韓国江原道議会からキム・シソン副議長ら5人の議員が来鳥され、鳥取県議会の正副議長、常任委員会の正副委員長との意見交換会が鳥取県議会棟で開かれました。
テーマは観光政策から経済振興策、さらには老人福祉まで広範囲に渡りました。
ウォン・テギョン議員から韓国の福祉政策について、健康な場合、病気や介護が必要になった場合、亡くなる場合の3つの場合分けをして、詳しい説明がありましたが、その中で、「お年寄りの皆さんは国や地方に大変な貢献をされた方々という思いで、敬老思想を若い世代に広げている」という説明が印象的でした。
キム・ヨンジュ議員は、DBSフェリーの重要性を指摘しつつ、「就航している3つの地域が差別化された商品をそれぞれ提供しているとは言えない。それは、3地域が一緒になって何かをしようというネットワークができていないからだ」と指摘。3つの地域の関係者が集まって観光商品をつくるための検討委員会を作ってはどうかと提案されました。また、図們江開発計画については、経済特区の指定を受け、鉄道を利用した物流基地として整備を進めていると説明。「物流基地を半島の東側でなく西側に作ったことの意味が大きい。大陸から日本のラインを考え、トンヘと鳥取がこのラインの中で物流の中継基地となるように考えていきたい」と話されました。
キム副議長は「インフラの整備、特に交通網の整備が地域の活性化には不可欠。ソウルとチョンチュンを結ぶ高速鉄道が完成。さらに、チョンチュンとソクチュ間も2015年に着工する。完成したらソウルと1時間半で結ばれる。さらに高速道路網も整備される。そうなれば首都圏の企業も移転してくるようになるだろう。レゴのテーマパークの誘致に20年間努力してきたが、高速鉄道と高速道路の整備が決まると、こちらも急に決まった。鳥取も、知事、県議の皆さん、そして、地域選出の国会議員の皆さんが一体となって交通網の整備に努力されるといいと思う」と
予定時間を30分以上も超過する熱のこもった意見交換になりました。大統領候補を抱えるセリヌ党、民主統合党の両党の議員が居られるため、午餐会では韓国の大統領選の近況も話題になりましたが、既成政党である両党の間隙をぬって、無所属の候補も健闘されているそうで、なんだか日本と政治情勢が似ているとも感じました。
竹島を巡って両国政府が対立している時だからこそ、こうした地方間の交流を大切にしたいと痛感した1日でした。
福祉生活病院常任委員会では、知事から9月定例会に提案のあった地下水条例を慎重審議が必要として継続審査にしました。11月議会では結論を得るべく、県議会は休会中ですが、審議を続けています。今日は平成19年度から21年度にかけて県が鳥取大学に研究委託した「鳥取平野・大山周辺地域における地下水の収支、動態」の研究リーダーだった檜谷治鳥取大学大学院工学研究科教授と、水法、とくに地下水の法的研究の第一人者である宮崎淳創価大学教授の2人を参考人としてお招きして、お話を聞きました。
檜谷先生の話では、地下水脈は非常に複雑で、地層や地形、降水量の解析だけでは分からないそうです。しかも、県内の調査は今回の調査が唯一の知見であると言ってもいいほど進んでいないそうです。保全の基礎は調査による実態把握で、実態把握調査の第一歩は、地下水をどれだけ使っているか調べることだそうですが、その正確なデータもないそうです。鳥取平野では地盤沈下も止まり、その意味では地下水の汲み上げと供給のバランスは壊れていない。また、大山周辺では、河床からの湧水が多く、表流水と地下水を一体として考えることが重要とのご指摘を頂きました。
条例案は取水量の報告義務を事業者に課しますので、檜谷先生が指摘された「まず地下水をどれだけ使っているか調べること」という点では、条例化する意味は大きいと思いました。
宮崎先生は、公水、私水の二分論を戦わす意味があまりないという意外な指摘を頂きました。地下水を公水と考えたとしても私的利用を否定することはできないし、私水と考えても渇水を引き起こすような揚水は認められず一定の制限を加えることは必要で、いずれの解釈論をトルにして、重要なことは「健全な水循環を損なうような地下水の利用をしてはならない」というルールを、いかに具体化するかということでした。その方策として、地下水の流動システムを解明したうえで、地下水の保全と合理的な利用の調和を図るために条例を制定することは現実的な方法だと言っていただきました。
地下水の取水制限をどういう法律構成で条文に盛り込めばいいのか、いろいろと考えていましたが、地下水の法的性質をどう考えればいいのかが、その基礎になります。公水論と私水論の隘路で行き詰まっていた私には大きなヒントをいただいたように思えました。
今後、11月議会までに、地下水を公共水と定義し、取水の許可制を取り入れた熊本県を現地調査するほか、県内で地下水条例を制定した市町村との意見交換、大口取水事業者や水道局への聞き取り調査などする予定です。鳥取県に取っては大きな課題です。ご意見のある方は、どうぞ、お寄せ下さい。
平井知事に対して、会派要望を提出しました。いずれの要望に対しても趣旨は理解できると回答頂きました。
鳥取県の財政状態は楽ではないので、今後、優先順位を付けて県政の中でどう取り組んでいくのか検討いただくことになりますが、県民の暮らし、雇用を守るためには数年間は積極予算も必要ではないかと考えています。以下は要望書です
2012年10月29日
鳥取県知事 平井 伸治 様
鳥取県議会会派「かけはし」
会 長 長谷川 稔
平成24年度11月補正予算等に対する会派要望
平成24年度11月補正予算及び来年度当初予算に盛り込んでいただきたい提案(第一次分)について提出いたします。
◆平成24年度11月補正予算への要望事項
(1)中国、韓国との友好親善に努められたい
中国とは尖閣列島、韓国とは竹島の領有権を巡って外交関係が悪化し、反日デモが暴動化するなど極めて憂慮する状況になっており、多年にわたる関係者の努力でやっと運行にこぎ着けた中国・春秋航空の上海チャーター便が中止されるなど県内への影響も生じている。こうした時こそ、人と人との人的関係で築いた信頼が友好回復への大きな足がかりとなるので、鳥取県が友好関係にある中国・河北省、吉林省、韓国・江原道との地方外交と活発に展開して頂きたい。そこで、各国との友好協会に加え、県内には河北省で植林活動を続けるなど継続的に友好に努力されている団体等が少なくないので、これらの活動を改めて積極的に支援して頂くとともに、クラブ活動の交流など児童生徒の交流の助成など民間交流を盛んにするための予算措置を講じられたい。
(2)実効性のある有害薬物の蔓延防止策を迅速に実施されたい
全国的に脱法ハーブをはじめとする幻覚や興奮など精神に影響のある薬物の違法・不適正な使用が蔓延しつつある。本来は国が薬事法を改正し、危険薬物のデータベースを整備して取り組むべきもとと考えるが、まだ被害の発生していない鳥取県の子どもたちを守るために、県費で検査機器や試薬を購入するなど体制の整備を図り、薬物の危険性等を啓蒙するDVD等の購入や講演会の開催を県下の小中高校および特別支援学校、大学、専門学校で実施できるような予算措置を講じられたい。
(3)有害鳥獣被害防止のための緊急措置を講じていただきたい。
いよいよ秋となり、有害鳥獣の被害が増えてくることが懸念される。人里と鳥獣の生息地の間に緩衝帯を設ける提案については答弁通りに検討して頂きたいが、緩衝帯構想が実現するまでの間の被害を減少させ、特に人的被害を生じないために、電気柵の設置等のできる対策に尽力されていることは理解しているが、対策を加速・充実して頂きたく、そのための予算措置を講じられたい。
(4)アンテナショップ改善についての検討委員会を設置していただきたい。
東京・新橋に設けられた県のアンテナショップ「食のみやこ鳥取プラザ」の運営について早急に第三者を含めた検討委員会を設置し、新年度から改善できるように対策を講じられたい。
(5)国際まんが博のしっかりした検証をしていただきたい
今夏から開催された「国際まんが博」は、ドリームワールドが米子会場に移り、国際マンガミットの開催と最終章を向かえる。来年は植樹祭、都市緑化フェアーとグリーンウエーブのイベントが続くが、これらのイベントを成功に導くためには、やはり、来場者や観光客へのアンケートや聞き取り調査など「国際まんが博」のきんとした検証が不可欠であり、十分な検証が可能になるような予算措置を講じられたい。
◆平成25年度当初予算への第一次要望事項
(1)厳しい経済状況に鑑み、積極的な財政運営をしていただきたい
鳥取県において最大の歳入である地方交付税は平成16年度から平成19年度にかけて約250億円も減額され、厳しい財政運営が強いられてきたが、その中にあっても、平成20年以降はプライマリーバランスを取りながら県債の減少に努力され、平成24年度当初予算で、基金は財政誘導目標である350億円を超える386億円を確保され、健全財政を目指した様々な努力に高い敬意を表したいと思う。しかし、その一方で、県内の経済状況は冷え込み、雇用創造1万人プロジェクトで懸命な努力をされているが、雇用情勢は依然として大変厳しいものがある。来年度予算編成においては、県内の景気回復に向けて思い切った政策が実行できるよう財政誘導目標の上限一杯の思い切った起債や債務負担行為の設定を行い、財源を確保していただきたい。合わせて、県選出の国会議員と連携を深め、国の各種プロジェクトや基金に手を挙げ、政策実現型予算の獲得に努力していただきたい。
(2)島根原子力発電所2号機の再稼働、3号機の稼働に備えた体制の整備をしていただきたい
島根原発2号機はストレステストを終え、再稼働が現実味をおびきた。加えて、3号機についても、政府は着工した原子力発電所について容認する方向性を示唆しており、完成後は稼働されるのではないかという心配もしている。しかしながら、1号機、2号機では定期検査事項の点検漏れが発覚し、3号機についても稼働テストで炉心の制御棒の一部が動かないという信じられないミスが生じており、原子力発電所を安全に稼働する企業文化が中国電力にはないのではないかと深く憂慮している。
鳥取県は隣接県として初めて電力会社と原子力発電所を巡る安全協定を締結し、専門知識を持った職員を雇用されるなど体制整備を進められていることに敬意を表したいが、2号機の再稼働、3号機の稼働については安全協定第6条に基づく報告があった場合に確固として意見を中国電力に対して表明できるよう知見の集積と十分な情報収集ができるように予算措置を執られたい。
(3)次世代エネルギーパーク全県化構想を推進していただきたい。
崎津の埋め立て地に国内最大規模の太陽光発電所の誘致に成功したほか、中小の太陽光発電事業の展開、小水力発電所への取り組みなど、環境イニシアティブ事業は順調に進展しており、知事を始め、関係職員のご努力に感謝申し上げたい。来年度は、平井県政の折り返し点にあたり、同事業も新しい局面を向かえるべきだと考える。そこで、提案するのが次世代エネルギーパーク全県化構想である。次世代エネルギーパークは太陽光など次世代エネルギー設備や体験施設等を整備する地方自治体に対して、整備計画を資源エネルギー庁に提出して認定を受ければ、同庁が積極的にPRするほか、再生可能エネルギー熱利用加速化支援事業で優先採択されるものである。発想には首肯でき、中四国でも真庭市、出雲市、北広島町が認定を受け、新エネルギーの体験エリアとしての整備を進めている。現在のスキームでは地方自治体側のメリットが少ないという側面があるため、会派として首相官邸にパーク内の拠点視整備費や環境学習事業運営費、エコトリム等新交通システムの整備費などに新しい助成制度を新設するよう働きかけている。県においては、全県に広がる次世代エネルギーパーク計画を策定し、資源エネルギー庁の認定を受ける方向で検討して頂きたいし、そのための予算措置をしていただきたい。
(4)下請け、孫請け企業も利潤を確保できるように公共工事改革を進められたい
建設業界は比較的大きな企業規模を持つ元請け会社を、大工、左官、管工事など様々な分野の中小零細企業が下請け、孫請けとして工事を支えているというのが基本的な構図である。この構図の下では元請けと下請け、孫請けの力関係には大きな差があることに加え、財政難による公共工事の抑制、不況による民間工事の激減から工事の発注量が少なくなっている状況があるため、価格の決定、現場での工事、代金の支払いなど様々な面で、下請け、孫請け企業は不利な条件を押しつけられるのではないかと危惧している。県から現金で支払いを受けているはずの元請けの支払いが半年サイトの手形で、しかも、価格の値引きを求められたケースがあるやに側聞している。県も下請け企業等への訪問調査等を実施しているが、具体的事実を告白すれば次回以降、仕事がもらえないのではないか不安に感じて、なかなか話してもらえず、実態を把握することが難しいのではないだろうか。こうした構図になるのも、発注価格が低く設定されたことも一因であると考える。新年度予算の積算にあたっては下請け、孫請けを含め、適正利潤が確保できるような工事代金の設定をしていただきたい。加えて、元請けが下請けへ、当初の契約金額で工事終了後速やかに現金で支払いがなされることを応札条件にするなど入札制度改革にも取り組んでいただきたい。
(5)国際まんが博の成果を次年度以降に続けることができるような事業展開をしていただきたい
「国際まんが博」はマンガやアニメを使った地域を元気にする「まんが王国とっとり」の建国を宣言するためのイベントであり、単なる一過性に終わるイベントではなかったはずである。コンテンツ産業は38兆円という規模にまで成長し、自動車産業の10兆円を凌駕しており、産業基盤の弱い鳥取県においては非常に魅力的である。コンテンツ産業が県内の主要産業に育つよう支援策を模索して頂きたいし、山陰コンテンツビジネスパーク協議会が中心になって様々なショップが入るALPHAビルがオープンしたが、こうした萌芽ともいえる動きもフォローしていただきたい。そして、明治大学は世界最大級のマンガ、アニメ、ゲームなどサブカルチャー関連資料を集めた東京国際マンガ図書館を2014年に開館させようと準備を進めておられるが、国際まんが博での連携を持ったことでもあり、分館の誘致を強力に進めて頂きたい。
(6)有害鳥獣被害の抜本対策として緩衝帯、生育地を設けていただきたい。
猟友会による有害鳥獣の駆除、電気柵の設置などの懸命な対策が講じられているものの、有害鳥獣の被害は年々増加しており、抜本的な対策が求められている。鳥獣も好き好んで人里に現れたのではく、山林が荒れて木の実などが少なくなり、餌を求めて山を下りくると考えられている。山間部の高い地域の森林を整備し、餌となる木の実等を成らす樹木を増やし、鳥獣が生息できるサンクチュアリを形成すべきであり、さらには人里の間の林野も緩衝帯として整えることこそが有害鳥獣の抜本対策と考える。
そのためには県と市町村で認識を共有し、基本計画を策定したのち、連携して整備を進めていくことが重要である。まず、検討委員会を立ち上げ、県と市町村がどんな仕事を分担して進めるか、業務の棲み分けを明確化するためのアンケートを実施していただきたい
(7)支え愛事業を発展させ、施設型から地域支援型へ高齢者福祉の転換を加速されたい
年々厳しくなる財政と進展する高齢化の中で、高齢者の介護を充足するためには地域支援型福祉を進めるしかなく、その意味では県が進める支え愛事業は方向性としては確かなものであると考える。県議会の議論の中では、支え愛事業が福祉に対する県の責任放棄だという指摘があったが、こうした懸念を払拭するためには、財源をしっかり確保して提示することが肝要だと考える。そのためには平成24年度予算で新設された「とっとり支え愛基金」をより一層充実させるような思い切った予算措置を取っていただきたい。
(8)地域コミュニティーホームの全面展開を視野に検証をしていただきたい。
平成24年度予算で試行された鳥取型地域生活支援システムモデル事業は、有効に機能するのであれば、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができる新しい地域コミュニティーホームを創造できるのではないかと期待している。平成25年度も地域にある民家や公的施設の改修し、地域住民による見守りや食事の提供ができる費用を抑えた高齢者の住まい作りを継続するとともに、しっかりとした検証を実施して問題点を洗い出し、その解決策を導き出し、平成26年度からは民間活力を導入して全県で全面展開できるように計画を策定していただきたい。
(9)24時間定期巡回型訪問介護サービスの初期投資に助成制度を新設していただきたい
平成24年度から24時間定期巡回型訪問介護サービスが介護保険制度の中に組み込まれ、県内でのいくつかの事業所が参入した。ところが、同サービスを充実したものにするためには、高齢者の居宅と訪問介護ステーションを繋ぐ相互利用できる通信ネットワークや訪問介護用車両などの初期投資が大きくかかる。新規参入を加速させるためにも、事業を開始するための初期投資費用を助成していただきたい。
(10)老人クラブ社会参加促進事業は改善して継続していただきたい
平成24年度事業棚卸しで、老人クラブ社会参加促進事業は様々な視点から疑問がなげかけられ、事業の廃止が提言された。確かに高齢者のライフスタイルや嗜好の多様化で、老人クラブの加入率は低下しており、高齢者全体の施策として老人クラブを支援するかどうか疑問であるとの視点は首肯できる面もある。しかしながら、その一方で、高齢化が進展する中、地域のコミュニティーは崩壊しつつあり、老人クラブは高齢者のネットワークとして再構築すべきとの意見も理解できる。そこで、老人クラブのあり方を検討する研究会を立ち上げ、魅力があり、加入率の高まる新しい鳥取版老人クラブを模索していだきたい。また、新しい方向性が打ち出されるまでの間は、事業棚卸しで指摘された点を改善しつつ、事業そのものは継続していただきたい。
(11)県立病院新築の検討を本格化していただきたい
県立中央病院は千代川河口に立地し、震災時の津波や集中豪雨時の洪水などの心配がある。県が作成した津波想定では防波堤を津波が越えることないと一応の安全性が確認されたが、増水した時に、あるいは、地震で堤防が崩壊した時に津波が襲う重複災害となった場合、浸水被害が発生しないとは断言できない。医療の高度化に伴って医療機器の電化、精密機械化が進んでおり、機械等が水に浸かったり、電源が喪失したりした場合には機能が停止し、医療行為が正常に継続できなくなったしまう恐れがある。県立中央病院は災害時、被災者救援の中核病院としての機能が期待されており、巨大災害が襲っても機能を消失することは許されない。従って、交通の利便性も含め、現在の立地についての検討が必要と考える。加えて、移転新築から37年が経過しており、耐震と一部改修の工事を終えたとは老朽化や狭隘化は解決したわけではない。県立厚生病院も外来診療棟は平成19年に新築されたものの、病棟部分は築27年経過している。古い時代の設計のため、病室に新鋭の大型化した機材を入れることもままならず、改修が待たれるところである。両病院とも近い将来、新築または全面改修が必要であり、整備計画の検討と莫大になるだろう新築資金の積立を始めることは喫緊の課題と考える。加えて、中央病院は千代川の河口に位置し、津波被害や整備計画を検討するための予算装置を講じられるとともに、新築に備え、基金の新設を検討されたい。
(12)糖尿病対策を充実されたい
県内の基本健康調査による糖尿病の異常者出現率は平成12年には15%だったものが、平成18年には18%を超え、罹患率は年々上昇している。ところが、「県立病院の果たすべき役割と改革戦略」においては、中央病院、厚生病ともに4大疾病のうち、がん、脳卒中、急性心筋梗塞は集約化・重点化の拠点として、地域のリーダーとなる病院になっているが、糖尿病は外されている。急性期の病院であり、生活習慣病は地域の民間病院でとの考えからだそうだが、糖尿病は代謝異常の仕方が患者ごとに違う専門性の高い疾患であるうえ、網膜症、腎症、神経症、動脈硬化と広い診療分野にわたっている総合疾患であるから、幅広い診療科と専門医の揃った総合病院に受診することが望ましい。日常の診察治療は民間病院でするとしても、初診時と急性増悪時は両中央病院が果たす役割は大きいと言わざるをえない。糖尿病においても地域リーダー病院として位置づけると共に、厚生病院に眼科の専門医が常勤医師として勤務できるよう県として十分な応援をしていただきたい。
(13)いじめ対策としてHyper-QU活用を継続されたい
米子市立中学でいじめによる刑事告訴がなされ、境港市立中学ではいじめによる自殺未遂事件が発生するなど県内におもても、いじめ問題は深刻化していると認識している。いじめ問題支援事業としてHyper-QUを活用して学級の状況を把握するための予算2,069万円余が9月補正予算案に計上され、会派として賛成し、可決をみたところであり、その成果に注目している。Hyper-QUは、いじめ等を把握する心理調査として評価が高いものであるが、その結果の確認には知識がいるとされている。調査結果について各学校の先生方にフィールドバックするだけでなく、結果をどう読み解くのか研修するための予算も計上し、結果を十分に活かしていただけるような配慮をしていただき。また、いじめが認知されたような場合は、継続してHyper-QUを実施できるよう予算を計上していただきたい。
落語の枕に使われるのが、一年を二十日で暮らす良い男という台詞です。江戸時代の相撲興行は、十日間が二場所だったことから、こう言われるのだそうです。地方議会の定例会は約一カ月が年四回ですから、議員は一年を四月で暮らす良い男となるのかもしれません。ところが、鳥取県議会の大多数の議員はこのケースに全く当てはまりません。
鳥取県議会の議員定数は35です。東京都議会は127ですが、仕事の内容は変わりません。そうなると役職の掛け持ちが増えてきます。私は福祉生活病院常任委員会副委員長、エネルギー雇用調査特別委員会委員、決算特別委員会病院特別会計分科会委員、議会改革推進会議委員、議会だより編集長、業務改善ヘルプライン委員、会派「かけはし」政調会長が議会内の公式な役職です。様々な議員連盟にも参加しており、そのいくつかでは幹事などの役員をさせていただいていますし、鳥取市男女参画推進会議の副会長など市民団体の仕事もさせていただいています。仲の良い都議に言わせると「都議の倍は仕事しているよ。議員の一番の仕事は選挙対策だけど、その暇もないんじゃない?だけど、一年生議員がそれだけ役職を持つことは都議会では考えられない」のだそうです。
委員会などの会議に出席するには、下調べの時間が馬鹿になりませんし、決議の提案では会派間ですり合わせる時間も必要になってきます。できるだけ公共交通機関を使い移動中もパソコンを叩いていますをで、そうなると切り詰める時間は睡眠時間だけとなります。一日でいいから寝ていたいというのが目下の最大の夢ですが、地下水条例や政治倫理条例の審議も佳境に入っており、当分の間、この寝たいというささやかな夢は実現しそうにありません。
ブックインとっとり第25回地方文化功労賞の表彰式が県立図書館であり、参加させていただきました。この賞は鳥取と東京を除く、各地方で出版された書籍を鳥取県内三カ所に集め、市民の投票で10冊前後に絞り、11人の審査員が熟読。著者と出版者を表彰するというユニークなものです。私が朝日新聞社の記者だったときに、ちょうど20回を迎えられたので、全国を飛び回って受賞者たちと会い、連載記事にまとめたことを昨日のことのように思い出します。
今回は功労賞の該当作はありませんでしたが、東北出版企画の「東北 ダイコン 風土誌」(佐々木寿著)と吉備人出版の「愛だ!上山棚田団ー限界集落とは言わせない」(協創LLP出版プロジェクト著)に奨励賞、南方新社の「奄美沖縄 環境史資料集成」(安渓遊地著)に特別賞が贈られました。
表彰式では小谷寛実行委員長の挨拶、斎藤明彦審査員長講評、藤井喜臣副知事の受賞者にへの祝辞の後、受賞者のみなさんのミニ講演会もありました。
佐々木さんは石巻北高校の学校長を最後に退職した農業科教諭。葉っぱしか食べないコゼラダイコンを生徒たちと栽培したことから、地ダイコンに興味を持ち、各地を踏襲して調べた結果を表したという。佐々木さんは「奥羽山脈、最上川、塩の道に地ダイコンはある。それは文化の集積地でもあった。30年前から遺伝資源と生徒たちと言ってきたが、なくなろうとして、やっとその価値が認めらてきた。地ダイコンには地方の文化、歴史が集積されている。たかがダイコン、されどダイコンです」と話されました。
協創LLPからは原田明代表が、仲間6人と共に登壇されました。「半農半X」という本と出会い、農業をしながら好きなことをする生き方がしたくなり、電通を55歳で早期退職。有限事業責任組合である協創LLPとで会う。農作放棄をしていた棚田の再生と取り組んでいたので、「本を作ったら」と提案したことから、この本は生まれることになった。本づくりを始めたところ、吉備人出版が創立15周年を記念して本の原作を募集していることを知り、クラウドでみんなで編集して応募した。すると最優秀賞になったが、そこからリライト作業が必要に。原田さんはダウン。仲間が執筆を代わってくれ、脱稿ができた。「この本読んで上山に来てください。それがブッツクインですね」と原田さんは話を締めくくられました。
最後に話をされたにはのは安渓さん。オカリナの演奏からスピーチは始まりました。地域研究はハートとブレイクのバランスが大事。地元の方こそ先生、地球が教室」という安渓さん。宮本常一、伊谷純一郎、津野幸人の3人が恩師だそうです。フィールドワークを中心に研究活動をしてきたので、聞いてしまった者の地域の責任として出版してきたそうです。それで奄美の出そうと南方新社に相談したところ、「今どき、固めの小さな本は全く売れません。後世に残るような分厚いでもなければ」との返事でできたのが、この本だったそうで、ならばと14人の研究者に編集者も入ってもらって合宿してPDFにして作成したといい、それで840ページになったそうです。
9月議会最終日、青少年健全育成条例の改正案に反対をしました。
脱法ハーブが社会問題化したことから、書店に販売の自粛を求めたのが、この条例改正案ですが、公権力は表現の内容・評価で表現行為の事前抑制をしてはならず、消極的・警察的な規制は謙抑的にするのが、人権を擁護する法治国家の原理だからです。
脱法ハーブの若者へに蔓延は絶対阻止すべきです。しかし、やっかいなことに脱法ハーブは構造や成分の微かに変えて、指定薬物の網をすり抜けようとするもので、取り締まりに難しさがあります。お金はかかりますが、機械や薬品を整えて、脱法ハーブの取り締まりができるような体制を整備すること。合わせて、正しい知識と誘惑に負けない意志を持ち、薬物を前にしても決して手を出さない子どもたちを育てることだと思います。書籍への規制はそれからでいいのではないでしょうか。
以上が反対をした理由です。
懲罰動議の提出を受けて11日、急遽、本会議が開かれました。提案説明の後、谷村議員が弁明のために登壇されましたが、そこでの発言にも驚かされました。
ご迷惑をかけたと謝罪から話し始めたものの、私は孤立化政策に会っているとか、私こそが被害者とか、本当に反省をしているのかと疑いたくなるような発言が相次いだのです。しかも、懸命に勉強しており、私の右に出る県議はいないというような発言まで飛び出し、これって何なのと思いました。
私が県議会に入って思ったことは鳥取の県議さんの中には、凄い人がたくさんいるということです。駅伝の指導者として全国的に有名だった先生がおられますが、この議員の教育論、指導者論はなるほどなと思わせるものがあります。私学の経営者や和牛の飼育家、さらには立法の現場にいた方、県職員として長年頑張ってこられた方らが居られますが、その言葉には深い含蓄があります。そういう意味で本当にいい勉強をさせていただいていると感謝しています。自分の右に出る者はいないなど、どうしたら言えるのか、私には分かりません。
懲罰特別委員会では、反省していると発言したことや一年生議員であることから、懲罰の中では一番軽い戒告となりましたが、谷村議員には、そこに込められた先輩議員らの思いを考えて欲しいと思いました。
昨日の続きです。一般質問に立った谷村議員は、辞職勧告について話始めました。一般質問は事前通告に従って進めるのがルールです。知事や教育長らに県政の課題や上程された議案について質すもので、議員が自由に演説していい場所ではありません。
ところが、質問の冒頭から辞職勧告について触れ、「嫁姑戦争で、嫁いじめ」などと話し始めたもんですから、当然、議長は「通告の範囲内で、(個人的演説でなく)質問をして下さい」と注意します。しかし、谷村議員は議長の制止を無視して話し続けるもんですから、再度の制止となり、このまま続けると質問を中止させる旨の警告があって、やっと質問を始めたような次第です。
しかも、その始まった質問でも、冗談と断ってですが、いじめを戒めるポスターを相手議員の家に貼りたいとか、自分の雇用が危なくなってきたとか、質問の中には辞職勧告に触れる発言が何カ所もあり、これは問題だなと質問を聞きながら思いました。
議員という大きな地位は県民の皆様から託されたものであり、私は単なる就職口と考えたことは一度もありません。一般質問は県議の大きな仕事です。現場に出かけて関係者の声を聞いたり、上京して中央官庁の方針を聞くなど何ヶ月もかけて準備をします。こうした場で、「これは冗談ですが」と断って、このような不真面目な発言をされたことに不快感を禁じ得ませんせした。
案の定、辞職勧告に賛成した議員の皆さんから、懲罰動議を提出したいと打診がありました。本会議は知事らと真剣勝負で県民の皆さんの思いを伝える論戦の場です。同じ議員として、深く反省してほしいと思いました。懲罰動議は地方自治法にも規程があり、辞職勧告の時とは違い、弁解の場も設けることができます。それで、会派としても、懲罰動議の提出に賛成することにしました。(続く)
9月県議会が閉会しました。これまでの県議会の定例会では一番疲れたように思います。やはり、谷村議員の問題がその原因のように思います。
この問題は、谷村議員が最年長の同僚議員に不適切な書簡を送ったのが発端でした。法事の菓子折などを包むのに使う不祝儀の包装紙を使い、その中で、えんま様が迎えに来るとか、窮鼠猫を噛み殺すなどの不穏当な記述がしたことから、大きな問題となりました。
脅迫罪の構成要件に該当すると思われることもそうですが、それ以上に、県民の皆様から選んでいただいた議員が書く手紙ではありません。このため、議員辞職勧告案が提案されたのですが、開会初日に即結で議決することには反対をいたしました。非公式でもいいから、弁解は聞いて、それから議決すべきと思ったからです。議会規則上は適法なのですが、辞職勧告という大きな不利益処分をする以上、弁解など防御の機会を与えることがデュープロセスだからです。加えて、谷村議員が辞職勧告に従うとも思えなかったからです。本会議で議決したものに議員が従わないとしたら、いったい誰が議決に従うでしょうか。そんな心配もしました。しかしながら、谷村議員の書簡は犯罪行為とされてもしかたない内容なので容認することはできません。そこで、苦渋の選択として退席をいたしました。案の定、谷村議員は「暴挙」と辞職勧告を批判し、勧告を拒否する事態となりました。
二幕目は5日の谷村議員の一般質問でした。これは明日、報告します。
創立10周年を迎えたNPO「学生人材バンク」が6日、県庁講堂で「全国know村サミットinとっとり」を開催しました。
青森県から鹿児島県までの都府県から10を超える農村と若者を繋ぐ活動をしている学生団体やNPOが大集合したもので、会場には熱気が一杯です。まず、4~5人づつ集まって、20分程度議論しては、また、メンバーを変えるというカフェからスタート。
会場の上には、万国旗ならぬ、47都道府県の地図を切り抜いた紙が飾られ、若者らしい演出です。テーマは活動の課題と解決策。最後は各団体ごとに集まって、これは参考になる話を聞いたというものを「いただきます宣言」、話し合って自分たちはこれをやろうというものを「やります宣言」という形で発表されました。
こうした若者たちの話を聞いた大人たちは、意見やアドバイスをポストイットに書いて退出。それを巡って、トークセッションも開催されました。
こうして進んだ会の最後には、地域づくりを研究する鳥取大学や大阪市立大学の先生たちが講評し、会は終了しました。
学生人材バンクの代表理事は田中玄洋君です。
学生だったころからの長いお付き合いで、我が家の子どもたちの家庭教師もしていただいたこともあります。大学院を卒業した田中君が鳥取に残ってくれたからこそ、この学生を中心にした地域おこし集団が成立し、様々なイベントやプロジェクトを仕掛けることで、鳥取の元気を創造してくれているのだと思います。
今でこそ、様々な表彰を受け、県のボランティアセンターは彼らの支援なくしては考えられないほどの存在になりましたが、田中君という1人の人間が立ちあがり、たくさんの苦労をし、仲間を増やし、10年という月日を経て、今日に至ったのです。心からのエールを田中君に贈りたいと思います。
夜は会場を学園祭が開催中の鳥取大学に移し、10周年を祝う祝宴もありました。藤井副知事や今井書店グループの永井会長らも駆け付け、和やかに10年を振り返りつつ、これから10年、20年と発展していくことを期待する会となりました。