50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「彼女に、想像のチャンネルを・・・

2015-04-13 19:48:51 | 小説
「彼女に、想像のチャンネルを多くしてほしい。そういうことじゃないでしょうか。おじさまは」
クモは彼の勝手な解釈を喜びたかった。
「たとえばここ、劇場は想像を育てると思うんですよ。時々誘ってください。ぼくも、ここに初めてやってきてわかりました。ところで、お会いしたことを彼女には内緒にしておいてください」
その語尾が消え入りそうなのに、クモは幾分安堵した。

(つづく)