(相互乗り入れの接続点となる田原町駅(福井県福井市):2010年6月撮影)
5月27日、JR福井駅東口のAOSSAにて福井鉄道福武線・えちぜん鉄道三国芦原線の相互乗り入れに関する事業検討会議の初会合が開かれ、福井県、沿線市町、福鉄、えち鉄、国土交通省、福井県警の代表者らが出席した。
会合にて、県から相互乗り入れ案が提示された。案によると、相互乗り入れは2つの段階に分けて実施される。「第一段階」では、福井鉄道が、田原町経由でえちぜん鉄道新田塚駅まで直通運行するもので、2013年度にも開始する。会合において、運行形態・区間が大筋で了承されたとのこと。
福井県が示した案は次の通り。
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○ 第一段階
・福鉄がえち鉄新田塚駅まで乗り入れ(イベント時の臨時列車は、三国港駅などへも乗り入れ)
I. 必要整備
・福井鉄道
…田原町駅の改修、線路接続工事
・えちぜん鉄道
…福鉄低床車両に対応するための、4駅(福大前西福井、日華化学前、八ツ島、新田塚)の改修
II. スケジュール
2010年度 秋: 概略設計の調査、全体の事業費積算、福井鉄道連携計画の変更
2011~2012年度: 設計・工事
2013年度: 新田塚駅までの福鉄乗り入れ開始
III. 運行形態
・6:00~9:00 … 福鉄・えち鉄ともダイヤ過密となるため、福鉄は福大前西福井駅までの乗り入れ
・9:00~19:00 … 福鉄は新田塚まで毎時1~2本乗り入れ。乗り入れない列車は、田原町駅でダイヤ調整し、えち鉄との乗り継ぎ向上へ
○ 第二段階
・福鉄の乗り入れをえち鉄西長田駅まで延長
・えち鉄は低床車両を3編成導入し、福鉄越前武生駅まで乗り入れ
⇒ 相互乗り入れへ
I. 必要整備
・えちぜん鉄道
…低床車両に対応するための、9駅(中角駅~西長田駅)の改修
II. スケジュール
…実施時期未定。また、えち鉄の連携計画策定が必要(2011年度中を予定、策定主体:沿線市町)
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事業実施に当たり、費用負担・財源が課題
→今後の調査で事業費がはっきりした段階で、沿線自治体など関係者が意思確認する場が必要(県)
えち鉄見奈美社長:
・ハード整備だけでなく、料金、同一切符発行など、乗客の利便性を向上させるソフト面の検討を要望
・まちづくりの観点から、経済界との連携、LRTのいち早い導入を訴える
次回会合は7月上旬に予定。収支採算性、事業者の経費負担などが議論される。
(なお、福井鉄道・えちぜん鉄道の相互乗り入れは、福井県の西川知事の公約となっている。)
(関連)
・福鉄 新田塚駅乗り入れへ 運行案は大筋了承(福井新聞 2010年5月28日付け)
・福井鉄道・えちぜん鉄道、相互乗り入れへ(読売新聞 2010年5月29日付け)
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相互乗り入れ案については、今年夏までに具体的な事業案がまとめられる予定であったが、今回は県から運行について具体的な案が提示された。
案では、福井鉄道のみ先に、えちぜん鉄道三国芦原線に乗り入れ、次いでえち鉄が低床車両(LRV?)を導入して福鉄福武線に乗り入れるという流れになっている。これは、えち鉄の主力であるMC6001形・MC6101形の車両幅が2850mmあり、福井鉄道の200形(幅2750mm)、610形(幅2765mm)などと比べて大きく、福武線での行き違いが困難である(法定では間隔40cm以上)ことが原因となっている。そのため、まずは福鉄の小型車両でえち鉄へ乗り入れ、という形をとったのだろう。
また、乗り入れ区間については、これまでの「福鉄…八ツ島・新田塚まで、えち鉄…ベル前・江端まで」の案から、「福鉄…新田塚、のち西長田まで、えち鉄…越前武生まで」に大きく拡大した。また、三国花火大会(8月11日)などのイベント時には、例えば福鉄が三国港駅まで乗り入れる(乗り入れは大型車両か?)、などの案も示された。特に三国花火大会の場合は、鯖江・武生からの見物客も多く、乗り入れ時の利用客も見込めるだろう。
ただし日常においては、相互乗り入れについての費用対効果の問題がある。福井鉄道では前年度の利用客が若干増加したものの、えちぜん鉄道は開業後初の減少に転じた。一世帯辺りの自動車保有台数が全国一の福井県で、公共交通は苦しい状況にあり、相互乗り入れに投じる費用に見合うだけの乗客が果たして確保できるかの疑問もある。
個々の会社の利用客を維持・増加させる努力はもちろんのこと、相互乗り入れするからには、それによって生じる交流人口を増やすための努力を、運行会社だけでなく沿線市町や商店等、つまりは地域全体で考える必要があるだろう。単に両方の会社の電車を乗り入れさせるだけでない、新たな交流・ビジネスの機会創出の効果も少なからずあるはずである。
5月27日、JR福井駅東口のAOSSAにて福井鉄道福武線・えちぜん鉄道三国芦原線の相互乗り入れに関する事業検討会議の初会合が開かれ、福井県、沿線市町、福鉄、えち鉄、国土交通省、福井県警の代表者らが出席した。
会合にて、県から相互乗り入れ案が提示された。案によると、相互乗り入れは2つの段階に分けて実施される。「第一段階」では、福井鉄道が、田原町経由でえちぜん鉄道新田塚駅まで直通運行するもので、2013年度にも開始する。会合において、運行形態・区間が大筋で了承されたとのこと。
福井県が示した案は次の通り。
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○ 第一段階
・福鉄がえち鉄新田塚駅まで乗り入れ(イベント時の臨時列車は、三国港駅などへも乗り入れ)
I. 必要整備
・福井鉄道
…田原町駅の改修、線路接続工事
・えちぜん鉄道
…福鉄低床車両に対応するための、4駅(福大前西福井、日華化学前、八ツ島、新田塚)の改修
II. スケジュール
2010年度 秋: 概略設計の調査、全体の事業費積算、福井鉄道連携計画の変更
2011~2012年度: 設計・工事
2013年度: 新田塚駅までの福鉄乗り入れ開始
III. 運行形態
・6:00~9:00 … 福鉄・えち鉄ともダイヤ過密となるため、福鉄は福大前西福井駅までの乗り入れ
・9:00~19:00 … 福鉄は新田塚まで毎時1~2本乗り入れ。乗り入れない列車は、田原町駅でダイヤ調整し、えち鉄との乗り継ぎ向上へ
○ 第二段階
・福鉄の乗り入れをえち鉄西長田駅まで延長
・えち鉄は低床車両を3編成導入し、福鉄越前武生駅まで乗り入れ
⇒ 相互乗り入れへ
I. 必要整備
・えちぜん鉄道
…低床車両に対応するための、9駅(中角駅~西長田駅)の改修
II. スケジュール
…実施時期未定。また、えち鉄の連携計画策定が必要(2011年度中を予定、策定主体:沿線市町)
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事業実施に当たり、費用負担・財源が課題
→今後の調査で事業費がはっきりした段階で、沿線自治体など関係者が意思確認する場が必要(県)
えち鉄見奈美社長:
・ハード整備だけでなく、料金、同一切符発行など、乗客の利便性を向上させるソフト面の検討を要望
・まちづくりの観点から、経済界との連携、LRTのいち早い導入を訴える
次回会合は7月上旬に予定。収支採算性、事業者の経費負担などが議論される。
(なお、福井鉄道・えちぜん鉄道の相互乗り入れは、福井県の西川知事の公約となっている。)
(関連)
・福鉄 新田塚駅乗り入れへ 運行案は大筋了承(福井新聞 2010年5月28日付け)
・福井鉄道・えちぜん鉄道、相互乗り入れへ(読売新聞 2010年5月29日付け)
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相互乗り入れ案については、今年夏までに具体的な事業案がまとめられる予定であったが、今回は県から運行について具体的な案が提示された。
案では、福井鉄道のみ先に、えちぜん鉄道三国芦原線に乗り入れ、次いでえち鉄が低床車両(LRV?)を導入して福鉄福武線に乗り入れるという流れになっている。これは、えち鉄の主力であるMC6001形・MC6101形の車両幅が2850mmあり、福井鉄道の200形(幅2750mm)、610形(幅2765mm)などと比べて大きく、福武線での行き違いが困難である(法定では間隔40cm以上)ことが原因となっている。そのため、まずは福鉄の小型車両でえち鉄へ乗り入れ、という形をとったのだろう。
また、乗り入れ区間については、これまでの「福鉄…八ツ島・新田塚まで、えち鉄…ベル前・江端まで」の案から、「福鉄…新田塚、のち西長田まで、えち鉄…越前武生まで」に大きく拡大した。また、三国花火大会(8月11日)などのイベント時には、例えば福鉄が三国港駅まで乗り入れる(乗り入れは大型車両か?)、などの案も示された。特に三国花火大会の場合は、鯖江・武生からの見物客も多く、乗り入れ時の利用客も見込めるだろう。
ただし日常においては、相互乗り入れについての費用対効果の問題がある。福井鉄道では前年度の利用客が若干増加したものの、えちぜん鉄道は開業後初の減少に転じた。一世帯辺りの自動車保有台数が全国一の福井県で、公共交通は苦しい状況にあり、相互乗り入れに投じる費用に見合うだけの乗客が果たして確保できるかの疑問もある。
個々の会社の利用客を維持・増加させる努力はもちろんのこと、相互乗り入れするからには、それによって生じる交流人口を増やすための努力を、運行会社だけでなく沿線市町や商店等、つまりは地域全体で考える必要があるだろう。単に両方の会社の電車を乗り入れさせるだけでない、新たな交流・ビジネスの機会創出の効果も少なからずあるはずである。