イヤイヤ星人の襲撃

我が家にイヤイヤ星人が舞い降りてきたのは、夏の始まりだったと思う。

今まで、
「かあちゃんかあちゃん」
と従順でどちらかというとおとなしめの息子くんがある日
「いや」
と言った。

あの日から、今日まで数ヶ月。

そのイヤイヤ星人は徐々に勢力を増してきて、最近ではすっかり我が家で君臨している。

恐るべし。イヤイヤ星人。第一次反抗期と、下の子が生まれたので赤ちゃん帰りと、ダブルでやってきた。

誰もが通る道だから・・・。
自我の芽生え。
自立の第一歩。
下の子が生まれてさみしいんだから・・。
お母ちゃんの愛情と注目を集めたいだけなんだから。

なぁんてキレイ事言ってる場合じゃない。

マジでぶち切れ寸前ですわ。

今までの人生で一番ストレスフルな毎日と言っても過言ではないね、これは。
何から何まで「いやいや」「○○せん！」

せんでもいいけん、ビービー泣くなっちゅうに！！うるさい。
わが子をベランダから投げ落としたくなる瞬間は、まさにこの瞬間だと教育評論家に教えてあげたいくらいだ。

一番イライラするのが、
「ゴメンネは？」
「ごめんねしぇん！！！」
「アリガトは？」
「ありがとしぇん！！！」

日に何度も繰り返されるこの会話。
自分が悪いことをしたらちゃんと誤れる子になって欲しい。
お礼ぐらいちゃんといえる子になって欲しい。

そう思う母は、いちいちムキになって「ごめんねしなさい！」「ありがとしなさい！」と一日中怒る羽目になる。


しかし、もう母は疲れた。
そして、考えた。

もう、一緒になって腹を立て、同じテンションで叱ったりするエネルギーの損失は止めようと・・・。

何から何まで、イヤならイヤでいいじゃないか・・・。
ご飯食べるのイヤなら食べなくていいよ。一食二食抜かしても死にゃあせん。
トイレだって無理に行かなくていいよ。大人になるまでオムツつけてるわけじゃないし。
と考えることにした。

しつけより、お互いの精神衛生の健全化を図ることに決めた。

そして
「ごめんねしぇん！！！」　→　「ごめんなしゃぁい！」
「ありがとしぇん！！！」　→　「ありがぁとしゃぁん！」

と、むりやり聞き取ることにした。
そう聞こうとすると、聞こえないことも無い。

なんともユーモラスなイントネーションに聞こえてくる。

「アリガトは？」
「ありがぁとしゃ～ん」

なんて言われたら、「ぷっ」とふきだしてしまう。
本人は「アリガトしない！！」と駄々をこねているのだが・・・。

そうして、なんとか私の怒りを鎮めることにした。
一日も早くイヤイヤ星人が、イヤイヤ星に帰っていく日をただひたすらに願うばかりである。

こうして、なんとかがんばっている育児と真っ向勝負の２歳児と生まれ子の母である。


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