質問戦の第二部に移りましたが、平井知事、中島教育委員長とも本当に丁寧に答弁いただいています。半年かけて、県内はもとより、東京や神奈川、隠岐の海士町などに出かけ、調査を続けてきただけに嬉しく思いました。以下、知事、教育委員長、商工労働部長の答弁です。
副議長(前田八壽彦君)答弁を求めます。平井知事
知事(平井伸治君)(登壇)砂場議員から重ねて第2回目の御質問をいただきました。
1.「21世紀の資本論」の提起したもの
トマ・ピケティにつきましては、「21世紀の資本主義」という書をあらわし、つまるところやはり一つのシステム改革を持ち込んでいかないとどんどんと格差が広がるばかりということではないかと思います。そういう意味で地域でやるべき産業創造につきまして課題をいただきました。フードバレーにつきまして、最先端の技術を使って新製品を開発する等食品開発研究所の機能、これを強化してはどうかと、こういうことでございます。
2.資本収益率を超える経済成長を鳥取で目指すための提言
①フードバレー構想で「食のみやこ」を建都しよう
これは議員のほうから前も御質問をいただきましたが、ワーヘンニンゲンのオランダのお話がございました。実に 700億ドルを超える生産を上げるオランダでございますが、これはフードバレーとはいってももちろん食料のこともありますけれども、それのみならず、例えばお花、花卉でありますとか、さまざまな農業のような1次産業の生産と、それから2次産業、商工業、それからそれを貿易で外国につなぐ、そこに新規の技術開発だとかそうしたものを投入できるような大学等の研究機関が協力をしていく。そうした一つのコンセプトにまとまってフードバレーという考え方ができているわけでございます。本県もその素地は小さいながらもあるだろうと、議員も今御指摘がございました。私ども食品開発研究所につきましては、これはかつては氷温技術を生み出したところでございまして、その伝統と技術力、知見においては他に負けないものがあるだろうというふうに思います。
最近も例えばカンダ技工さんとこの食品開発研究所さんが一緒になりまして、コラーゲンの抽出技術を開発をしたわけです。これがその後、皆様も御案内の商品名で言えば天使のララとか、海のしずくとか、そうした美容健康素材として非常に商品力のあるものが開発をされてきております。こうしたことをこれからもっともっと拡張していく、盛んにしていくために、このたびは機能強化をさせていただこうと今建設を急いでいるところでございます。これにつきましては一つは、持ち込んで研究ができるようなそういうスペースといいますか、施設を有する部分、さらにはハイブリッド型の液クロに象徴されますように高度なさまざまな計測機器等をオープン使用でいろんな業者の方に使っていただける、そういうような施設であるとか、そうしたところを強化をしました。また、インキュベーションのためのそういうスペースなども含めまして食品開発研究所のバージョンアップを図ろうということで今取り組んでいるところでございます。
②新産業創造で県民所得日本一目指そう
最近もいろいろとおもしろい研究が出てきておりまして、例えばカニから抽出をしましたアスタキチンサンという物質ですね、これの開発が前に進みました。これはオークさんという会社さんと食品開発研究所さんのコラボレーションで研究しているものであります。これはもともと例えばキチンキトサンとかああいうものを抽出するわけでありますが、カニ殻からとるわけでありますけれども、そのときに今までは使用せずに捨てていたようなそういう、赤い色素なのですが、これを活用しようという発想の転換でございます。これは抗酸化、活性酸素を除去していくという意味で、それでお肌とか、それは美容にいいとか、そんなような機能が期待されるわけでございまして、非常に将来的にもおもしろい研究が今進んでいるところでございます。こんなようなさまざまなことを組み合わせていくことで単に食べ物を生産をして輸出をするとか、それに6次加工するということをさらに超えた機能を抽出をして、それを健康だとか、場合によっては医薬品とか、そうしたものにも役立ち得るようなそんな研究開発も含めて鳥取県では取り組んでいければというふうに考えているところでございます。
次に、植物工場につきましてお尋ねがございました。それからその後に、創薬イノベーションのお話がございました。これらにつきましては商工労働部長から詳細をお答えを申し上げたいと思います。植物工場につきましては、最近もセンコースクールファームとか、それから愛ファクトリーといった企業の進出があり、そのときに学校を活用したりしてやっているわけでありますが、これはうちの場合は無償貸与ということで、地元の自治体がかなり汗をかいています。ですから、特区の御提案もございますが、それ以前のこととしてうちの場合はそういうことで誘致が次々進んでいるというような面がございます。
創薬等につきましてもかなり、 320億円とかそういう開発のお金がかかるわけであります。議員がおっしゃったように、いろんな意味で実験も必要でありますし、それから期間が何せかかるわけでございまして、9年だとか10年だとか15年だとかですね。ですから、そういう意味でなかなか普通の企業さんで手出しができないところでございまして、我々としても例えば医薬品メーカーとか、それから産業振興機構のようなところだとか、これまでも御紹介をしよう、マッチングをしようというふうな努力をしてきているところでございます。
次に、コンテンツ産業につきましてお尋ねがございました。これについては12月5日にグッドスマイルカンパニーさんが工場をオープンするということで、今までにない業態が本県でもできたわけでございます。私どもがこれを始めた、こうした誘致等を始めたり、県内の関係者の産業振興を応援したりしておりますのは、これからクールジャパンと言われる要は付加価値の高い産業戦略というのがあろうかと思うのです。それについて我々としてもまんが王国としてアニメ、漫画コンテンツ、こういうものを活用しながら産業創造していこうということで応援を組まさせていただきました。
そうしたところで確かに2つの方向性が出てきていまして、これはどちらかの道をとるというものでもないかもしれません。実は担い手が大分違いまして、コンテンツ自体を創造していこうというクリエーションのほうのお話でいきますと、これは例えば漫画家で今までもやってきたラ・コミックさんのようなそういうような人たちが自分たちでもノウハウをつくる。さらにはゲームをソフトを開発をするとか、そういうことでやり始めている人たちがいます。こういう方々はこういう方々で、余り資本規模が要るものではないですけれども、そうしたソフトビジネスを応援するスキームによって支援していくことは可能だと思いますし、大いに気概を持ってされています。
あともう一つは、水木しげるロードに象徴されるわけでありますが、あれも鬼太郎関連のいわばコンテンツがあるわけでありますけれども、それが例えば菓子パンに化けたり、それからお土産物になったり、お酒になったり、そしていろんなグッズとして展開をされる。そうしたことがあのまち自体の活性化もありますし、そういう商品の販売力を高めて売れるようになる。そうした商店街がよみがえってシャッターがみんなあいたということになったわけであります。
ああいうことにありますように、議員が後者のほうでおっしゃいましたコンテンツを活用して、それで商品化して産業化するというようなところ、これは別の方向性でも産業創造になると思います。今回のグッドスマイルカンパニーも後者のほうが中心だと思いますが、そうした方面につきましても我々としても応援をさせていただきたいというふうに思います。両方が、どちらを支援したらどちらかが弱くなるというようなものでもございませんで、クールジャパンという大きなくくりでいけばその2つのダブルトラックで支援して産業創造を応援するのが筋道かなと思っております。
④大交流時代を到来させ観光立県を実現しよう
次に、スカイマークにつきましてお尋ねがございました。これにつきましては修学旅行についてでありますが、基本的には教育委員会のほうからお答えがあろうかと思います。最近の状況でいきますとJALグループと座席を共有していくコードシェアのお話が出てきておりまして、スカイマークさんも経営の立て直しには苦労をされているようであります。このJALとの提携話が生じたときにうちも幹部職員を派遣しましたが、先方では、かつてこちらに社長がお見えになってお約束したとおり米子-東京便は復活をしたいという方針に変わりありませんということを強調をされていました。
ただ、いずれにいたしましてもこうした空のルートをいろんな方面に確保していくのは、地域の無形の財産であろうと思います。そのためにも航空路線の活性を図る必要があり、修学旅行の趣旨に協賛していただける学校さんには御協力をいただければと思いますし、逆に沖縄のほうにこちらに呼び込む、これは鳥取県に限らず島根県もあってもいいと思いますが、そういう修学旅行を呼び込むということについてもプロモーションを今図っておるところでございます。
議員のほうの御提案もございますので、一つのアイデアとしては空港の利用促進懇話会のほうの事業を活用して、例えばインバウンドでやってこられるお客さんのほうの修学旅行生にはお一人 2,500 円ということ、出ていくほうについては 1,000円というそういう利用促進のスキームをこうしたケースにも適用していく、そんなような一つの方策があるかなと思います。ただ、いずれにいたしましてもこれは学校が生徒のことも考えて最終的に決断をしなければならないお話でございまして、学校関係者の理解を今後とも求めていければと思います。
⑤NPOを地域経済に柱に育てよう
次に、NPOを県政のパートナーとする認識が県庁全体で共有できているかということでございます。これにつきましては私も県庁の中でつとに申し上げておりますのは、NPOはそもそもノンプロフィットですから、利益を生まないことを目的にして成立している団体であります。だけれどもそれが持続可能な形で活動できなければ意味がない。また、それぞれの志がありまして、別に行政の下請として一つのことを言われるがままにやるというそういう団体でもなくて、むしろ構成員の人たちの意思、それから団体としてのポリシー、こういうものに従ってやっていくのですよということを申し上げます。なかなかここは、議員も多分危惧されていると思うのですが、理解されるようで、すとんなかなか落ちてくれないというところがございます。
平成13年にNPOの促進の条例をつくりました。その後、NPOといろんな形でおつき合いをさせていただいておりますけれども、そういう中で例えば経理のあり方とか、補助金の執行のやり方とか、そういうところについて庁内でも改革を求めてきております。例えば補助金でやろうと思いますと、どうしてもNPOさんの場合、一つ一つ精算をしていかなければならないわけですね。基本的な人件費等そうした部分のお金がなければ結局成立はしないわけでありますし、物すごく細かい経理に耐え得るだけの会計の経理の人材をもっと抱えているわけではありません。その辺は業者に発注する感覚で職員がやりますと、それは無理だというようなことになるわけであります。したがって、委託というような形態の事業の発注の仕方をすると動きやすくなることを経験的に我々もわかってきております。そんなようなことを今後とも推奨してまいりたいと思いますし、これまでも大分改善を図ってまいりました。
砂場議員の方の御質問もこれありでございまして、そうしたNPOについてのガイドラインをこの春つくらさせていただいております。こうしたツールを使ってよく徹底を図ってまいりたいと思います。
副議長(前田八壽彦君)岡村商工労働部長
商工労働部長(岡村整諮君)それでは、私のほうから3点補足の答弁をさせていただきます。
②新産業創造で県民所得日本一目指そう
まず第1点でありますけれども、植物工場特区についてであります。植物工場、本県も愛ファクトリーさん、センコースクールファームさん、御案内のとおり進めておられますけれども、いずれも障害者雇用の観点からが主目的となっております。御提案いただきました福井県のような例で取り組んではということなのですけれども、今、福井県のほうも植物工場を誘致するということで誘致対象にしておりました。誘致対象にしまして、固定資産税を減免するなどの対策をとっておりましたけれども、一方で、電源立地の交付金等を活用しまして最長で24年間電力代2分の1補助をするというようなものとセットで今推進をしておりまして、現在8件の立地に結びついているというふうに聞いております。本県にそれを照らした場合に、植物工場はどうしましても今、人工光、LEDを使いまして葉物を中心にやっておりますが、やはりその辺の物流コストですとかエネルギーコストの問題がございます。幾らLEDを使っても電力コストがやはり、福井県のように補助制度等があれば採算のラインも見えてきますけれども、現状ではなかなか難しいというのが私の認識であります。ただ、今考えておりますのは、植物工場のシステムを売り込んではどうかというような動きもありまして、躯体ですとかシステムですね、一つの栽培システムを売り込むような動きもありますので、そのような点にも注目しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
それと創薬イノベーションにつきましての補足の答弁をさせていただきます。まさに今バイオフロンティア、それからきむらやさん等で進められておりますけれども、やはり創薬ビジネスにつきましては、知事の答弁にもありましたように非常にハードルが高い。中小企業で向かうのは難しい。御案内のとおり、そこをどうにか県で支えられないかという御提案でございます。本県としましても今いろんなベンチャービジネスが生まれておりまして、1社で全部フルセットでやるということは困難であります。それぞれの得意分野を、ベンチャービジネスの特異性を生かしてビジネスが成り立つような仕掛けを今検討しております。例えばバイオ資金等がございまして、5年間利子補給をするような制度もありますし、一部のベンチャービジネスは産業革新機構の出資要請もしておりまして、今調整もしております。ただ、県としての思い切ったメディスンバレーとかという、創薬バレーのような御提案もございましたので、今の現状を確認しながら今後の方向性について検討してまいりたいと思っております。
②地元企業を支え、完全雇用を実現しよう
それと最後に、地元企業へのきめ細やかな支援ということで、寄り添うような商工政策という御質問がございました。まさに県版の経営革新、当初24年から 600件を目標にしておりましたけれども、10月末現在で 724件ということで、特に小規模企業を中心に販路開拓、商品開発等の支援を行っております。27年度においては、国のほうで小規模企業基本法の成立がありましたので、本県としましても商工団体の体制強化、それから特に小規模企業の事業引き継ぎというような機能強化等も含めてより一層伴走型の寄り添うような支援を徹底してまいりたいと考えております。
副議長(前田八壽彦君)中島教育委員会委員長
④大交流時代を到来させ観光立県を実現しよう
教育委員会委員長(中島諒人君)(登壇)スカイマーク便を利用した沖縄への修学旅行を検討したらどうかという御提案でした。まず、修学旅行というのは、基本的にはもちろん学校教育の一環として学校の判断で、それから保護者の協力のもとに行われるものです。それで沖縄については、修学旅行先として、楽しむ、楽しいところもあるし、それから学びの場もたくさんあるしということで非常に好適だということで中学校で人気だということのようです。
それで議員おっしゃるとおり、ことし12校あった中で米子空港の利用がなかったということで、私も直観的にもう少し利用があってもよかったのではないかなというふうに思ったのですけれども、実際のところ調べてみると修学旅行実施の1年半から2年以上前に一次的な便の抑えということをされるということが現状のようです。実際ことし1月にスカイマーク社のほうから沖縄便のことがあったものですから、ことし利用がなかったということについてはどうもその辺の事情がかかわっているのではないかなと思われます。
来年度以降については、そういう流れの中で少しずつ出てくるところもあるのではないかなというふうには予想されるのですけれども、結局各学校において、一つには運賃、それからもちろん定員、それから意外と大事なのが発着時間ということのようですけれども、1日を余裕を持って使うために発着時間、その辺を考慮されながら決まっていくということの中で、さっき御指摘のありましたスカイマーク社の社長の前向きな発言というのは非常にありがたいことだなというふうに思いますので、こういうことも含めまして各学校のほうにスカイマークという選択肢もありますよということをしっかりと伝えさせていただく中で、だんだんと利用の実績というのも出てくるのではないかなというふうに考えております。
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