福祉生活病院常任委員会の目下、最大の懸案事項は継続審議中の地下水条例です。今日は県西部事務所をお借りして関係者からお話をお聞きしました。地下水条例を制定されている大山町、日南町、日野町、江府町から条例制定の背景、概要等についてお聞きすることから調査を始めました。
大山町からは企画情報課の野間一成課長=写真左、大黒辰信課長補佐に来ていただきました。
以下は大黒課長補佐の説明の概要です。
大山という自然、飲み水をどう守っていくかが命題。水ビジネスを拒むものではない。住民とどう一緒にやっていけるかが課題。雇用も生まれる。そこで条例を設けた。水ビジネスだけでなく、住民も知ってもらうことが大事と農家や一般の人も井戸は届け出とした。基準を超えると取水量の報告をお願いした。50件程度が届け出されている。3月に可決し、7月に施行した。大山町の水をどう守っていくかが命題だ。
日南町からは倉光伸也住民課長、久城隆敏住民環境室長から話をお聞きしました。
倉光課長が「日野川の上流域にあり、下流域のことも含めて、地下水を守らないといけない。適用除外が作ったのが特色。生活のためにだけ使うものは適用しないという内容です」などと話された後、久城室長が説明されました。以下はその概要です。
昭和47年に県外業者が出立山514ヘクタールを購入したが競売になったので、町が58年に購入。平成13年にも新屋の森林668ヘクタールも購入し、町が責任を持って山を買っている。そんななかで海外資本による地下水取水の動きがあるという情報が昨年あり、急いで条例を制定した。
県の動きがあるが、県の目は大山山麓を目は向いていて、日南を見ていないというのが実感。危機感から急がないといけないと町独立で制定した。私水という構成を取り、規制ではなく、町で管理をさせていただくことにした。水を大切にする意識醸成が何より大切と思う。おいしい水調査を昨年は4カ所,今年は19カ所で調査した。日南小の4年、6年が環境学習に取り込む。茶屋水道の原水をペットボトル化して3000本を完売。今年は白山水道の原水をペットボトル化する予定。
日野町からは長谷川弘信総務課長=写真右=と神崎猛企画課主任に来て頂きました。
長谷川課長は「日南町の制定を受けて制定した。日南町を参考にして、水の保全と乱開発防止が柱。25年4月施行予定で準備をしている。飲み水に規制はかけてない。6平方メートルは20件程度。大企業が進出しないと規制は発動しない」などと説明いただきました。
江府町から奥田慎也産業振興課長に来て頂きました。
以下は奥田課長の説明の概要です。
乱開発が全国で進む中で町長が指示。サントリーが進出しているが、環境を守っていきたいと町と細かな協議をしてきた。ミネラルウォーターの会社が4つある。サントリー、氷を製造してグリーンステイ、第三セクターの地域振興、サイエンスの4社。前2社は地下水、後2社は湧水利用。検討委員会で確認したのはミネラルウォーター企業をターゲット 300ヘクタールの共生の森をやっていただきており、大阪の子どもたちに森と水の学校を開いていて、町と良好な関係をしている。県の条例と一緒でもいいのではないかと思っていたが、県の条例が進んでいないので、町条例が進んだ。製造工場はミネラルウォーターの何倍も取水している。県下全部の地下水の1日分が、ミネラルウォーターの1年分の取水量と同じ。町と県と誘致企業と協議を進めている。共存共栄できる企業なら一緒にやってきたい、第一の目標は乱開発の抑制。2ヘクタール以上の開発の抑制は立法化されたが、地下水はまだだ。
各町と意見交換や質疑も交わしました。以下はその概要です。
Q 町内に誘致した会社はどこから土地を購入したのか
A 個人から。進出しようかと話があったとき、町も土地を探したところ、荒廃地になる寸前だった農地を転用させた。地下水を採取している深さは150メートルから200メートル。浸出時にどれくらいのところから表面に出てくるか研究者に聞いたら、それは日本海と言われた。町内の井戸も、ダムの流入水量の変化はない。
Q 地下水を汲み上げているのは全部敷地内か。
A 全部敷地内。30ヘクタールを買収して、工場のある平場は10ヘクタールもない。
Q 理念を共有しながらしないといけないし、グローバルな視点もいる。地下水は県民の大切なものだという理念を共通しないといけない。
A1考え方に違いはない
A2 県条例と違いはない。上流域と下流域は違う。下流域は日野川の伏流水を使っているから関係がない。県民の水、町民の水と考えて欲しい。上流がきれいな水を流しますと努力しているので、そこは県が調整して欲しい。
A3 上流域の私たちは水の価値について思いを致して欲しい。水資源を守る努力を理解して欲しい。条例ではそこに配慮して欲しい。米子市、境港などの皆さんが市民の森を作って頂いている。日野川の水量は減っている。河岸もコンクリートになり、山も荒れてれば、耕作放棄になれば土地の保水力もなくなっている。
A4 県が大山の南西麓の調査をされたが、北東麓は違う。こちらも調査して欲しい。町内エリアを規制できても、県外は規制できない。
Q モニタリングなど県と一緒にやっていけないか
A1 県と共同でやっていただくなり、県がやっていただければうれしいが、独自にモニタリングをしている
A2 モニタリングはやっていない。
A3 企業はないので、モニタリングはない。
A4 町でモニタリングしている。データの融通は問題ない。
Q 御来屋などで自噴しなくなった井戸もある。県が早くすべきだった面もあるが、私水や公水が大きなポイントになるのではないか。そこが県との価値観の共有が大事ではないか。公水という考えで、この条例はつくるべきだと思う。
Q 事業者と地域の方、町の方との協議は話し合いをするよう条例になっているのか。
A 町がモニタリング委員会を作って、データを公表している。サントリーは9月議会に毎回来て説明を頂いている。経費も町が負担している。300ヘクタールも共生の森をしていただいている。何本か井戸を掘って、同じ井戸ばかりから取水せずに回している。
Q 条例の許可届け出で、8センチ以下を許可するという条文はおかしくないか
A 8センチ以上は許可しないということ。すっかりミネラルウォーターで有名になってまいましたが、それもいいイメージです。
Q 県条例が町条例より厳しい条件にした場合はいかがか
A1 厳しいというものでないか。県が作ったのであれば、単独で規制はできないので県で作って欲しい。伏流水であっても、同じ水循環の中なので、協議会としての負担金を出すようにして、平等感をもって欲しい。
A2 吐出口は、県は14センチ、町は6センチでいいが、生活用水は除外規定があるが、14センチを超えることはないのではないかと思うが、除外規定は理解して欲しい。統一は他県の例を見ても、揃える必要はない。6センチだと管理が大変になるのではないか。
A3 地域と密着型かが大事。これが限界だと言えたりと話し合いができる協働できる企業であること、下流域に問題が起こったりというときは考えないといけないかもしれない。
A4 協議会などはありがたいと思っています。県の条例制定はええ話だと聞いています。吐水口は同じにすることはない。6センチで届け出をお願いしたが、思った以上に多くの人が対象になり、大変になった。
Q 国が定めた水質基準を超えて規制をかけようと考えておられるところはないですか
A ありません
Q 県の条例に意見はありませんか。
A1 町の条例を変えるつもりはない。伏流水を汚さないように努力している。協議会の分担金は平等感の持てるものになるよう配慮して欲しい。
A2 県条例を見ながら配慮していきたい。条例をつくるのに努力してきた。残したいという思いも半々である。
Q 協議会は業者さんベースで進む心配はないか
A 負担金の度合いに応じて発言権が違うと成ると心配している。
Q 水道事業者を除外すべきという思いはあるか
A それはない。ただ、水は共有の財産であるという県民意識の醸成が必要ではないか。
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