午後からは米子市の大江淳史・経済部次長兼経済戦略課長=写真右、米子市水道局から大縄覚局次長兼計画課長に来て頂き、お話をお聞きしました。
まず、水道局の大縄次長から説明を受けました。以下は概要です。
米子市でも条例の検討をしてきているが、県で条例を作られることはありがたい。
いわゆる100%地下水。2市1村を給水区域としており、18万7000人に排水している。年間配水量は2384万トンで、取水量は2436万トン。地下水は湧水、伏流水、地下水の3つで取水している。平成4年から工業用水をしているが今年度から水道局へ移管された。13の取水施設があり、内訳は18本(うち2本は休止中、1本は予備)の浅井戸、13本(うち1本は予備)、の深井戸、湧水1カ所、伏流水1カ所。
配水量は平成18年から減少傾向にある。例外的に22年だけは猛暑で増加。節水、人口増などが原因で、上昇することはないと考えている。昭和57年度から第七期拡張計画に着手し、賀ダム建設に参加して水源開発したが、後半からは拡張ではなく、更新のための開発となった。ペットボトルは米子の宣伝用だったが、それで人気が出た。戸上、福市が主要水源地だが老朽化などの課題もあり、旧淀江町で代替水源調査を平成18年から23年にかけて4カ所で実施したが、スポンジに水が染み込んだような地層で、福井地区での水源開発は断念した。
ペットボトルは増加する可能性はあるが、水道事業が増加することはない。昭和54年に吉谷享受の指導を受けて水源の調査研究を続けている。米子平野の浅い部分は鉄やマンガンを多く含む粘土層。日野川の扇状地ではなく、陥没盆地だった。川に直角に流れる地下水流を確認し、水源として開発した。淀江平野は帯水盆構造で微妙なバランスの上に存在しているほか、弓ヶ浜半島の地下水は大山に起因している。
市制70周年記念事業として市水道局は177ヘクタールの広葉樹林帯を購入した。40年、50年、60年にも涵養樹林帯を購入した。平成17年に水源保護条例の制定を提唱したがうまくいかず、当時の永瀬商工会議所会頭の提案で、条例という固い発想ではなく、「憲章」という形でまとめた。
大江次長からは企業誘致の観点から意見を伺いました。以下が概要です。
地域経済の活性化には企業誘致が重要。近年は水は問題にならなかった。平成10年ごろの米子富士通の進出のとき、井戸で工業用水を設けて供給した。県の工水も少し入っている。ニッポン高度紙工業は高知の企業。紙製のコンデンサーを製造しており、島根県と誘致競争をしたが、大山山麓できれいな水が決め手になった。
1期工事は日量6000トン、2期は8500トン、最大1万トン、3期は1万3000トン、最大1万5000トンを確保できることが誘致の決め手だった。1期工事から十分な調査研究をしようと、鳥大の先生を中心に水の検討委員会を立ち上げた。3本の井戸で日量7500トンは大丈夫だということが分かったが、周囲に影響があるかどうかを調べたが、影響がないということで、現在も影響は出ていない。
県も米子市も、事業所がどこに井戸を掘り、どれだけ取水しているか分かっていないのが現状。王子製紙は井戸にしているので、経済的な理由で工業用水は使わないようになっている。余り厳しく、地下水の取水制限は企業誘致をする立場から影響が出ると心配している。王子製紙の取水量は把握していないが、1万トン以上使っているだろうなと思っている。
私たちの質問にも丁寧にお答えいただきました。以下はその概要です。
Q 工業用水の単価格差は
A 県は二系統。境は25円、米子市は28円、近くのものは52円。
Q 島根に勝った理由は
A 島根では20円で提供すると提案があったが、前処理が必要になり、設備投資が高額になるので、そのまま使える米子の地下水が魅力的だった。
Q 水源開発の費用は
A 米子市の土地開発公社が造成し、3本の井戸を掘った。事業費の半分は県から補助を受けた。
Q 地下水調査は
A 地下水の流動を県で調べて欲しい。電気探査などでも分かるのは可能性だけ。掘ってみないとわからない。
Q 塩分は
A 米子は塩分は出ません。弓浜でもそうそう出ない。井戸は5メートルでも水が出るので、費用は数万なので、企業は洗車などでも簡単に掘って使う。
Q 取水して影響が出ない科学的根拠は
A いけるだろうという。休止中の水源地は1万くらいある。その代替と考えている。
Q それで科学的といえますか。
A 現状の中で大丈夫だろうということ。3本で日量7500万トン沸いてくる。8500万トンは今調べている。正確に言えば科学的根拠はない。周囲で7本観測井戸を取っている。1万5000トンは約束なので地下水がないとすれば、工業用水を使っても、供給しないといけない。
Q 地下水の取水に厳しい制限をかけると企業誘致に影響があるか
A 正直に言えば影響はあると思う。しかし、綺麗な地下水が使いたい企業ばかりではない。業種によっては水は問題ではない。綺麗な水というイメージは大切にしながらの誘致をしたい。でも、ただでさえ誘致が厳しい状況ではありません。
Q 水道局を条例の適用除外にすべきと思うか
A 命の水ですよ。それを県民が飲むんですから適用除外をお願いしました。しかし、最大の取水者は水道局。営利を除外して欲しいというのが本音ですが、環境を考えると逃げてはいけないと思っている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます