」の目標のひとつである「親しまれる漁港・市場づくり」の実現のためにも、「境港お魚ガイド活動支援事業」は必要と考えますので、平成26年度も継続していただくことを望みます。
Ⅱ―7-10 県内の山林・林野を、木材を持続的に生産できる森林として育成・管理するため、間伐や路網、高性能林業機械の導入を加速させていただきたい。
鳥取県は県土の74%を森林が占める「森林県」です。昨年は「第64回全国植樹祭」「第30回全国都市緑化フェアとっとり大会」「エコツーリズム2013in鳥取」と全国規模の緑のイベントが続き、グリーンウェーブを全国発信する1年となりました。こうしたイベントはキックオフの宣言であり、次年以降の森林整備こそ重要と考えます。県森林組合連合会が県に対して森林整備に関して陳情活動されていると聞いていますが、間伐材搬出促進事業の促進、森林境界の明確化と地籍調査の推進、路網の整備、高性能林業機械の導入支援、病虫獣害対策について予算上で特段の配慮をしていただくことを望みます。
Ⅱ-7-11 県産材の利用拡大のため、公共施設の木造化、県産材を使う民間住宅への補助を進めると共に、高級材の市場開拓を進めていただきたい。
国内木材価格の低迷が続く中、4月からの消費増税による木材需要、住宅建設戸数への影響が心配されます。県産木材を地産地消で使っていただくため、「環境にやさしい木の住まい助成事業」を継続拡大していただくことに加え、県森林組合連合会が求められていますように公共施設木造化の推進、木造バイオマス原料などによる素材利用の促進も進めて頂きますよう望みます。県内の育成された智頭杉などブランド化が期待できる高級材については、寺社建築や高級家具などへの市場開拓も支援していただきたいと望みます。
【Ⅲ】暮らしに安心
Ⅲ-1.鳥取ふれあい共生ホームなどの全県展開
Ⅲ-1-1 鳥取ふれあい共生ホーム構想を県民にもっと知ってもらうよう情報発信に努めると共に、既存の施設を巻き込んだ形での展開を模索されたい。
住み慣れた地域で、高齢者、障がい児・者及び児童等のみならず、地域住民の誰もが集い、多様なサービスや活動で互いを支え合っていこうという「鳥取ふれあい共生ホーム構想」は、地域に密着した点、高齢者・障がい者・児童のそれぞれのニーズに対応できる点、さらには資源を有効に投入できる点などで優れており、継続拡充していただきたい施策と考えています。しかしながら、高齢者、障がい児・者及び児童を巡る国の施策が猫の目のように変わる中で諸制度が乱立したことから、高齢者、障がい児・者、児童のための施設を一体として運用する「鳥取ふれあい共生ホーム」に対する理解が深まっていかないように思えてなりません。特に共生型にこの傾向が顕著です。研修会など機会あるごとに既存の各社会福祉団体や施設へ説明する機会を設け、周知徹底していただきたいと望みます。加えて、既存の各施設が連携することで、建物や施設は違っていても活動の一部を恊働するパート型共生ホームの展開も提案します。
Ⅲ-1-2 鳥取県特別医療費助成制度を継続していただきたい。
障がい者に医療費助成に加え、特定疾患や小児、ひとり親家の医療費を入院1,200円、通院530円の定額するため、特別医療費助成事業として635,956千円を計上するなど同事業の維持は財政状況の厳しい鳥取県にとっては大きな負担となっていることは承知しています。しかしながら、医療費定額化は、「安心して子供を病院へ連れていける」と多くの子育て世代から高い評価を得ていることに加え、腎臓疾患を含め、特定疾患と闘う患者家族は、常に医療費負担への心配を抱えておられ、同制度が感謝されていることに鑑み、制度の堅持を強く望みます。
Ⅲ-1-3 安心サポートファイルノート作成に支援されたい
成年後見制度の導入がなされたものの、今なお「親亡き後の不安」を訴える知的障がい者の保護者は多く、保護者と障がい者の高齢化と相まって不安は大きくなっていると一般財団法人「鳥取県手をつなぐ育成会」の皆さんからお聞きしました。その対策として、同育成会では平成25年度から3年計画で県の委託を受け、「安心サポートファイル(将来のための安心ノート)」作成事業に取り組んでおられるとのことでした。同事業への支援に加え、同事業の成果を活かした地域における居住、教育、就労、後見支援など総合的なサポート体制の整備に向けての検討を始めていただくよう望みます。
Ⅲ-1-4 障がい者社会参画促進事業への助成を拡充されたい。
一般財団法人「鳥取県手をつなぐ育成会」は、レクリエーション教室や知的障がい者スポーツ祭りなどを開催する「障がい者社会参加促進事業」に取り組んでおられます。平成26年には鳥取県で「全国障がい者芸術・文化祭」が開催されますが、県内の障がい者がアートなどに取り組む機会が増えるよう「障がい者社会参加促進事業」に継続した支援を望みます。
Ⅲ-1-5 中四ブロック肢体不自由児者父母の会連合会鳥取大会等を支援していただきたい。
平成26年度は、「第45回中国四国ブロック肢体不自由児者父母の会連合会鳥取大会」が鳥取県で開催されるほか、同大会を主催する肢体不自由児者父母の会連合会が創立50周年を迎えうことから、記念大会も企画されている。中国四国地方の各県の肢体不自由児者とその父母が一同に会し、取り巻く課題や問題、目まぐるしく変わる制度などについて学び、意見交換する貴重な機会であり、「全国障がい者芸術・文化祭」との相乗効果も期待されることから、鳥取大会及び記念大会について県としての支援を望みます。
Ⅲ-2.健康長寿いきいき社会の推進
Ⅲ-2-1 24時間定期巡回型訪問介護サービスの支援策を充実されたい。
24時間定期巡回型訪問介護サービスについては、旧「会派かけはし」の25年度当初予算への会派要望で初期投資への支援を求めたところ、国の補助制度「地域介護・福祉空間整備等交付金」があり、利用者の自宅と介護事業所を繋ぐシステムの整備等、必要な初期投資を軽減することができるので、同制度の活用を市町村に働きかけたいという回答でした。その結果、県西部では事業が立ち上がってきたものの、県東部では鳥取市内に1事業所がサービスを開始しただけで、県中部ではありません。
訪問介護職員を24時間待機させねばならないことから、通信システムなど大きな初期投資が必要なことから採算ベースに乗らないのではないかと事業化を躊躇う社会福祉法人や企業が多いためと聞いております。やはり、初期投資への支援策が必要なのではないでしょうか。再考を求めます。(11月会派要望時 【Ⅴ】-3)
Ⅲ-3.バリアフリー社会の実現
Ⅲ-3-1 農福連携事業の6次産業化のモデル事業を始めていただきたい。
障がい者の就労支援事業に取り組んでいる鳥取市のNPO法人「夢ハウス」と株式会社「えがお」は、こんにゃく芋の栽培とこんにゃくの生産に取り組み、農福連携の経験を積んできていますが、新たに農地を提供してもいいと市民が現れ、ブロッコリーを栽培して6次産業モデルができないかとビジネスプランの模索を始めたそうです。ブロッコリーは茎の先端部分の柔らかいほんの一部分だけを食べ、大部分は廃棄しています。しかし、女子栄養大学で教鞭を取る料理研究家の協力も得て、スープに調理してレトルトパックにする、あるいは、ビネガーに漬けたピクルスにするなど栽培したブロッコリー全部を食べられるような商品の開発に取り組みたいとしています。ブロッコリー全部を食べるという発想自体が面白く、かなりの利益率を想定でき、障がいを持った皆さんにかなりの給与を支払うことがきるのではないかと夢は膨らんでいます。加えて、大山町のブロッコリー栽培は特産化に成功していますが、この商品開発が成功すれば、さらなるブランド化も期待できます。
農福連携事業は土に触れ合うことができるなど障がい者の就労形態としては理想的な面も多いのですが、農作業に障がい者に従事してもらうマッチング事業では、自立できる収入を得るまでには、なかなか進まず、可能ならば障がい者が主体となった事業主体を目指すべきスタイルが望ましいと思います。既存の諸制度の活用も考えられますが、今回のモデルが成功すれば農福連携と農業の6次産業のモデルケースになるのですから、「障がい者のラッキョウの根切り」事業で、支援員配置や機器購入の補助制度を新設して支援したように、ブロッコリーの6次産業事業につても、同様の支援を望みます。(11月会派要望時 【Ⅴ】-2)
Ⅲ-3-2 多目的トイレの公共施設への整備を促進されたい。
平成26年度に「全国障がい者芸術・文化祭」がとりぎん文化会館を主会場として開催されることもあり、平成25年度11月補正予算案に、とりぎん文化会館のトイレ等のバリアフリー化予算2,843万円を計上されましたが、会派希望はこの予算案に賛成いたしました。
県営施設の車いすトイレの普及率は、平成12年調査では59.3%だったものが、平成18年の調査では79.7%まで普及し、その後、警察署5署でも改修が済むなど着実に整備がされています。バリアフリー法の施行以降、鳥取県でも福祉のまちづくり条例が制定され、バリアフリー化を支援する「福祉のまちづくり推進事業補助金」も設けられ、県民の理解や関係者ご努力もあって、公共施設や病院、大型店舗などで車いす使用者トイレが普及してきたことは評価すべきだと考えます。ただ、県肢体不自由児協会や県肢体不自由児・者父母の会連合会の皆さんにお聞きしますと思春期以降の肢体不自由児者のおむつ交換ができるトイレはまだまだ不足しているのが現状だそうです。障がいを持った皆様の社会参加を促進するためには、ベッドに加え、天井からのレールカーテン、オストメイト対応の洗浄設備、経管栄養・加工食の洗浄設備などを備えた多目的トイレの導入が必要だそうです。「全国障がい者芸術・文化祭」を前に全県でトイレの福祉対応状況についての現状を調査するための必要経費を計上して頂くよう望みます。
全国障がい者芸術・文化祭を契機に、車いすトイレの県営施設への100%整備へ向けて改修を進めるとともに、車いすトレイの多目的化にも取り組んでいただきたいと思います。市町村にも改修をうながし、民間施設については、調査結果に基づき「福祉のまちづくり推進事業補助金」の利活用を積極的に奨め、福祉のまちづくりを完成させていただくことを望みます。
「福祉のまちづくり推進事業補助金」は出入口、エレベーター、ハートフル駐車場、音声誘導装置なども対象になっていますので、トイレの改修と共に、これらの改修についても奨めて頂きくことを望みます。
Ⅲ-4.消費者相談ネット構築
Ⅲ-4-1 民生委員・児童委員であることを示す門標作成を支援していただきたい。
自宅玄関に掲げることで、民生委員・児童委員であることを示す門標は、一部市町村で作成されたことがあるが、全県で統一的に作られたことはないそうです。門標がないと相談に訪れた相談者が、どこが委員の家であるかわからず、相談できずに帰ってしまうケースも発生しているそうです。そこで、鳥取県民生児童委員協議会が全県統一のデザインの門標を作成し、約1,700人の全民生委員・児童委員に配布することを計画されています。ボランティアでご苦労を願っている民生委員、児童委員の皆様の助けになるならば、当然県として支援すべきと考えますので、同協議会に作成費を助成していただきよう望みます。
Ⅲ-5.「支え愛」まちづくりの展開
Ⅲ-5-1 難病・慢性疾患患者支援自販機を設置していただきたい。
一般財団法人日本難病・疾病団体協議会(JPA)が、飲料メーカーの協力を得て、「難病・慢性疾患患者支援自販機」の設置を呼びかけています。利用者が飲料を買うと売上金の10%が設置者に設置手数料として支払われ、10%が難病団体の収入になるそうです。自販機にはJPAのオリジナルデコレーションが施されており、広く県民に難病と慢性疾患への理解を広めることにもなるそうです。既に滋賀県庁のほか、長崎県、佐賀県でも設置してあるそうで、県営施設等への設置を検討していただくことを望みます。
県庁舎は平成25年4月から同30年3月末までの自動販売機設置事業者の選定が終わっていますので難しいとは思いますが、とりぎん文化会館、倉吉未来中心、米子コンベンションセンター、コカ・コーラーウエストスポーツパーク、とっとり花回廊などの県施設は、今後、相次いで指定管理者の選定が続きます。県内では鳥取県腎友会が設置の窓口となっているそうですので、自販機の設置可能箇所をリストアップのうえ、売上代金を見積もり、設置手数料で電気代等を賄える場所があれば、指定管理者の選定要綱等に盛り込んだり、指摘管理者に取り次いだりして、設置に向けて協力していただくことを望みます。合わせて、県内市町村にも設置可能かどうか取り次いでいただきたいと思います。
Ⅲ-5-2 教育・福祉などの市民団事務所等の公共施設への入居を検討していただきたい。
鳥取市扇町の県民ふれあい会館は現在、耐震工事中ですが、日本ボーイスカウト鳥取連盟、鳥取県子ども会育成連絡協議会、鳥取県文化団体連合会、鳥取県ろうあ団体連合会、鳥取県身体障害者福祉協会、鳥取県障害者スポーツ協会などの事務局が入局して、社会教育や福祉の活動となっていますが、使用料の減免(10/10および2/3)があり、入居団体からは県が運営する施設を入所していることに感謝の声が聞こえます。その一方で、県腎友会など民間アパートを賃借して活動している団体もあり、こうした団体では事務所経費が団体の支出の大部分を占め、活動経費を圧迫している現状があります。
24年度決算審査では、県精神福祉センターなどの県営施設が十分に活用されていないなどの指摘もありましたので、県営施設で十分に活用されていない部屋等を洗い出し、公益性が高く、県民にとって有用な活動をされていながら、収益性に乏しく、会の運営が財政的な団体に対して、こうした休眠施設を貸し出すような施策を立案するとともに、募集パンフレットなど必要経費を予算計上していただくことを求めます。
Ⅲ-5-3 県社協の「わが町支え愛活動支援事業」への支援を継続していただきたい。
県社協は市町村社協と協働で、自治会や集落単位で住民1人でも安心して生活できるように要援護者の見守りや災害時の避難支援をする仕組みづくりを平成24年度から展開しておられます。この取り組みを拡大していけるよう引き続きの支援を望みます。
Ⅲ-5-4 パーソナル・サポートセンターの立ち上げに十分な支援をしていただきたい。
経済的困窮者の自立支援のため、県社協が平成25年度9月補正予算で立ち上げたパーソナル・サポートセンターは、新年度から運営が本格化します。消費税は4月から8%に引き上げられることが決まっており、平成27年10月からは10%に引き上げられる見込みです。消費税のその逆進性から経済的困窮者ほど、その影響は大きいと思われますので、緊急時に食料や生活必需品を提供するなどして経済的困窮者を支援するパーソナル・サポートセンターが円滑に運営できるよう十分な支援を望みます。本年4月から施行される生活困窮者自立支援法では自治体に実施が義務づけられる「相談」「家賃補助」は国が75%を負担するものの、「就労支援」などの任意事業は50%~67%にとどまります。県が積極的に取り組むととともに、積極的に取り組む自治体への支援策も検討していただくよう望みます。
Ⅲ-6.がん対策の戦略的推進
Ⅲ-6-1 県立病院が先頭に立って、がんの早期発見・早期治療体制の確立のため、がん検診を充実させていただきたい。
アジェンダでは10万人あたりのがん死亡率を全国平均以下にするよう目標設定をされましたが、制定された平成21年と平成23を比べると全国平均が84.4人から83.1人とわずかながら改善したのに対し、本県は85.8人から94.7人と悪化しています。がん対策は早期発見早期治療に尽き、そのためにはがん検診の受診率を高めるしかないと考えます。ところが、県立中央病院と赤十字病院の機能分担では、人間ドックなどのがん検診は赤十字病院に譲られ、県立厚生病院も検診が充実しているとはいえません。もちろん、病院間の機能分担による効率的な地域医療の確立は厳しい財政状況の中、必要であることの認識は持っていますが、受診率を現在の25%から50%に倍増するまでの間は、県立病院が先頭に立ってがん検診の受診率向上に努力して頂きたいと望みますし、必要経費の計上を求めます。加えて、検診を受けない理由では「忙しい」がトップです。「がん検診受診率向上プロジェクト2013」の中にある郵送による大腸がん検診と休日がん検診の支援、がん検診推進パートナー企業制度は継続し、支援を手厚くしていただくよう望みます。
Ⅲ-7.安心医療体制の整備
Ⅲ-7-1 県立中央病院の新築は、経費よりも災害対策に重きを置いて、県民の安心安全を確立していただきたい。
県立中央病院機能強化整備基本構想策定委員会では、県立中央病院を現在地で建て替える方向で議論が進んでいる。県立中央病院は千代川河口に立地し、津波や河川の氾濫時に浸水するのではないかと心配がなされている。病院局の資料でも千代川の氾濫時は2メートル、津波では6メートルの浸水が予想されている。危機管理局の津波予想は河川の平均水位から算出されています。満潮時あるいは増水時という水位を上昇させる複合要因が会った場合は、想定水位を超える可能性は否定できません。女川原発の津波想定水位は5メートルでした。そこで設計裕度を3倍とみて水面から15メートルの防潮堤を建設していました。東日本大震災では13メートルを超える津波が襲い、牡鹿半島も地震で1メートル沈降したため、津波が防潮堤を超えるまで1メートルもなかったそうです。
県立中央病院の新築にあたっては、最悪の状態を想定して災害時に業務が遂行できるかどうか厳しく判断していただくことを望みます。現在地で建て替える場合は、浸水することを想定して、1~3階部分が水没してもいいように1~3階は駐車場に充てて高層化する、あるいは盛り土をして、その上に建設するなどの防災拠点としての機能性を再優先すべきと考えますが、設計段階で費用が過大になるようであれば移転新築も検討していただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅵ】-1)
Ⅲ-7-2 厚生病院の医療スタッフを充実されたい。
厚生病院で現在、専門資格を有しない糖尿病担当医師に加え、週1回、鳥取大学から糖尿病専門医が来院して診察や治療にあたっていますが、糖尿病が基礎疾患にある患者の手術や治療を行う上では、常勤の糖尿病専門医確保が課題です。眼科の専門医、精神科の専門医と併せて採用が喫緊の課題となっています。鳥大への派遣要請などで努力をされているのは、承知していますが、やはり、こうした働きかけだけでは限界が有るようです。研修費を充実するなどして、大学の勤務医と同様に学会へ参加できるようにするなど、きめ細かな待遇の改善も進めるべきであり、このために必要な予算措置を望みます。(11月会派要望時 【Ⅵ】-2)
Ⅲ-7-3 専門医を始めとする医師確保のため、医師向け奨学金制度を拡充整備するとともに、PRにも力を入れていただきたい。
県立中央病院、県立厚生病院で精神科、小児科、産科、眼科、透析専門医、癌専門医を十分に確保することに加え、県内の公立・民間病院で勤務する精神科、小児科、産科医、透析専門医を増やすため医師向け奨学金制度を拡充していただきたい。鳥取県は各種の独自の医師向け奨学金制度を創設され、受験生の評判も良いと仄聞しておりますので、さらなる充実を希望するものです。
医師養成確保奨学金は「鳥取大学医学部附属病院(小児科・産科・救急科・精神科以外)に勤務する場合は、猶予期間を最大3年延長可能」となっていますが、対象病院を県立中央病院、県立厚生病院にも拡大していただきたいと望みます。
緊急医師確保対策奨学金は、鳥取大学の推薦入学が対象なだけに受験生にはとても評判が良く、良い人材の確保にも資する良い制度だと思いますので継続していだきたいと望みます。臨時特例医師確保対策奨学金では山口大学、岡山大学に協力いただいていますが、可能ならば岡山大学、山口大学以外の大学、特に広島大学、神戸大学、兵庫医科大学の中国地方の大学医学部及び医科大学へも協力を呼びかけていただきたいと望みます。
せっかく制度がありながら、平成25年度は41人の枠があったにもかかわらず、現実に奨学生に採用したのは24人に過ぎません。鳥取県が様々な奨学金制度を設けていることを全国の医学部志望の受験生に知ってもらうため、PRリーフレットを作成して配布するほか、鳥取大学医学部の学園祭では、PRブース出展等を検討するなどPRに努めていただくと共に、必要経費を計上していただきたいと望みます。
Ⅲ-8.生活習慣病対策の推進
Ⅲ-8-1 糖尿病対策を充実されたい
糖尿病医療は、保健医療計画では初期段階の診断・指導は、かかりつけ医が、急性憎悪時治療、専門治療、慢性合併症については、急性期病院が担うこととなっています。しかし、網膜症、腎症、神経症、動脈硬化と広い診療分野にわたっている総合疾患であるから、幅広い診療科と専門医の揃った総合病院に受診することが望ましいと思われます。複数の病院医院での受診を患者に求めると、内科的な診療を受けたが眼科への受診まではできず、その結果、合併症として一番多い網膜症の進行を見落とすようなケースが出てくるのではないかと心配しています。医療は患者のためにあるものです。机上の計算で、計画を患者に押し付けるべきではありません。県立中央病院は糖尿病治療の拠点病院にするよう改築計画を検討する中で、再考していただきますと共に、厚生病院では、内科医が糖尿病専門医となれるよう研修等を支援すると共に、眼科医の確保にご努力いただき、必要経費の予算計上を望みます。
Ⅲ-9.自殺対策推進
Ⅲ-9-1 hyper-QUを定着させ、いじめによる自殺という悲劇を根絶していただきたい。
hyper-QUは、クラスの状態を把握して、いじめを早期発見する上で有効であるとされています。平成24年度に本県でも導入され、ほぼ全ての小中高校で実施されています。しかしながら、hyper-QUの結果を教職員全員で共有し、いじめの根絶や明るいクラス運営にしっかりと活かしている学校もあれば、結果をクラス担任に渡すだけで、渡されたクラス担任も、ああそうかと認識するだけでなっている学校もあるなど、hyper-QUをどのように活かしているかは、学校によって温度差が大きいと聞いています。PDCAサイクルに基づいたhyper-QUを活用したいじめ対策を指導できる教員の育成など本県独自の取り組みもされているとはお聞きしていますが、hyper-QUを十分活用するにはノウハウを蓄積し、共有していくことが重要と考えます。先生方のhyper-QU活用のために研究会や研修会を支援していただくほか、全県立学校でhyper-QU調査を継続実施できるように予算を計上するよう望みます。また、小中学校では教育委員会や学校によって差がでないよう県教委で調整し、財源の弱い市町村については応分の支援も検討していただきたいと思います。
Ⅲ-10.未来への社会資本整備
Ⅲ-10-1 古民家を使った地域おこしに対する支援スキームを新設していただきたい。
鳥取市用瀬町屋住にある昭和初期の養蚕農家「長谷川邸」を拠点にした地域おこしが始まりました。地域住民が市民グループ「グルーンツーリズム用瀬」を立ち上げ、廃屋のようだった古民家を修理し、掃除して、ヘアーショーや音楽会、古民家レストランなどのイベントを開催するところまで漕ぎ着けました。昨年3月開催のイベントには、平井知事にも参加いただき、グループの皆様も大変喜んでおられました。「今後、宿泊できるように長谷川邸を整備し、グリーンツーリズムの拠点にして、全国発信をしたい」と希望は募るのですが、宿泊できるようにするためには蔵や二階を改築し、厨房や風呂なども整備しなければならず、住民だけの力では整備は難しいようです。これまで利用した鳥取力創造運動の助成金などの活用も検討されましたが、大きな古民家を改修するには限界があるようです。
長谷川邸は古民家として建築史的な価値もある家屋であるばかりか、屋住は人口流出が続き、中山間地の限界集落です。長谷川邸を使った地域おこしは地域住民に加え、鳥取大学や大阪の専門学校など広がりのある市民運動に育ってきており、成功すれば中山間地の限界集落をV字反転させたモデルケースとして全県への波及効果も期待できます。地域住民への意向調査をしていただき、独自の支援のスキームを構築していただくように望みます。(11月会派要望時 【Ⅺ】-1)
Ⅲ-11.津波避難対策ほか危機管理強化など安心のふるさとづくり
Ⅲ-11-1 島根原子力発電所2号機の再稼働、3号機の稼働に備えた安心安全の体制の整備をしていただきたい。
中国電力が島根原発2号機の新基準への適合性審査を申請し、再稼働が現実味を帯びてきました。加えて、安倍政権は原子力発電を推進する方向に舵を切っており、3号機についても、稼働の方向で進むのではないかと心配しています。その一方で、福島第一原発の汚染水問題は水素爆発以上の放射物質の放出をもたらしましたが、原子力規制庁や東京電力の対応は稚拙で、福島県民の皆さんは不信感を募らせておられます。
新基準への適合審査申請の事前報告ついて、会派希望は緊急要請を知事に提出させていだきましたが、知事は「留保」として問題点の指摘をしつつ、「事前了解」はしていないという立場を取られました。中国電力が「立地県並の対応」と言いながらも、事前了解ではなく、あくまで事前報告としていることを考えますと、苦渋の判断ではありましたが、取り得る現実的な選択肢の中では最善ではなかったかと考えております。大変だとは理解いたしておりますが、今後も「立地と同等の扱い」に固執して、「言うべきことは言う」という決然とした姿勢を貫いていただくよう強く望みます。
鳥取県は平成24年4月に原子力安全対策室を設置すると共に、原子力安全対策プロジェクトチームを設置し、地域防災計画(原子力災害対策編)の修正と広域避難計画を策定されました。しかし、避難計画は国が指定した期日に間にわせることを優先したことから、海路、空路での避難の検討が十分でないなどまだまだ改善の余地を多く残しています。地域防災計画と広域避難計画のブラシュアップに加え、安定ヨウ剤など物資の備蓄、モニタリング体制の整備など計画を着実に実現するため、国に財源措置を求めながら、必要な予算を計上していただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅳ】-1改訂)
Ⅲ-11-2 島根原発のUPZ内では全家庭が屋内用無線設備を設けることができるよう補助金制度を新設されたい
県内では屋内用防災無線を危機管理の要として全戸に設置する取り組みを進めている市町村がある反面、全く興味を示さない市町村もあるなど温度差があるようです。大島での大雨災害では、豪雨の音で、屋外に設置された防災無線の避難勧告の音声がかき消され、これが被害を大きくした一因だとも言われています。防災無線は災害時、有効であるかことは過去の事例が示す通りですが、今回の教訓は、設置するのであれば屋内用が効果的だと示しています。境港市、米子市のUPZ(緊急時防護措置準備区域、Urgent Protectiv action planning Zone:原子力施設からおおむね半径30kmの範囲)内では屋内用防災無線がある家と、ない家が混在していますので、全戸に整備ができるよう補助金制度の新設を、関係市町村や地元住民と相談しながら始めていただきたいと思います。(11月会派要望時 【Ⅳ】-2)
Ⅲ-11―3 公共施設の災害対応設備を充実していただきたい。
とりぎん文化会館や米子コンベンションセンター、コカ・コーラーウエストスポーツパークなどの多数の県民を収容する施設においては災害発生時、聴覚や視覚に障がいがある人に対しても、適確な避難誘導ができるよう防災無線を文字表示できるシステムや音声による避難誘導ができるシステムの導入を検討するための予算を計上していただきたいと思います。
Ⅲ-11―4 あんしんトリピーメールを障がい者対応にしていただきたい
あんしんトリピーメールは、緊急時の情報伝達手段としては極めて有効に機能すると思われますが、まだ、いくつか改善すべき課題があるように思われます。まず、災害情報や交通網の遅延情報が配信されるまでのタイムラグが防災無線と比べるとあるようです。緊急時は1分1秒を争うことが少なくありません。リアルタイムで配信できるように情報収集方法と送信までのシステムの見直しを望みます。また、文章の読み書きが苦手な高齢障がい者や知的障がい者もおられますので、漢字の少ない分かりやすいユニバーサルな表記の検討をお願いしたいと思います。一例ですが、即時に避難行動に移るべき時は赤色、緊急時は黄色、平時は青色と画面の背景色が変わるとか、音声によるガイダンスも一緒にながれるなどの方法があるのではないでしょうか。トリピーメールは、携帯電話の全機種に対応するため、テキストファイル送信になっていることから、難しい部分もあることは承知していますが、対応を研究していただくと共に、その必要経費の計上を望みます。
【Ⅳ】人材とっとり
Ⅳ-1.子育て環境日本一の推進
Ⅳ-1-1 教員の評価システム、特に校長等の管理職の評価について、同僚や非管理職による考課を取り入れるよう制度設計を見なおしていただきたい。
大阪府市による民間校長の登用が賛否を含めて議論になっていますが、校長が学校運営の要であることには間違いがないようです。県内でも近年、若い校長等の登用が相次いでいますが、やる気と能力がある校長が就任するのと、上昇志向が強いだけの校長が就任するのとでは、学校の雰囲気も、先生方のモチベーションも大きく違うように聞いております。校長の手腕の一番は、先生方と信頼関係を築き、校長の理想とする学校運営に教職員が団結して進む学校運営ができるか、どうかではないでしょうか。そして、校長の手腕は、非管理職の先生方が一番よく見ているのではないでしょうか。人事考課は複数の目で評価することが、公正公平な評価に一番近づける方法でもあることを考えると、校長など学校の管理職の人事評価に、非管理職の先生方の評価を取り入れることが重要であると考えますし、特に校長への昇進は、その非管理職の評価を重視すべきだと考えます。教員の評価システムについて再検討を望みます。
Ⅳ-1-2 私立高校に対する運営費補助金制度を堅持していただきたい
鳥取県の私立高校に対する運営費補助制度は、生徒一人当たりの単価では全国1位であり、その結果、私立高校の授業料平均額は47都道府県中、最も低く、全国平均よりも年間16万円低くなっていることは、「子育て環境日本一」の成果のひとつとして高く評価しています。一方で、岡山、広島、山口の3県は、県独自の就学支援金制度を国の制度に上乗せさせる形で導入し、低所得世帯に対する配慮をされました。少子化が進む中では、生徒増も期待できません。しかも、県内の経済状況は悪く、授業料の値上げは難しく、私立高校の経営を安定させるためには、全国1位の運営補助金制度は堅持していただくほか、県独自の就学支援制度についても検討していただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅲ】-2)
Ⅳ-1-3 私立高校・中学校の耐震改修への支援を拡充していただきたい。
公立学校生も、私立学校生も、その生命の重みに違いはありませんが、財政基盤の脆弱性のため、校舎等の耐震化が遅れています。早期耐震化を図るため、補助率の引き上げを検討していただきたいと望みます。体育館、校舎は現有面積を上限に補助がなされますが、改築時は施設の充実のために、施設を拡充することが少なくないため、現有面積を上限とする補助対象面積の緩和も求めます。学校は教育施設ではありますが、東日本大震災では多くの学校が避難場所として利用されたことを考えますと、耐震強度を上げていくことは喫緊の課題と考えますので、厳しい財政状況の中ではありますが、十分な検討を求めます。
Ⅳ-1-4 私立高校・中学校と公立校との間に大きな格差が生じないよう土曜日授業開始への支援や私立中学校への教育振興補助金の増額を検討していただきたい。
土曜日授業の検討が本県でも始まっています。実施されるようになれば、私学でも対応が求められますが、労働基準法が適用される私立学校では、休日勤務手当や時間外勤務手当が必要となり、その財源対策が必要になると思われます。公立学校で土曜日授業が開始されますときは、何らかの支援策を講じられるように望みます。また、中高6年一貫校への教育振興補助金は、学校規模は同じでありながら、高校が生徒1人あたり418,000円であるのに対し、中学校は316,000円で、102,000円の支給額に差が生じています。中学校と高校の間で必要経費の差はほとんどなく、中学校が義務教育であることも考えれば、教育振興補助金は中学校も、高校と同額にすることを望みます。
Ⅳ-1-5 私立幼稚園への経営費支援や安心こども基金による耐震改修等の補助事業を継続拡充していただきたい。
民主党、自民党の政権交代の中で、最も翻弄されたので幼児教育ではなかったのでしょうか。しかも、本県では認定こども園を含め、県内幼稚園児総数の90%を超える約4,000人が私立幼稚園で学んでいることを考えますと、私立幼稚園への支援は充実していくべきだと考えます。健全経営の基盤となる経営費支援は、厳しい財政状況の中ではありますが、堅持していただくほか、安心こども基金を活用した耐震改修や教職員研修の支援も手厚くしていただくよう望みます。
Ⅳ-1―6 私立専修学校・各種学校への新たな支援策を打ち出していただき、不公平感を払拭していただきたい
鳥取市は、誘致した学校法人大阪滋慶学園の看護学校に対して、学校用地を取得して無償貸与すると共に施設、設備等の整備に係る支援を行うことなどを内容とする協定書を締結しました。県も鳥取市の支援策の提案に対して協議を始め、議決事項ではありませんが、本会議で「議会の意向を尊重する」との知事答弁があったにも関わらず、県議会に対しては簡単な説明だけで県有地を売却しています。こうした県や鳥取市の対応について、私立学校関係者には「なぜ特定の大阪滋慶学園だけをここまで優遇するのか」という不満が高まっています。その一方、少子化による生徒減と大学希望者の増加から県内の私立専修学校・各種学校の生徒確保は年々難しくなり、課程の廃止、募集の停止などが相次ぎ、苦しい経営状況に陥っています。
私立専修学校・各種学校は、地元志向の強い若者にとっては、必要な技能を習得できる大切な職業教育機関であり、その経営を支えることは県の重要な役割であると考えますから、大阪滋慶学園との不公平感の解消は喫緊の課題と考えます。「鳥取県専修・各種学校ガイドブック」の発行助成と技能教育運営費助成の継続、私立専修学校教育振興助成金の助成率の引き上げに加え、私立専修学校・各種学校の皆様が、県が学校を支えてくれているのだと思えるような新しい政策を提起していただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅲ】-3)
Ⅳ-2.少人数学級の拡充など学力向上プログラム
Ⅳ-2-1 教科別の能力別学級編制など弾力的な少人数学級の運営ができるように、現場の先生たちの声を聞き、場合によっては特別加配もして、小中学生の学力を着実に向上させていただきたい。
国に先立って少人数学級を実現したのですから、児童生徒の1人ひとりに先生方が寄り添って、目の行き届く教育が実現し、学力が向上するものとばかり多くの県民が思っていました。ところが、全国学力学習状況調査の結果を見る限り、小学校4教科、中学校4教科のうち、全国平均値よりも3ポイント上回る教科は、平成22年度には小学校で1科目ありましたが、平成24年度は小中学校を通して1教科もありません。もちろん、少人数学級が学力向上として成果を出すには時間もかかるので性急に判断してはいけませんが、先生方の負担軽減だけでなく、子どもたちのためになる少人数学級であるべきと考えます。県内の小中学校の中には、教科別に能力別学級編制をして、子どもたちの学力に応じた教材や授業で、目に見えた形で学力向上を実現している学校もあると聞いていますが、先生方の負担は少なくないようです。現場の先生たちの声をしっかりと聴取し、先生方の総意として教科別の能力別学級編制に取り組みたいという学校があれば、モデル校に指定し、クラス担任に加え、数人の加配をして、小中学生の学力向上への取り組みを支援していただくよう望みます。
Ⅳ-3.子どもの体と心育成プロジェクト
Ⅳ-3-1 高校生の交換留学が進むように単位の互換など環境整備に務められたい
鳥取県レスリング協会は今年8月、県内の高校生から選抜した訪問団を組織し、五輪の金メダリストを輩出しています江原学園高校で交流試合、合同練習などをしました。世界レベルの選手のハイレベルな技術を間近で見て、体験することは、派遣された高校生にとってはかけがいのない貴重な体験となりました。2018年には江原道で冬季五輪が、2020年には東京五輪の開催が決まり、東アジアは否が応でもスポーツの関心が高まってきます。そして、こうした大舞台で県内の高校生が大活躍すれば県民の皆様に誇りと希望を与えることでしょう。単位の互換など教育環境を整備し、高校生の交換留学が進むよう取り組みを進められることを希望します。(11月会派要望時 【Ⅲ】-1)
Ⅳ-3-2 学校林を整備し、木に親しむ「木育」を再生していただきたい
高校では智頭農林(演習林35.7ha、立木13.1ha)、倉吉農業(演習林110.3ha)、日野(演習林0.3ha、立木9.1ha)、米子白鳳(演習林1.5ha)の4校が学校林を持っており、林業の授業や野鳥調査など自然観察に使っているが、智頭農林が地域の小中学生に開放して自然観察などをさせている他は、主に学内での利用に限定されているようです。県内の小学校も27校で計35.1ha、中学校も5校で6.7haの学校林を持っているようですが、こちらは運用が学校任せになっており、雑木林のまま全く利用されていない学校林もあるようです。学校林は所有権が学校になることから、立木を伐採するなど極めて自由度が高い利用が可能です。自然保護系の市民団体と協力して整備し、生徒児童が木に親しむ「木育」の場として再生して、利活用していただくことを望みます。
Ⅳ-3-3 「魚食」など鳥取県産の食材を中にした食育と取り組んでいただきたい。
魚価を上昇させるため、Ⅱ-7-6では県産魚のファストフィッシュ加工支援策を求めましたが、魚には骨や内臓があるのが当たり前です。消費者離れの根本対策は、小さな時から魚料理を親しみ、魚を好きになってもらうことだと思います。県漁業協同組合や食生活改善推進協議会の協力を得て、食育イベントの開催に加え、小中高校の家庭科等の授業で海産物の調理実習と取り組んでいただくことを望みます。加えて、家庭の中でも、親子で魚食に親しんでもらうため、親子学級なども企画していただきたいと思います。加えて、O-157発生時に文部科学省が出した「加熱していない食品を給食で供しないこと」という通達はナンセンスです。「日本海で採れた魚介類の刺し身を出したい」というような革新的な市町村が生まれるように、給食の在り方を根源的に考える研究会を市町村教委と連携して新設していただきたいと望みます。
Ⅳ-3-4 小体連や高体連主催の大会を支援すると共に、高校総体への派遣費の支援も継続していただきたい。
児童生徒が目標として練習を重ねることができるような大会を開催することは教育効果が大きいと考えます。県小学校体育連盟主催の第38回県小学校運動記録会(水泳・陸上)の開催費、県高等学校体育連盟主催の県高等学校総合体育大会と中国ブロック高等学校選手権大会の本県持ち回り開催分の開催費、全国高等学校総合体育大会への派遣費への支援は継続されることを望みます。
Ⅳ-3-5 研究大会派遣費の補助などPTA活動への支援を継続していただきたい。
保護者と教職員の共同活動であるPTA活動は、児童生徒の教育をより良きものにするために大きな役割を果たされています。長崎市で8月に開催される全国研究大会、下玉野市で11月に開催されるブロック研究大会への派遣費助成など、県PTA協議会への助成金は継続いていただくことを望みます。
Ⅳ-4.鳥取環境大学の抜本改革実現
Ⅳ-4-1 鳥取県沖のメタンハイドレートの研究開発のため、鳥取環境大学に専門講座を設けていただきたい。
メタンハイドレートの研究者や技術者は、非常に少なく、人材確保は非常に難しく、今から育成を始めなければ開発競争に勝つことは出来ません。県はメタンハイドレートに関する情報収集と県内エネルギー関連事業者や研究者等への情報提供を行う「鳥取県メタンハイドレート研究会」を立ち上げられましたが、さらなる取り組みをお願いしたいと思います。鳥取環境大学に専門講座を設けて人材の育成を始めていただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅴ】-4改訂)
Ⅳ-4-2 大学生と地域の連携調査を実施していただきたい。
県内をフィールドとして活動している首都圏や関西圏の大学生たちが増えてきました。地域資源に注目した地域おこしや徹底した聞き取り調査による地域課題の明確化など、ユニークで、なるほど感心する成果を挙げているものも少なくないのですが、大学生企画のため、担当教員の関心が変わったり、中心になる学生が卒業したりすると、そこで活動が停止してしまうことが少なくありません。基礎自治体や新聞などからどんな団体が活動しているかピックアップし、個別にヒアリング調査して、その実態を把握して頂くと共に、その必要経費を予算に計上していただきたいと思います。活動成果を政策等に反映することができれば、学生のフィールドワークが意欲有る学生が地域政策に立案へ関わる仕組みへとステップアップし、移住や都市と中山間地との地域交流などへの展開も可能になると考えます。
Ⅳ-5.高等特別支援学校開校
Ⅳ-5-1 開校したばかりの琴の浦高等支援学校をしっかり支援していただきたい。
琴の浦高等支援学校が昨春、開校しました。平成25年中間自己評価では「不登校や障がい等によって、自己肯定感が十分育っていない」「開校後の取組状況について、学校関係者、地域、企業などに対して積極的な情報発信が必要である」などの評価と共にC評価に留まるものがあります。計画していたものが、実際に開校してみると違いがある部分もあると思います。県内第一号の高等特別支援学校であり、鳥取県の特別支援教育の充実のためには不可欠の新設校です。開校すれば良いというのではなく、開学後は生徒や保護者の満足度などの政策目標を設定し、政策項目としての進捗状況を把握すべきです。予算措置を含め、しっかりとした支援を望みます。
Ⅳ-5-2 特別支援教育の専門知識を持つ教員を増やしていただきたい。
特別支援学校や特別支援学級の担当教員に専門知識が欠如しているのではないかと疑いたくなる問題が県内で発生しており、中には普通クラスに比べて特別支援学級を低くみる差別意識を持つ教員も居られるようです。特別支援教育に従事する教員は、特別支援学校教諭の免許状と各部に相応する免許状(幼、小、中、高等学校教諭)の両方を有しなければならないことが教育職員免許法に定められていますが。同法の附則16の規定により、特別支援学校教諭の免許状を保有していない教員も少なくないと仄聞しており、専門教員の欠如がその根底にあるように思えます。特別支援学校教諭の免許状の授与されるための県教委主導の免許法認定講習(都道府県の教育委員会主導)や通信教育、島根大学との連携を充実させる経費を予算計上し、特別支援学校教諭の免許状保有者率を向上させるよう望みます。
Ⅳ-6.シニア人財活用
Ⅳ-6-1 ネット上だけではなく、現実にシニア人材のマッチングができる「とっとりシニアボランティアバンク」を創設していただきたい。
元気なシニアが、長年培ってきた知識・経験・技能などを活用し地域に還元することにより、地域づくりを推進し地域を元気にしていくという方向性には賛成です。しかし、シニア人材を活用するために「とっとりシニアボランティアバンク」を創立するとされていましたが、立ち上げたボランティア総合情報サイトの中に、ボランティア活動に積極的な人たちに登録してもらった人材データベースが構築されただけで、政策評価すらなされていません。これではシニア人材を活用していると言うにはほど遠い状況ではないでしょうか。改めて実際にマッチングができる「とっとりシニアボランティアバンク」を設立することを望みます。特にシニア人材の持つ知識や経験に子どもたちが触れることは教育効果が大きいと思われますので、教育現場の先生たちが活用できるよう工夫していただくよう望みます。
Ⅳ-7.人権尊重社会推進
Ⅳ-7-1 差別的表現の撤廃するため、庁内に研究会を立ち上げ、ポリティカル・コレクトネスの実現に取り組んでいただきたい。
9月定例県議会で手話言語条例が制定されました。聴覚障がい者の皆さんの喜ぶ姿を見て、議員冥利に尽きると思いましたし、提案した知事の姿勢を評価したいと思います。これを機会に、心身の障がい・職業・性別・文化・人種・民族・宗教・年齢・婚姻状況などに基づく差別・偏見が言葉や用語に含まれない公平さを実現するためにようにするポリティカル・コレクトネス(political correctness)に取り組むことを提案いたします。
「法律で使っているから」という理由で差別的な表現を使う県職員が少なくないことに心を痛めてきました。これを機に県行政の中の言葉や用語から差別的表現の撤廃に取り組んでいただきたいと思います。「障害」は「障がい」と表記しても意味は通じ、「害」という不快な漢字を使う必要はありません。盲聾唖という言葉も本来の意味から言えば差別的ではないかもしれませんが、音読みでは「めくら」「おし」「つんぼ」となり、差別的表現となり、不快感を持たれる障がい者やそのご家族が居られます。また、聾唖者という言葉も「聴覚障がいがあれば音声言語は取得できない」という間違った認識が根底にあります。視覚障がい、聴覚障がい、発話障がい、視聴覚二重障がいという言い換えができるのなら、言い換えるべきではないでしょうか。障がい者に支払われるお金を「工賃」と言うのも、「障がい者は家内手工業的な単純作業しかできない」という差別意識が根底にあるとの指摘もあります。「給与」「賃金」と言えば済むことではないでしょうか。性差別についても、1995年の北京女性会議以来、ジェンダーの視点から男女について表現の分かれる言葉は使わないでおこうという運動が起り、航空機の客室乗務員を男性は「スチュワード」「パーサー」、女性は「スチュワーデス」「エアーホステス」と呼んでいましたが、「キャビンアテンダント」に変わるなどしました。しかし、ジェンダーの盛り上がりが失われるにつれ、こうした動きは少なくなり、「主婦」という言葉も復活しています。
文字が数字多くなるからといって、どれだけのデメリットがあるのでしょうか。法律と齟齬があるからとってどれだけ誤解を生じるのでしょうか。我が国には「言霊」という理念もあります。庁内にこうした表現の研究会を立ち上げ、差別的な言葉・用語の置き換えを進めていただくよう望みます。(11月会派要望時 【Ⅴ】-1)
Ⅳ-7-2 精神障がいの早期発見・早期治療開始及び精神障がい者への偏見や差別をなくすために、精神疾患を正しく理解するための授業を県教委がリードしていただきたい。
鳥取県精神障害者家族会連合会の要望に応じて昨年、精神疾患は若年層、特に思春期で発症が多く、教育現場でのカリキュラムの充実が必要だと、本会派所属の議員3人が求められたところ、県は「精神疾病をどう学習するかは市町村教育委員会及び学校が決定している。県立高等学校では、人権教育や教科『福祉』の授業で精神疾病に関する学習を行い、生徒の理解を深めている」との回答でした。しかしながら、同連合会によると、市町村教委によって、あるいは学校によって、温度差が激しいとのことでした。
鳥取県人権教育基本方針(平成16年11月策定、平成24年1月改訂)を実現するよう障がい者の理解と共生に関する教育の推進を図るには、やはり県教委がイニシアティブを取る必要があるのではないでしょうか。県教委がモデル授業案を制作して県立高校及び市町村教委に示すことは有効ではないでしょうか。短時間の理解を深めるDVDを制作する他、専門性の高い分野でもあるので、精神科医を講師として学校の授業に派遣する費用や授業で使うリーフレットやDVDの制作費を予算計上していただきたいと望みます。
Ⅳ-7-3 通院など障がい者の移動手段の確保のために県独自の助成制度あるいは市町村への支援策を新設していただきたい、
高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律が平成18年に制定され、公共交通機関等の施設のバリアフリー化が大きく進みました。しかし、大都市圏と違って、鳥取県は公共交通機関が発達していませんので、県下の各市町村ではタクシー券の配布などがなされています。500円のタクシー券を配布しているケースが多いようですが、年間24枚から100枚まで様々違いがあります。財政状況や福祉への力の入れ方など様々な理由からではありましょうが、障がい者の移動手段の確保については市町村間で支援策の温度差が大きようです。
市町村間によって障がい者、高齢者の暮らしに格差があって良いわけがなく、しかも、障がい者、高齢者にとって通院の移動手段の確保は死活問題でもあります。市町村の境界を越えて移動するようなケースでは、広域自治体である県が対応策を講じても良いのではないでしょうか。直接の支援制度あるいは市町村の支援策を検討していただきたいと思います。
Ⅳ-8.男女共同参画推進
Ⅳ-8-1 真の男女共同参画社会を実現するために、再度、市町村と連携して、県民の意識改革に取り組んでいただきたい。
鳥取県は、議員提案としては全国初となる「鳥取県男女共同参画推進条例」を制定し、条例に基づき県議会の同意を得て「鳥取県男女共同参画計画」も策定しています。特に同条例は、政策決定の場である審議会等委員が、男女いずれかが4割を下回らないようにする「4割条項」を定め、女性委員の登用を進めている他、男女共同参画推進員制度も設けて、全国でも男女共同参画が進んだ県庁と言われるまでになりました。ところが、市町村レベルでは、男女共同参画条例こそ18市町村で制定されたものの、例えば、鳥取市が男女共同参加推進課を減員したうえ、推進室に格下げするなど、意識の低下が目立つ自治体も出てきました。これは大きな問題です。県は市町村と問題意識を共有して、県だけでなく、県下の市町村でも4割条項の達成を目指す他、町内会の女性役員の増加、男女共同参画社会推進会議への男性の参加など足元のコミュニティから男女共同参画社会が実現できるように努力していただくよう望みます。
【Ⅴ】彩り、輝き-鳥取の誇り
Ⅴ-1.とっとり環境イニシアティブ
Ⅴ-1-1 次世代エネルギーパーク指定を効果的に使った事業展開を実行されたい。
資源エネルギー庁は平成25年9月17日、鳥取県全域を「とっとり次世代エネルギーパーク」に指定しました。全県エネルギーパーク構想は平成24年11月に旧「会派かけはし」が提案し、環境立県推進課と共に関係機関への働きかけを続けてきただけに、うれしく思います。
次世代エネルギーパークは、小学生から高齢者まで国民各層が、新エネルギーを中心に日本のエネルギー問題への理解の増進を深めることを通じて、エネルギー政策の促進に寄与することを期待するものですが、ひとつの県がまるごと次世代エネルギーパークに指定されることは初めてです。従前から大型の水力発電、風力発電のウィンドファームが多く設置されていた鳥取県ですが、全国最大規模のソフトバンク鳥取米子ソーラーパークが加わると、素材には事欠きません。再生可能エネルギー施設と鳥取砂丘などの観光資源を融合させた魅力的なエネルギーパークを形成し、県内外からの修学旅行や環境学習ツアーの誘致が進むように必要な予算措置を取られることを望みます。
(11月会派要望時 【Ⅵ】-1)
Ⅴ-1-2 県民環境ファンドの立ち上げを全力で支援し、再生可能エネルギー導入の県民運動を展開されたい。
鳥取県環境イニシアティブプランは高い理想と明るい夢をもった政策と高く評価しますので、県民の知恵を集め、さらなる前進を望みます。
県内企業が地元金融機関から資金提供を受けて県民ファンドを設立しようという計画されていますので、県として全力で支援していただきたいと思います。ファンドは県から県有地の遊休地や県営施設の屋根を賃借または無償提供を受け、再生可能エネルギーによる発電設備を整備するほか、県民が再生可能エネルギーによる発電施設や生活の中である廃棄物のリサイクル施設などを建設する場合に資金援助するなどの事業を展開します。事故施設で発電した電力を売電して得た利潤や資金援助で得た利息で、借入金を返済や新しい発電設備の設置にあてるほか、利潤の約1割程度を拠出して環境保護活動に取り組む団体を顕彰すると共に資金面で支援する活動を展開していく目論見です。さらには、次世代エネルギーパークと連動した見学施設も開設し、地域の学校教育や生涯学習にも貢献したいと期待を募らせておられます。環境ファンドを県が支援することで「緩やかなエネルギー革命」を加速させていただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅴ】-2)
Ⅴ-1-3 地下水研究の推進と水を大切にする県民意識の醸成に務められたい。
県議会は平成24年12月、「とっとりの豊かなで良質な地下水を保全し永続的な利用に関する条例」を制定し、平成25年度当初予算では「とっとりの豊かで良質な地下水の持続的な利用事業」の関係費用として3,116万円を計上されました。地下水研究プロジェクトを立ち上げ、県下三大流域の一流域ごとに、地質、地形、地下構造等の文献データ等をもとに2年程度かけて調査、研究し、流動シミュレーションや賦存量電子マップの作成を通して、水の見える化に取り組むこととされています。しかし、文献データの調査だけでは足りません。本条例の一番ユニークなところは、井戸の水位の報告義務を課したことです。井戸の水位に加えて雨量や河川の水量など実測データの収集に努め、地下雑音や地震データなども解析し、1日も早く地下水の賦存量、流動システムの解明を行い、地下水の持続利用に向けた研究を推進するため、そのために必要な予算を計上していただくことを望みます。また、地下水の重要性に関する県民の意識醸成も重要です。県民運動的な取組みとして、地下水ツーリズムやシンポジウムの開催、さらには名水マップ作成や名水周辺の環境整備などに取り組んでいただきと思います。(11月会派要望時 【Ⅴ】-3)
Ⅴ-1-4 企業局は再生可能エネルギーによる発電事業にもっと積極的に取り組んでいただきたい。
県企業局が境港のFAZ倉庫の屋根を利用して設置した太陽光発電所が稼働し、鳥取空港の使っていないエプロンを利用した太陽光発電所も事業化に向けて動き出しました。環境イニシアティブプランを実践する意味でも、これらの取り組みは評価したいと思いますし、さらなる事業展開を期待します。遊休県有地を洗い出し、中国電力と協議して系統連系の容量を確保して、さらに多くの太陽光発電所を建設していただきたいと思います、売電価格は年々下落しますので、事業展開は喫緊の課題です、また、風力発電の売電価格は引き上げられたことから、採算ベースに乗りやすくなりました。鳥取県は100キロ以上の海岸線を持ちます。洋上風力発電所も含め、ご検討いただきたいと思います。(11月会派要望時 【Ⅹ】-1)
Ⅴ-1-5 木質バイオマス発電所維持のための木材収集システムを構築していただきたい。
会派希望の3人の議員が、平成25年当初予算で、倒木や間伐材などこれまでお荷物でしかなかった木材に価値を創造し、林家の収入増を目指す木質バイオマス発電所建設を提言したところ、国の補正予算(経済対策)を活用して、「木質バイオマス発電等推進事業」として、28億円の予算を計上し、操業へ向けて必要な事業を開始していただいたことに、感謝いたします。
木質バイオマス発電所の導入にあたっては、燃料用木材の安定確保が最も重要な課題と考えます。智頭町で実施されている「木の駅(木の宿場)」を全県へ広げ、製材所や建築現場で端材を回収するリサイクルシステムを構築するのはもちろんのこと、河川や道路の工事で出る支障木や伐採木を枝の端から根っこまで徹底的に利用できるシステム、森林の間伐材や倒木を搬出するシステム、街路樹や公園の植栽木を剪定して出る幹や枝を回収システムなど、中山間地から市街地までを網羅した木材収集システムを構築していただきたいと望みます。河川や道路の県工事で出る支障木や伐採木、街路樹の剪定で出た幹や枝などは「公共工事建設副産物活用実施要項」で再資源化施設への搬出が原則になっていますが、木材市場や希望者に売却することもできると定めています。再資源化施設への搬入する場合は処分費用がかかりますが、バイオマスとしての再利用は若干でも収入になりますので、財政にも優しい処分方法と言えるのではないでしょうか。実現を強く望みます。
Ⅴ-1-6 市民共同発電所を応援していただきたい
非住宅用太陽光発電設備を設置する場合、
(1)発電設備の敷地外部分の系統連系用電源線の整備距離が1kmを超える。
(2)県内事業者が資本・施工・管理運営のいずれかに参加すること。
(3)発電設備の出力アップを含み、太陽光発電事業は出力0.1MW以上5MW以下。
の条件をクリアすれば、系統連系用電源線費用補助として事業費の1/2を上限に、1kmあたり500万円が支給されるほか、売電を開始するまでの利子相当額の補助も受けられます。企業等が遊休地の利用策として、太陽光発電所を営利目的で設置する場合はインセンティブとなり得ますが、県民が県民運動として設置する市民発電所の場合は、県民の意識醸成という意味合いからも、もう少し応援があっても良いと考えます。埼玉県の市民共同太陽光発電事業補助制度にならって、事業そのものに対して助成すると共に、0.1MW以上という条件も緩和して、応援していただくことを望みます。
Ⅴ-1-7 再生可能エネルギーの発電所を建設する企業に対して中国電力との系統連携を支援していただきたい。
企業等が太陽光発電など再生可能エネルギーの発電所を県内に建設する場合、中国電力から系統連系の承認を受けなければなりませんが、企業が臨むような条件で承認を受けられないケースが散見され、ケースによっては建設計画の断念を検討されている企業もあるようです。
系統連系の上の問題が提起される場合、バンク逆潮流が問題となるケースが多かったのですが、資源エネルギー庁から平成25年5月、バンク逆潮流の制約緩和の通達が出され、新たに対策工事が必要となる場合は,対策工事に係る工事費用を発電事業者が負担することで可能となりました。中国電力の場合、契約受電電力1kWあたり3,675円を支払えば、接続が可能となりました。全国最低額の九州電力は1,260円。中国電力は東北電力と並んで全国最高額ではありましたが、これで系統連系の問題は解決しと思っておりました。
ところが、バンク逆潮流の制約が緩和されても,配電用変圧器の容量や送電線容量等の上位系統の制約により連系が困難となる場合、上位系統増強工事が必要となり、その工事費用は、発電事業者の負担となりますが、その額が、極めて高額になるケースも出てきています。資源エネルギー庁がバンク逆潮流の制約を緩和しても、電力会社が別の理由を提示して接続に難色をしめしているようでは再生可能エネルギーの普及は進みません。
中国電力に対して、配送電会社の責任として、県内で再生可能エネルギーで発電しようとする県民や団体と課題な負担をしなくても接続することができるように送電線等の整備を進めるよう強く求めていただくと共に、系統連系用電源線費用補助だけでなく、配電用変圧器容量対策費用補助も検討していただくことを望みます。
Ⅴ-2.外国人観光客を倍増
Ⅴ-2-1 スカイマークで結ばれる国際空港に乗り入れているLCCと連携し、海外~成田・関空~米子空港という旅行商品を提案されたい。アシアナ航空に対しても、鳥取県・沖縄県周遊ツアー、鳥取県・北海道周遊ツアーといった就航地方の他道県と連携した旅行商品を創生し、大交流時代を花開かせていただきたい。
スカイマークの航空路が12月、米子と神戸、茨城、成田の間に就航し、来春には羽田、那覇、札幌へ延伸し、いよいよ、鳥取県は大交流時代へ踏み出します。兵庫、茨城、千葉、沖縄の各県、北海道の観光や商工行政の担当部局と連携を取っていただき、観光客や修学旅行を誘致し合い、素形材や電子部品などを相互に販売できるように旅行会社や修学旅行担当の教師、部品の仕入れ担当者を招く費用などを計上し、しっかりと市場開拓をしていただきよう望みます。
Ⅴ-3.スポーツツーリズム・エコツーリズムの振興
Ⅴ-3-1 県内自動車学校を就職支援、観光コンベンションの施設として位置づけ、支援策を講じられたい。
県内の正規雇用の求人倍率は改善したといっても0.41倍であり、特に新規卒業生といった若年層で厳しい状況が続いています。そこで、就職希望者に限って、各種運転免許取得の一部助成制度の導入を提案します。営業部門への就職では免許の保有は必須条件のようなものでありますし、路線バス運転手の高齢化人手不足も指摘され、特に中山間地域を抱える鳥取県においては大型二種運転免許の取得者増は喫緊の過大であり、大型特殊免許があれば建築業界などへの就職が有利になるからです。秋田県では同種の取り組みがなされており、検討していただきたいと思います。
県内の自動車学校は関西圏を中心に多くの合宿制運転免許講習生を受け入れ、宿泊や飲食など多くの二次的経済効果を生んでいます。加えて講習生には大学生ら若年層が多く、こういった若者には「おもてなし」の気持ちで接し、鳥取ファンになってもらうことが将来的な投資になるのではないでしょうか。そこで、観光コンベンションのひとつとして位置づけ、観光コンベンション支援と同様、県営施設等の無料入場券や鳥取市などの協力してくる梨の無料乗車パスを配布するなどの支援策を創設していただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅲ】-4)
Ⅴ-4.まんが王国とっとりの展開
Ⅴ-4-1 コンテンツ産業振興のため、まんが王国秋葉原倶楽部への支援を継続拡充していただきたい。
まんがやアニメなどをベースにはコンテンツ産業は年々規模を拡大しており、その大きさは自動車産業を凌駕しています。本県も平成23年に国際まんが博覧会・国際まんがサミットを開催しましたが、一過性のイベントではなく、コンテンツ産業振興やまんがをキーワードにした観光振興のためのキックオフイベントであって欲しいと願っています。その意味で、東京・秋葉原で、山陰コンテンツビジネスパーク協議会が県の補助を受けて、県内企業のポップカルチャー系コンテンツ等の情報発信や販路開拓などの推進拠点となる「まんが王国とっとり秋葉原倶楽部」が昨年10月、東京・秋葉原に開設され、開設を記念して県内企業のコンテンツ等を首都圏の関係企業・関係者に紹介する「とっとりコンテンツ・ミーティング in AKIBA」も開催されたことは高く評価したいと思います。
まんがやアニメなどポップカルチャーの中心地である秋葉原にまんが王国の拠点が設けられた意味は大きいのですが、規模も15㎡も小規模で、予算規模も大きくはありません。今後、秋葉原倶楽部への支援を継続充実していただき、コンテンツ産業を県内に誘致し、あるいは、県内のコンテンツ産業を売り出していただく、支援の充実を望みます。
Ⅴ-5.アーティストリゾート推進
Ⅴ-5-1 創立15周年を迎える「県立とっとり花回廊」を西部圏域の観光拠点として再整備すると共に「大山ミュージックリゾートin花回廊」などのイベントをブラシュアップされたい。
県立とっとり花回廊が開園から15周年を迎えます。花回廊は15万坪の敷地に四季折々の花が咲き乱れる国内最大のフラワーパークであり、平成25年5月には植樹祭の会場となったことからお手植えの樹木、御野立所を再利用したコンサート施設など園内の整備も進みました。開園15周年を機に、さらに園内施設やイベントを見直し、県西部観光の拠点として再整備して、鳥取県の魅力を全国に発信されることを望みます。加えて、NPO大山王国(NPO法人大山中海観光推進機構)などが開催している「大山ミュージックリゾートin花回廊」は、2000年から始まった音楽イベントですが、フォーク世代の心をしっかり掴んでみ、大山夏至祭と共に大山王国が進める「大山ミュージックリゾート構想」の中心行事となっています。この構想は市町村域を越えて、大山の魅力を発掘し、全国へ発信する企画なので、県にはしっかりとした支援をお願いいたします。
植樹祭会場が理想的な野外コンサート会場として使えることから花回廊15周年では、「大山ミュージックリゾートin花回廊」を記念イベントの中心に据え、関係者とともに盛り上げていただくことを望みます。(11月会派要望時 【Ⅻ】-1)
Ⅴ-6.山陰海岸ジオパークなどの推進
Ⅴ-6-1 京都府、兵庫県とのネットワークを強化し、拠点施設や野外解説板・案内板をブラッシュアップして、世界ジオパークネットワークの再認定を確実なものにしていただきたい。
日本ジオパーク委員会は、山陰海岸ジオパークを日本ジオパークに再認定し、鳥取市西部の拡大エリアについても併せて拡大が認めました。「ジオサイトの保全、ジオパーク内の学術研究支援が進展しており、ジオパークとして一体となった運営ができつつある。ジオパーク内のガイド制度の整備が進んでおり、ガイドのレベルアップが可能な体制となってきた。これらの活動をベースに、ジオパークへの旅行者が増えてきており、ジオパークを利用したビジネスが創出され、IターンUターンの移住者が現れている」との評価をいただいた反面、「地域住民同士のネットワークをさらに強化し、拠点施設や野外解説板・案内板をより魅力的なものとし、見学モデルプランの提案などを通じて旅行者にわかりやすいジオツーリズムを提示して欲しい」との指摘も頂きました。日本ジオパーク委員会の指摘を真摯に受け止め、京都府、兵庫県と連携を深め、世界ジオパークネットの再認定を確実なものにできるよう必要な予算を計上していただくよう望みます。
Ⅴ-7.全国豊かな海づくり大会・全国植樹祭・全国都市緑化フェア等の成功
Ⅴ-7-1 植樹祭など緑のイベントで発信した「とっとりグリーンウェーブ」を永続的な波になるように全国植樹祭が開催された5月26日を「鳥取県森林の日」にし、「鳥取流緑化スタイル」の定着を図るため、県立施設にナチュラルガーデンの導入を図っていただきたい。
昨年は「第64回全国植樹祭」「第30回全国都市緑化フェアとっとり大会」「エコツーリズム2013 in鳥取」と全国規模の緑のイベントが続き、鳥取からグリーンウェーブを全国発信した1年であったように思います。中でも、地域にある身近な自然を、ナチュラルガーデンという形で公共スペースや自宅の庭などの生活空間に取り入れる「鳥取流緑化スタイル」の提案は興味深いものでした。ナチュラルガーデンマイスターなど鳥取流緑化スタイルを実践する人材の育成を市町村と連携して進めるとともに、県立高校等の県立施設から率先して、植栽をナチュラルガーデンに移行する取り組みを進めることを望みます。
Ⅴ-7-2 「とっとりグリーンウェーブ」のシンボルとして倉吉農業高校の演習林の整備を進めていただきたい。
倉吉農業高校の演習林は110haもあり、都市緑化フェアで蓄積したノウハウを活用して、理想的な森とはどんな森か県民の皆様に体感していただく「県民憩いの森」として再生するよう11月補正予算に対する会派要望で求めたところ、「グリーンウェーブを進める上で大きな可能性があり、現在、森林の整備、維持・管理方法、同校における教育的活用策、地域住民や県民を対象とした利用方法などについて、教育委員会と学校、農林水産部が協力しながら検討を行っていく」としていると前向きな回答を頂きました。新年度予算で実現に向けての調査費を計上していただき、1日でも早く、県民憩いの森としてオープンできるようご努力いただきますよう望みます。
Ⅴ-7-3 全国障がい者芸術・文化祭の成功と障がい者アートの定着に向けた施策を実行されたい。
全国障がい者芸術・文化祭は、障がい者の芸術及び文化活動への参加を通じて、障がい者の生活を豊かにするとともに、障がいへの理解と認識を深め、障がい者の自立と社会参加の促進しようとする意欲的な企画ですが、障がい者を中心に限られた人たちの企画になりがちです。平成26年に開催される鳥取大会も「障がいを知り、共に生きる」を大会テーマに、障がいのあるなしにかかわらず、誰もが参加し、楽しみ、感動を共有することのできる鳥取県らしい大会を目指しているとのことですが、県民の認知度はまだまだ低くようです。県教委に加え、市町村教委の協力を求めて県内の児童生徒全員が参加できるような工夫をすることで盛り上げを図ると共に、イベントを一過性のものにしないために、高知市の藁工ミュージアムのようなアール・ブリュットが体感できる常設施設も検討していただくことを望みます。
Ⅴ-8.ようこそようこそIJU(移住)2千人プロジェクト
Ⅴ-8-1 地域おこし協力隊を里山を守る「もり人」に指定し、中山間地の環境保全を図りつつ、協力隊員の生活を安定させていただきたい。
都市住民など地域外の人材を地域社会の新たな担い手として受け入れ、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方で、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることで、地域力の維持・強化を図る地域おこし協力隊が、八頭町志子部や智頭町山郷地区など県内でも活躍しています。総務省の事業であり、国の支援などもありますが、地域で定着するには県の手厚い支援も必要です。農林業の条件不利益地域を指定し、里山を管理する「もり人」に地域おこし協力隊員を指名し、森林や河川の管理、有害鳥獣対策に従事してもらうことで、中山間地の環境保全を図ると共に、地域おこし協力隊の生活を安定させてはどうかと考えます。制度設定を検討するための調査費の予算計上を望みます。
私は2013年12月5日、11月定例議会の本会議で登壇。知事に一般質問で論戦を挑みました。今回は会派希望(きぼう)のお披露目議会です。全議員が「鳥取県の未来について」という共通テーマで質問しましたが、内容は、国岡議員が少子化過疎化、私が食の安心安全とブランド化、横山議員がスポーツ振興と体育教育、森岡議員が漁業問題と特定秘密法案、伊藤議員が原発とエネルギー政策で、全体では代表質問になっています。以下は私の質問です。
副議長(前田八壽彦君)3番砂場隆浩議員
3番(砂場隆浩君)(登壇、拍手)会派「希望」の砂場です。
議長のお許しを得て、お手元にパワーポイントの資料をお配りしておりますので、参考にしていただければと思います。
国岡議員が少子化と過疎化の視点から、鳥取の未来について論じましたので、私は農産物、なかんずくその輸出の視点から議論をしたいと思います。
前回、9月議会で私は食のみやこ鳥取とはということで知事と議論をさせていただきましたが、そのとき、平井知事は、鳥取県のいいところは豊かな環境の中でとれとれの農林水産の生産物があり、食文化を大切にする風土がある。食のみやこ鳥取は、食の安心・安全が基本であることには間違いがないと答えていただきました。そして、地場の生産物をふんだんに活用して、観光面だけではなく、東京、大阪へ打って出る。さまざまな波及効果を打つ運動を展開したいのだと強く言っていただきました。本当に方向性が一緒だなと安心をいたしました。つまり、食のみやこ鳥取とは、安心・安全をベースに非常に高い品質の食、そして生産物をベースにして、伝統も文化も大切にして、それで鳥取の未来を切り開く産業育成をしようと、極めておもしろい、そして建設的な考え方だと思います。
次のシートに移ります、ページです。日本の農林水産物の輸出額をごらんいただきたいのですけれども、昨年は 4497億円ございました。ちなみに、日本の輸出は63兆円ですから、わずかに 0.6%です。そうしますと、ここはしっかりとふやしていく、ふやしていくべきものだと私は思います。今まで一番多かったのが2007年ですが、その翌年、リーマンショックが起こり、少し低迷をしておりますが、やはりここはこれから伸ばすべきだと思います。
下のシートをごらんください。では、県内はどうかといいますと、過去4年を見ますと800トン輸出したときもあれば、それが300トンに落ち込んだときもある。輸出先を見るというと、それがほとんど台湾だということになります。そうすると、梨を台湾に出すことが鳥取県の農林水産物の輸出の中心でありますから、これを多様化していくことができれば、もっともっと農林水産物の輸出は伸びると思います。ちなみに、友好提携しております河北省の人口は 7100万人でありますから、もし仮に1人 1000円買ってもらえれば、鳥取県の農林水産物の生産額は 685億円ですから、これをクリアすることになります。
そして、今海外の食品をめぐる動きで、私が心配をしておりますのがアメリカの食品安全強化法をめぐる動きです。もとをただせば、2002年にアメリカにバイオテロ法ができまして、外国の食品関連施設は全て登録をしなければならなくなりました。できるのかなと思っていると、これをアメリカはやるのですね。そして、それをベースにして、2011年の1月4日、食品安全強化法が制定されます。アメリカは70年ぶりに食品安全行政を一変をいたします。
そして、これに基づきまして、ことしの1月4日、強化法103条と105条と施行のための規則案が公表され、先月の22日にこのパブリックコメントが終了したわけでございます。このパブリックコメントをアメリカの場合は非常に丁寧に議会でも、また政府でも見ます。そして、それが1年ぐらいかけて実際の施行に移ってまいるわけでございますが、今申しました中の 103条と105条は、どういうものかといいますと、 103条は危害分析に基づく食品安全計画を作成をしなさいよということです。危害分析というのは、どこで食品が汚染されるのかということをしっかり分析をして、それに対する対策を立てなさい。加えて、どこで汚染されていないか、それをどういうふうに確かめたかと、しっかり記録、レコードにしなさいということです。そして、 105条は、これについて、農産物についても、生産、収穫、包装について同じようなものを課してまいります。そして、驚くのは、その107条ですけれども、連邦食品医薬品局、FDAに対して、手数料を徴収する権限を与えて、調査を外国でやってもいいよということにしたわけであります。
先ほど言いましたバイオテロ法に基づきまして、食品が関連施設は登録されておりましたが、これをもう一度、食品安全強化法で 102条は登録をいたしました。これは輸出入業者が登録しましたから、日本の食品加工メーカーは自分が登録されたことがないと思っていても、登録されていることがあるわけです。アメリカで売られている食品は全て登録をされております。
そして、FDAによる調査はもう始まっております。2011年の11月から登録情報を確認するメールが日本の各工場に届いておりまして、去年の夏以降、実際に検査が始まっております。まず、メールで検査が通知をされて、日程の調整がなされた後に、検査官がやってまいります。そうすると、先ほど申しました安全計画に基づいて、しっかり記録ができているのか、この記録がしっかりしているかという書類審査が行われた後に、職員や働いている人に質問をして、現場も確認をして、サンプルの抜き取り調査までをします。ただし、このときにHACCPで対応していますよということを示した場合には、非常に簡単に終わっているそうです。そして、結果として問題がなしということになりますと、検査の報告を交付して帰りますし、即時修正できるような軽微なものだったら、そこで直していただくと。今のところ、日本はここまでですが、もし重大な問題があれば、警告書が発行され、再検査となります。
ちなみに、再検査となると、今度は手数料がかけられます。これは、アメリカのFDAを出てから帰るまで1時間当たり 289ドル、約3万円です。仮に7日間、往復2日かかって、3日検査して、2日かかって、7日間とすると、約500万円の手数料が要求されるわけですから、そうすると、小さな工場だったらもう輸出はやめてしまおうと、こういうふうな状況になってまいります。
ただ、この法律が本当にデメリットだけかといいますと、輸入業者が外国食品加工業者に対して、先ほど言いました 103条、105条を守っているよということを検証することを義務づけておるのですが、第三者監査制度を成立をして、ここの認証を受ければ、非常に手続が簡略化されてまいります。としますと、国内でも第三者の監査制度がございますが、これは鳥取県のそういう施設であっても、認証を受ければ、第三者監査制度になりますから、国内で法制度を整えていく、検査制度を整えていけば大丈夫だということにもなってまいります。そして、実は、これがカナダ、EU、中国でも同様の法制度が認可をされようとしております。
今出てきました国際認証ですけれども、今話しましたHACCPというのは、食品の中に生物的、化学的、これがいろんなものがまざるとか、例えば刃物が割れて混入とか、いろんな危険分子があると思いますが、それを科学的に分析をして、それを除去する、あるいは安全の範囲まで低減することを常時管理して、記録をしてくださいというのがHACCPの基本的な考え方でありまして、そういう主張です。それを取り入れて、ISOの22000ができました。
そして、FSSCというのは、これは後で出てまいりますが、GFSIという機関が英国協会がつくりましたPASの220と、今言いましたISO22000を一緒にした国際認証規格でございます。
そして、今言いましたGFSIでありますけれども、世界中の食品販売チェーンや食品メーカーがつくっている組織なのですけれども、実はこの理事会にはイオンが副議長に就任したわけであります。そして、日本のワーキンググループはそれから強化をされまして、そのコアチームのリーダーは、世界と同じイオンが務めておりますが、サブリーダーとして花王、キリン、コカ・コーラが就任し、メンバーの中には味の素、伊藤園、そこに書いておりますような各メーカー、日本の大手の企業はほとんど入ってくるというふうになっております。
そうしますと、これから食品業界はどうなってくるかといいますと、農林水産物を輸出しようと思いますと、そこにはHACCP的手法のアメリカの食品安全強化法が出てきていますし、それを追従する動きが世界中にあると。そして、国内でも同じようにHACCP的手法を用いて検査をしてくださいよと、管理をしてくださいというGFSIの動きが全体になってくる。食品をつくって売るって大変だなと思われるかもしれませんけれども、そこをピンチをチャンスに鳥取県には変えていただきたいと思うわけであります。
現実に、鳥取県は食の安全・安心プロジェクト推進事業をやっておられます。予算 5000万円で、実績が今の段階で9社から 1822万円を出しまして、先ほど言いましたISOですとか、FSSCの認可に向けて動いておられます。このことについては、非常にBSIのジャパンオフィスでありましても、GFSIも非常に高く評価をされておりまして、非常にこれは今後、こういう認証をきちっとしていくことで、鳥取県の食品加工業、そして農林水産物に大きく寄与するものだと思いますが、知事はいかがお考えでしょうか。私は、今回のプロジェクト事業は非常にいい事業だと思いますが、今後、拡充、発展をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
私の質問はまだ続きます。
壇上での私の質問は続きます。
それと、もう一つの提案をいたします。それは、PDOとPGIのまねをしないかということです。皆さんよく御存じのブルーチーズのロックフォールですけれども、これはロックフォールのシュール・スールゾン村、わずか人口 690人の村でつくられているチーズですけれども、スルーゾン村の牧草で育てた羊の乳を使って、スルーゾン村の洞窟の中で洞窟のカビをつくって、3カ月熟成されたものだけがこのロックフォールということができます。
同じように、PGIのアバッキオ・ロマーナというのは、ローマを中心としたラツィオ州で生まれた子羊で、それも母乳で育てられ、草を食べる前のお肉のことをそう言います。子羊ですね。
これは、実は階層に分かれていまして、一番最初に言いましたPDO、原産地名称呼称制度というのは、生産、加工、調整、全てが特定の地域内でやらなければいけないのですけれども、先ほどいきました羊の場合、この地理的表示保護制度では、それのいずれかであればいいと。そして、伝統的特産物保護制度は、手法が守られている。何段階かに分かれていた制度が構築をされております。
これが、では、こういう制度がブランド化に有効かどうかというのは、次のページですけれども、実はコストについては、保護制度にあったとしても、半分ぐらいしか上がっていないと答えているのですけれども、価格については77.8%が上昇したと答えています。そうすると、66%が利益が上がりましたよとも答えたんですね。農家の皆さんの例えば手取りがふえたわけです。
それをもう少し詳しく調査をした結果がありまして、その次のページですけれども、ブレス鶏は、普通の銘柄鳥の 3.7倍の価格で販売をされておりましたが、大きいことに、農業者の手にどれだけのものが乗るかというと、全体の利益の35%が渡っておりまして、他の銘柄よりも大きい。それから、イタリアのトレンティーノ地方でとれるリンゴですけれども、ノン渓谷のPDOを取ったものについては、価格は 1.3倍なのですけれども、農業者に渡るお金は、半分が農業者の手取りになっている。こういう産地の保護制度を導入することによって、農業者、水産業者が非常に多くのお金をもうけることができるということが調査でわかっております。そういう意味で、ブランド化は非常に大切でありますし、ここで鳥取産、地域と一緒になったブランド化というものが大切であろうかと思います。
では、鳥取県がそういうふうに、鳥取という地域と特産物をチェーンした制度がないかというと、実は3つございまして、とっとり食の安心制度ですとか、ふるさと認証、食のサポーター、そして、今度の、また新しく鳥取県産品の登録制度をつくると、こういうふうにおっしゃるわけです。何でこんなに3つも4つもつくらなければいけないのかと思うわけですよ。
これは、目的は基本的にはその商品をブランド化していって、それが産地のものですよ、衛生管理ができていますよ、鳥取の食のすばらしさが入ったものですよということが入っているけれども、基本的には消費者に対して、鳥取県の農水産物、食品加工物がいいですよというPR事業なわけです。ただし、それが対象が製造施設であったり、製法であったり、また、あるいはそれが農林水産物そのものであったりという形で、対象が違ったり制度趣旨が違ったりするわけですけれども、どうでしょうかね、一つの制度にまとめて、それぞれの分野みたいな形にならないのでしょうか。
実績としたら、実際にとっとり食の安全認定制度は16施設しか認定をされていない。ふるさと認証食品といっても 100社で約500件という形になってまいります。鳥取県の食のサポーターは 1000店舗、600社とふえてきていますけれども、これが全部トータルの一つのシステムになって、同じ名称になったらどうかと、こういうふうに思うわけです。
それが次のページですけれども、新しく一本化した鳥取産の表示制度をつくっていただいて、それぞれに食品添加物だったら、星ができますよとか、国際認証を取って安心・安全が担保されたら、また星ができますよとか、このうちの50%だったらオーケーですとか、いろんな星をつくって、これは鳥取の食のサポーターも、三つ星サポーターみたいなのをつくっておりますから、四つ星サポーターにする、五つ星サポーターにするということでも構いませんし、色分けしてもいいと思いますけれども、やはり広告、宣伝、シンボルマークを統一することで、そこに広告やイベント、経費を集中投下することによって、初めてブランド化はできるのではないかなというふうに思います。
そして、そのベースには、今言いました国際認証等をしっかりとルール化をしていく。そこで安心、そして信頼感を醸成していくことが大事ではないかと思うのですけれども、知事、いかがでございましょうか。
先ほどの伊藤議員の質問の中でもありましたが、きのうでちょうど、東日本大震災の発災から 1000日がたちました。私たち会派では、11月20日から2泊3日で福島を訪れ、畜産、水産、農家、さまざまな皆さんのお話を聞いてまいりましたが、その中で出てきましたのが、事故の後、情報がない、知識がない、資材がない、人材もない、本当にないないづくしな苦労をしてきて、その苦労は今も続いているという話でございました。
11月18日に、滋賀県の琵琶湖環境科学センターが、地域防災計画の見直し検討会の中で、水源としての琵琶湖の汚染シミュレーションを発表しております。それによりますと、福島第一原発事故と同じような事故が起こりますと、1450万人分の水源が1週間喪失をする、最悪の場合、そうなると。セシウムとヨウ素によって汚染されるという発表をされております。
同じようなことが鳥取県水産物、島根原発は海に面しておりますし、空中にセシウムやヨウ素が放出されますと、さまざまな農林水産物に問題が起ころうかと思いますが、こういうシミュレーションを担当部局やいろんなところで、非常に難しいそうでございます。非常にたくさんの知見の集積がありますけれども、そうなってきますと、福島県に学んでできることは、摂取制限を徹底することしかありませんし、そのためにはモニタリング体制を確立しなければならないということです。
ところが、線量計ですら1台20万円もして、非常に大量の、そして高額な機器が必要になってまいりますので、そこは日本全国の原発が一斉に事故をするということはなかなか想定できませんので、各自治体間で連絡をして、連携をしっかりしていただくと。もし何か万が一のことがあったら、もしもあってはなりませんが、万が一のあったところは、いろんな県が協力をしてその一県を支えるというような地方自治体間の強い連携をつくるべきだと思いますが、知事、いかがお考えでございましょうか。
原発問題については、さまざま多くの問題を抱えておりますが、あとは、私たちの会派の最後の質問者であります伊藤議員が詳しくやりますので、そこに譲りまして、壇上での質問を終わらせていただきます。では、知事、よろしくお願いします。
副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。平井知事
知事(平井伸治君)(登壇)砂場議員から、これからの食のみやこづくり、あるいは農林水産物等の観点からお尋ねをるるいただきました。
まず、第1点目として、国際認証の大切さ、これからウエートが高くなっていることを御説明いただき、食の安全・安心プロジェクト推進事業、その充実を図るべきではないかというお尋ねがございました。
これは、まさに、多分、議員が述べられている方向性にだんだんと世の中は向かうだろうと思います。議員のお言葉でいえば、むしろ規制が厳しくなってくることを逆手にとって、鳥取県だから例えば出荷できるだとか、鳥取県だからあそこへの販路が開拓できたというふうに、資格を取れるような環境づくりをしようと、こういう御趣旨でございました。
アメリカにおいて、お話がございました2013年の食品安全強化法、これは相当要は外国も含めて乗り込んでいくぞというような意味合いだと思います。もともとアメリカの食品行政というのは、非常に厳しいことで世界的にも有名でございました。今お話にございましたFood and Drug Administationと言われますFDA、食品医薬品局ですかね、連邦のFDA、これは強力な規制権限を持っているわけであります。
私もニューヨークにいたころに、そこの日本食のレストランの方から、よくアメリカの、アメリカに進出していくことの難しさを聞かされました。日本食ですから、フグを扱うわけですね。ところが、フグなどという毒の魚を使っていいのかと、これでFDAと大げんかになりまして、なかなかそういうフグ料理というのを認めてくれなかった。だから、あの手この手で、ワシントンに通ったりして、それで初めて、昨日和食が世界文化遺産になりましたけれども、理解がない時代に、そういうこともやったということでありますが、もう出すな、店を開くなという権限があるわけでございまして、FDAというのは非常に恐ろしい存在であります。
さらに、日本でも、例えば梨の輸出をするとかということになりますと、こちらのほうまで検査に来るわけですね。農林関係だとか、そういうFDAの関係などで。そういうところのインスペクション、査察というのに絶対的な権限がありまして、我々のほうはもう何ともしようがない、もうこれは外国のことでありますので、そういう部分であります。
ただ、それが無鉄砲にやっているかというと、そういうことでもないのですね。ロシアと折衝をしてみてもよくわかりました。今回もいろんなものを、DBSクルーズフェリー以来、向こうに販売を送り込みますけれども、トラブルはしょっちゅうございます。ただ、よくよく向こうの事情を聞いてみますと、向こうには向こうなりのロジックや手順、プロセスがあって、それが日本と余りにも違うものですから、理解がされない。そこに無理やり持っていくと、結局そこで時間を使ったり、場合によっては腐らせたりということになるということでございまして、いわば賢明に、クレバーに外国とのおつき合いをすることが必要です。
その意味で、議員がおっしゃったように、HACCPでありますとか、ISO 22000でありますとか、そういう国際標準というのを取りにいくことがこれから大切になると思います。議員がおっしゃいましたイオンが中心になりまして、日本の中のスタンダードづくりがなお一層進んでいくと思います。そうすると、日本の中で取引するに当たりましても、そういう国際スタンダードへの適合性が最低の基準として要求される時代に入ってくるということであります。いわば先回りをして対策をとっておく必要があるということだろうと思います。
食の安全・安心プロジェクトは、そういう国際認証も含めて、HACCP等の対応をやることを強力に進めようというものでございまして、森岡議員もたびたび議場のほうで取り上げていただきました。そういう御意見を入れて、随時これは強化をしてまいりました。先般も補正予算で増額をさせていただきました。現実に、今年度は多分、申請が10件を超えてくるわけでございます。ただ、そうしたところに対応できるだけの予算枠を、過去の例でいいますと、ちょっと異例かと思いますが、確保させていただきました。新年度に向けましても、そういう時代の背景がございますので、十分な予算枠がまずは必要だと思います。
さらに、研修だとか、人材の充実だとか、相談窓口等々が大切であります。そういう意味で、そういう国際認証につながっていくようなJABやJAQといった機関とも連携をさせていただきまして、必要となる人材の育成や相談体制、これも研究してみたいと考えております。新年度に向けまして、そういう従来よりももう一ランク上の体制をとれるように、今内々、検討をさせていただいております。
次に、県産品のさまざまなブランド制度、認証制度がございますが、それを統一すべきではないか。さらに、PDO、PGIといったことを参考にして、統合して、例えば星の数をふやす等の管理ができないだろうかと、こういうお話でございます。
これらにつきましては、市場開拓局長のほうから御答弁を申し上げたいと思います。
それぞれに制度目的、議員もおっしゃいましたように、目的もあり、こういう制度ができ上がってきておりまして、そういう制度目的を達せられるように、我々としても万全を尽くしてまいりたいと思います。
最終的には、いろんな構想はあり得ると思うのです。さらから考えれば、システム構築というのはあり得ると思うのですが、何のための制度かというと、一つは消費者のための制度、安心して食べられる。それから、地域ブランドへの信頼感、これを大切にする。そういう消費者のための制度という面と、それから、県内産業の保護、育成、そういうブランドとしての認証を得ることで販売をふやす、付加価値を高める、そうした意味での食品事業者のメリットということも考えて、制度設計を考えるということになろうかと思います。そういう意味で、現場の声、現場の使いやすさ、その辺も十分加味しながら運用する、企画する必要があろうと考えております。
詳細は局長のほうからお答えを申し上げます。
最後に、原発との関係で、調査をする場合の機能が非常に高度なものでありまして、その検査機器が高いとか、人材面での欠乏感、そういうものがある。体制整備が必要ではないかというお尋ねでございます。
11月20日から、会派として福島のほうを2泊3日で訪れたということでございまして、さまざまな知見を得られたのではないかというふうに思います。
このことは、先ほどもやりとりをさせていただいたところでありますけれども、伊藤保議員のときも申し上げましたが、福島のときは、正直政府全体として、この国として失敗をしたのだと思うのです。それを反省をしながら、今後どうするか、そういうことを世界に対するモデルとしても示していかなければいけないところだろうと思います。
福島の事故のとき、おっしゃるような土壌の検査だとか、そういうことでは鳥取県から8名、技術者が県庁から派遣をさせていただきました。何が起こったかといいますと、まず、最初に、先ほど申し上げましたように、全然原発事故というのは想定できていなかったわけですよね。ですから、調査する機材すら十分でない。常設的に検査するところ、調査できる、モニタリングできるところも数が限られていまして、ごくごく立地の周辺だとか、福島県庁だとか、そうしたサイトだけであった。さらに、可搬型でモニタリングできるような装置があったわけではない。まして、周辺地域のほうに行きますと、そうした欠乏感といいますか、ほとんど白地地域だったと。そこにプルームが行ったものですから、大混乱になったというのが真相ではないかと思っております。
ですから、もうその混乱の中で、機材も何もないし、人材もいないという中でありまして、さらに、津波が起こる、震災の直接の被害もある状況であって、正直近隣からの応援は得られなかったわけです。福島の周りでは始末がつかなかったわけです。それで、鳥取県からも8名、技術者が向こうに行くということになりました。こういう大規模な災害、事故のときは、そういう広域的な対応が必要なのだと思います。近隣だけで全部始末することは正直難しい。今回も文部科学省が国として仲介をしまして、技術者の派遣要請が鳥取県側にも来まして、速やかに対応したということでございます。
ですから、島根県と今後の安全対策についてよくよく協議をし、何が不足しそうかどうかも我々としてもあぶり出しをしながら、国に対して広域的な応援、こういうものが必要となりましょうねというようなことを、これからもっともっと求めていく、整理をしていく必要があろうかと思います。
今両県でさまざまなその安全対策を話し合ってきておりまして、福島以前と以後とでは、大分その辺の体制も変わり始めてはおりますけれども、議員のほうの御指摘のとおり、その辺は体制づくり、体制整備を急ぐ必要があろうかと思います。
鳥取県では、そういう原子力対策のモニタリングのセンターをきちんとつくる必要があります。これを今国に要求をしております。それで、現実に機材が行政の現場サイドで今入り始めておりますが、例えばゲルマニウムの半導体検出器であるとか、そういう大がかりな機材が幾つか必要です。セシウムを分析するためには、こういう機械が必要だとか、それぞれの対象に応じた分析の体制づくり、機器というのがあるわけであります。それを一そろえ、羽合にございます、湯梨浜町にございます衛生環境研究所の敷地の中で、もう1棟建てて、そういう原子力に対する環境監視センター的なものをつくる必要があると考えておりまして、今その計画を練っております。設計を来年の半ばぐらいまでにして、その後、建設にかかりまして、大体27年度中ぐらいには仕上げたい、それで今国とも調整をしています。全て国費で対応してもらう、こういう姿勢で今我々としても整備を急いでいるところでございます。
知事は答弁の補足を部局長にさせることができます。今回は三木市場開拓局長に答弁を振りました。三木市場開拓局長の答弁は、ゼロ回答に近いものでした。
副議長(前田八壽彦君)三木市場開拓局長
市場開拓局長(三木教立君)それでは、2点補足答弁をさせていただきます。
まず、最初に、県産品のブランド化制度の統合についてでございます。
先ほど議員からお話がありました食品等に関する県の独自の登録認証制度は、ふるさと認証食品制度、食のみやこサポーター制度、食の安全制度、通称クリーンパスというものがございます。それぞれ目的、背景、経過のもとに制度設計されているというふうに思っております。
議員御提案の制度統合、ロゴマークの統一というようなことは、資源の集中投下、オール鳥取県としてのPRが効果的というアイデアだと思いますが、その反面、個々の制度、目的の特徴が薄れてしまって、例えば食品製造業者にとっては、自分のアピールポイントが表現できなくなるというようなこともありますし、消費者にとっては混乱、誤解、いわゆる誤認をしてしまうというようなこともあります。さらに、これまで周知に努めて、認証食品が約 500商品になったふるさと認証食品とか、食のみやこロゴマークが県内至るところで見られるようになったということもございます。既に県民に定着、登録された、特に市場に流通されている制度でありますので、相当の影響があるものというふうに思っております。
このような理由から、現時点では制度の統合、ロゴマークの統一は適当でないというふうに考えております。
2つ目のEUであるようなPDO、PGI、こういうものの鳥取県版ということで議員から御提案ありました鳥取県産呼称制度といいますか、鳥取県版表示制度というような取り組みについてのお話でございます。
先ほど議員からお話がありましたけれども、原産地呼称保護というような取り組みは、ブランド化や輸出戦略に展開する上で有効な手段というふうに考えております。
御提案の鳥取県版表示制度というもとに一本化した場合に、多くの品目に詳細な認定基準を設計する必要がありまして、商品数が極めて限定的になる可能性もございます。制度としては、多くの事業者に活用していただくということも必要であって、鳥取県版のこういう制度には、現在認証制度を一本化することは現実的でないというふうに考えております。
ただ、いずれにしても、この制度については、県内事業者や大体の方、現場ニーズが前提であるというふうに考えておりますので、関係団体、食品業界の方と意見交換をしてみたいというふうに考えております。