京都府警本部で、これから刑事として活躍していく警察官のみなさんに、
「弁護士から見た警察捜査について」と題して、講演してきました。
弁護士が何を狙っているのか?
→ 「捜査官のエラーを狙っている」
取調べでの不用意なひとこと、弁護士が接見に来たときの対応、供述調書の扱い、証拠作成や証拠の保管でのミスなど・・・・・
こういったエラーを探して、証拠化していくのが弁護人の仕事だということをお話ししました。
そして、裁判員裁判に耐える捜査のためには、捜査機関は徹底してフェアでなければならないと話をしてきました。
また、PC遠隔操作事件に触れて、なぜ、虚偽自白が生まれたのか、無実の人がなぜ犯行動機や犯行時に使ったハンドルネームの由来まで自白してしまったのかを問いかけました。
再審で無罪が明らかになった布川事件の時も、無実の人が、行ったこともない被害者の自宅の様子や侵入経路を詳しく自白していました。
捜査官 : 「どこから侵入した?」
被疑者 : 「さあ・・」
捜査官 : 「普通の家はどこから入れる?」
被疑者 : 「玄関ですか・・・」
捜査官 : 「強盗が玄関からは入らんだろう。他にないか?」
被疑者 : 「え~と、窓ですか?」
捜査官 : 「そうや、よく思いだしたな。で、どこの窓や?」
被疑者 : 「どこの窓って言われても。。。。 居間ですか?」
捜査官 : 「いや、違うな。他にも窓はあるだろ。」
被疑者 : 「和室。。。」
捜査官 : 「違う。もっと、他にもあるだろ。」
被疑者 : 「あっ、トイレ!」
捜査官 : 「そうや! よく思いだしたな。エライぞ!」
捜査官の巧みな誘導で、侵入経路が自白されていったそうです。
こういう自白をするとき、被疑者は決して嫌な気持ちでいるわけではないそうです。
一旦罪を認めた以上、ちゃんとつじつまが合うように説明しなくてはならないという気持ちになり、捜査官に助けを求め、ヒントを出してくれる捜査官に感謝し、正解を見つけるとうれしくなるそうです。
PC遠隔操作事件の自白も、こんな風にして作られたんでしょうね。
参加していた若手の警察官の方からも、
「覚せい剤を何回も繰り返しているような人の弁護は嫌になりませんか?」
「否認しているけど、本当はやっているんです。と告白されたら、弁護士はどうするのですか?」
といった鋭い質問をいただきました。
ブログには書けない本音トークで答えてきました。