久遠の絃

-くおんのいと-
since 2003/9/1
キレイな写真なんていらない。もっと本当の姿が見たい

ついった

いろいろ

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雪が降る

2007年12月02日 23時35分45秒 | ことばのうみ
 手の中からこぼれていく雪のかけらを集める。
 はらはらと落ちる雪は、なによりも白く息を吐くごとに白くけむる。
 街の色は冬のさむさに凛としずまり、重苦しい雲が街をながめている。みぞれまじりの雨はやがて雪へと変わり、まだ雨の色。
 何もすることがなくて、コタツに入りながらそんな空をながめている。ベランダの手すりに降ってはとける雪たちが少しだけ切ない。
 音もなく舞い落ちる白いものは、いつのまにかその量を増して、空の形を知ることもなく。
 窓から顔を出し、そっと降り始めた空をながめてみる。
 雪が降ってくるのか、私が空に吸い込まれていくのか。
 しだいにつもっていく白くてつめたいもの。見るほどに街の形を変えて音もなく。
 そんな空をコタツにしみるしもやけを感じながら見ていた。
 雪はまだ降り出したばかりで


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想像した!

2007年11月25日 22時03分48秒 | ことばのうみ
想像してみてください。

「長靴を履いた猫のようなもの」

想像してみてください

「火薬入りかやくごはん」

想像してみてください

「鳥柄スープ」

想像してみてください

「老婆は一日にしてならず」

想像してみてください

「崖から謝って転落」

想像してみてください

「兄弟皆人類」

想像してみてください

「ひんしゅくの値段」
「ケンカの売値」

想像してみてください

「ひねればお湯が出る”コック”さん」

想像してみてください

「猫鍋(観賞用もしくは食用)」

想像してみてください

「スランプなのかネタ切れなのか、小ネタをかき集めて即興で書いてるumiのヒト」
「ネタがわかるまでに一晩以上かかるかも知れない読んでるヒト」
「わかったネタが笑いに繋がるまでもなく、納得してしまう気持ち」
「たこ焼きのタコ抜き」「ビールのアルコール抜き」

誰に言われたでもない、誰にも迷惑をかけることもない。自分で作った締切に追われる日々・・・・・・
乗りかかった船だと言いつつどんどん足が開いていく状況
最後のオチが見当たらなくてぬるぬると伸びていく文章
「とりあえずこんなもんでいいか」と半ばサジを投げるように終わる


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風の中に

2007年11月18日 15時27分38秒 | ことばのうみ
 風の中に新しい季節を見つける
 通り過ぎていく昨日までの暖かさ、秋と冬の狭間
 見つけられないでいたその先の、冷たい冷たい冬の季節。思わず息を吐き出して朝の冷たい空気と白く曇った息を眺める。肌を刺す凛とした今日の風が、秋に別れを告げるように。
 まだかじかむほどではないが自転車のハンドルを持つ指が冷たい。
 ここへ来ていくつ季節が通り過ぎただろう。昨日までの暖かさはどこへ行ってしまうのだろう。暦から知ることよりも肌で感じる季節の変わり目。白い息を吐き出しながらいつものように自転車を走らせる。
 神社の参道。落ち葉道をゆっくりゆっくり走っていく。かささかかさかさ。踏みしめる秋の気配が静かになった木々のざわめきに溶けていく。空が明るい。
 生い茂っていた葉は色付いていつのまにか散り始めた。だんだんと高くなっていく空を一本の飛行機雲が貫いた。
 季節は私たちを残したまま冬に変わる。めぐる季節の中でただぽつんと取りのこされるように。動かずずっと空を眺める。
 風の中にまた春の香りを見つけるまで


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2007年11月11日 23時41分13秒 | ことばのうみ
”私の道はこの道なんだと思う”
 秋の風吹く中で私は小さくつぶやいた。カサカサと鳴く落ち葉とざわめく公園の木々がうねる。人気のない夜の街灯に集まっていたはずの虫たちはどこへ行ってしまったのか。
”そうか、悔いはないんだね”
 その言葉に私は小さく頷いた。幼なじみの和美の言葉。
”そんな、後悔なんてあとですればいいのよ・・・・・・ 今の私にはこの道しか見えなくてね。歩いていけばさ、必ずどこかにたどり着くわ。だからここで立ち止まってるわけにはいかないの”
”やっぱり・・・・・・”和美が笑った。”やっぱりあんたらしいね。行きなさい鼻は私は向けてあげる”
 そういってぎゅっと肩を寄せた。


 風の中を列車が通り抜ける。やっとの事で持ち上げた固い窓から空を見ていた。空は秋の色に澄んで、レールを踏みしめる音が心地いい。カタンことんといつまでも続くいつか見た景色は遠く、まだ見たこともない世界が広がり始めた。
 そして新しい生活が始まる。私にはその道を進むことしかできない。親の敷いたレールなんてまっぴらで、私はそこから降りて、歩いて道を探す。
 この足で踏みしめた今日の第一歩とともに


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うどん

2007年11月05日 00時04分39秒 | ことばのうみ
 頭の中にはうどんが詰まっている。
 もちろんあのにゅるにゅるしたうどんである。産地がどこかはわからない。
 このうどんは外に出ることもなく、食べるためのものでもない。なぜか本来脳があるべき場所にうどんが詰まっているのである。
 だから時々頭をゆらすとうどんが揺れる。ゆえにあまり運動が得意でない。医者にも安静にしているようにと言われているのだが、安静にしてたからといって直るものでもないらしい。


 なぜこんなことになったかと言えば、やっぱりうどんが好きだったとしか言いようがない。子供の頃からよく食べていた。いつものうどんに飽きたらず、もっともっと違ううどんを求めていた。そんなことを考えるぼくの頭はいつもうどんのことでいっぱいだった。
 中学生の頃友達と野球をしていて、大きなフライを追いかけていた。躍起になってムリを承知でフェンスを上ったのが悪かった。足を滑らせて頭から地面に落ちた。
 血は出るわ、頭は痛いわでちょっとした騒ぎになってしまった。そのままでも大丈夫だったのだろうが”一応見てもらえ”との近所のおっちゃんの言葉で病院に連れて行かれた。
 傷は浅く縫う必要もなかったのだが、たんこぶが出来ていたので骨に異常がないかレントゲンを撮ることになった。検査の好きな医者はどこにでもいるもんだ。
 白いライトボードにレントゲン写真を差し込んで目を丸くした医者の顔が忘れられない。あの長い間はなんだったんだろうか。押し黙ったまま動くことも出来ず、ただ一筋の汗がぼたりと落ちる。
 言葉にならない言葉を残して席を立つ医者。ぶつぶつとつぶやきながら奥の部屋に引っ込んでしまった。
 しばらくすると壁になにかをぶつけるような音が響き、看護婦達のあわてた声が聞こえた。医者は何事もなかったかのように元いた席に戻ったが、額が少し赤くなっていた。ぷるぷると震える差し棒でぼくの頭のレントゲンを指し、絞り出すようにはき出した言葉が
”うどんですね”
 の一言だった。

 そのあと精密な検査を勧められたのだが、別にどこもおかしいところはなく、健康である。だから一言目で断ってしまった。
 昔から激しい運動をすると頭がふらふらしたことがあったのだが、この事により原因がわかったのでそれはありがたかった。
 だが検査を断って帰る帰り道、少し後悔したのは頭の中のうどんが”何うどん”だったのかということだろうか。


 学校を卒業して社会人になってからは、食品会社の事務をやることになった。もちろんうどんを作っている会社だ。だが実地で働くには体力と時々揺れる頭の中のうどんがじゃまをして事務をまかされることになった。
 だからうどんをつくることが出来ない分、事務の仕事をがんばった。がんばっていくうちに”あいつは骨のあるやつだ”なんていう上司が現れたが、ぼくにとっては”あいつはコシのあるやつだ”と言われる方が心地いい。
 さて、そんな感じでときどき根を詰めて仕事をすることがあるのだが、2時間もすると煮詰まってくる。そんなときはお茶の時間である。コーヒーもいいのだがみんなが席を外してる場合は、持参したものを飲むこともある。

 季節が春になると新人たちが配属されてくる。その関係で飲み会などに誘われることも多いのだが、あまり人が多いと参加しない。やっぱり気の知れた仲間と行くのが一番いい。
 時々ぼくを慕ってくれる後輩などをいつもの店へ飲みに連れて行くのだが、ぼくが頼む”水割り”が理解出来ないらしく、慣れないうちは目を白黒させている。
 いつも行く店はそば屋であるのだが、日本酒なども豊富にそろえている。でも後輩たちには理解出来ない水割り。ほら、そば湯なんてものもあるのにもかかわらずね。
 もしかしたらロックでもいいのかもしれない。


 それにしてもこの頭の中に入ってるうどんはあまり役に立たない。
 うどんが脳の変わりなのか、脳がうどんになってしまったのかさえもわからないのだ。それがどう使われてるかなんてわかるはずもない。
 ただ願わくば、頭を下げた時にうどんが揺れるのはどうにかしてほしい。仕事上どうしても頭を下げることが必要になってくるのだけれど。


参照:さぬきうどん

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月下

2007年10月28日 23時10分00秒 | ことばのうみ
「人はいつから空を見上げなくなったのかな? 今日の月はこんなにも綺麗。なのに人は家で明かりをつけて過ごしている。外にはもっと違う世界があるはずなのにね」
 急に彼女がつぶやいて、ぼくらはふたりで空を見上げた。
 本当は暗いはずの夜なのに、あたりにはくっきりと影が出来ている。丸くて強い月の光が、なにもないこの場所を照らしている。
「人は空をあたりまえに思ってる。いつ見ても変わらないと思ってるんじゃないかな。 当たり前のことなんだけど、昼間は明るくて夕方には暗くなって、夜はただくらいだけ。それか街の明かりが灯ってる。そのうち夜がやってくるってさ。
 みんな時計を見ながら生活してるから、空の色もなにも時間で夜と朝を分けちゃってる。今日の空は今日しか見られないのにね」
 ぼくらの下に出来上がった影はくっきりとしているのにずいぶん小さい。月はちょうど頭の上にある。聞こえるのは波の音。ふたりが歩く足音と時々木の葉をゆらす風の音だけ。

 秋の季節は暦ではなく、山と風の色づきで決まる。だからこそ時々こうやって歩いてみる。車では早すぎて見られない、自転車でも通り過ぎてしまう。自分の足で歩くからこそ見えてくるものもある。
 彼女が言う。
「月の明かりはいつもは見えないものを見せてくれるのね。昼間の太陽では明るすぎて、まぶしすぎて見えなくなってしまうもの。
 こんな月の光だから、今日のこんな風だから、もしかしたらそんな会話も出来るのかもね」
「昼間は遮るものが多いからね。こんな夜だからこそこうやってぼくらは散歩出来るんだね。もしかしたら月の光は人を哲学者にするのかもね」
 そう言ってふたりで笑う。
 誰にもじゃまされない場所。誰もいなくなった公園。ただ波の音と風の音が響くところ。そうしてまた強い風が吹く。
「ねぇ、この風に手紙を載せたらさ、いつか誰かに届くのかな?」
 長い髪の毛を風になびかせて彼女がつぶやく。
「日本の上には偏西風が吹いてるから東の方へなら届くのかな?」
 空に星は見つからない。すべて月によって飲み込まれてしまった。
「でもその手紙はきっと遠い遠い旅になるんだろうね」
 この風に乗ることが出来たならどこまで行けるんだろう。日本を飛び越して知らない国へも行くことが出来るだろう。かつてこの空を旅したリンドバーグのように。遠く高く。
「いつかこの風に乗って旅をしてみたいな。もっともっと遠くへ」
 夜はふけていても、明るい夜空はたぶんそのままで。
 少しだけ長くなった影と見え始めた街の明かりを前に、彼女がそんなことをつぶやいた。
 夜の散歩は終わろうとしている。街の明かりを浴びてしまえば月明かりの色を忘れてしまう。だから僕は立ち止まった。
「どうしたの?」振り返る彼女。
「やっぱりぼくらは明かりの中に帰るんだね」
「そうね。もう人は暗い夜には戻れないのかもしれないね」
 また歩き出して街灯の明かりがだんだんと強くなって、街の明かりが鮮やかに揺れ始める。
「そうだ、今度キャンプに行こう。静かな時期をねらってさ」
 そう言って彼女の手を取ってみた。きゅっと握り返す彼女の指は秋の風に冷えていたが暖かかった。
「月の出る日がいいね。暗くて明るくて、また今日みたいな月が出るといいね」
 彼女の言葉に月がそっと顔を隠す。小さな雲が流れ出してふたりを包む。
 僕はそっと彼女に唇を寄せた。


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今そこにいる

2007年10月21日 22時38分39秒 | ことばのうみ
 目の前にあるはずの僕の影がだんだんと変わっていく。
 いつのまにかそれは僕の形からはずれ、独りでに動き出そうとしている。
”止められない・・・・・・”
 立ちすくむ僕をあざ笑うかのように影がにやりと笑った。思わず一歩後ずさりしようとした僕の足。でも動かない。まるでがっちりと地面に引き留められていて動かない。思わずしりもちをつく。そして影が言う。
”君は動いちゃだめだよ。君はぼくが動くとおりに動くんだ。君は自分の姿を忘れてしまったのかい?”
 影が見下ろしたように僕に問いかける。そう、だんだん影が伸びていく。へたり込んだ僕を影がじっと見つめる。
 はっとした。手が離れない。
 手はいくら引き離そうとしても離れない。床に張り付いたまま動こうとしない。手も足もどう動かそうとしても、床を離れることが出来ない。まるで床に落として溶け出していくアイスクリームのように。体が重い。本当に溶け出していくように。僕の体は床に引き寄せられるように。
 天井を見ながら倒れ込む中で、首を上げて体を確認する。指の先からだんだんと黒ずんでいくのがわかった。
”影は僕か?”
 強い口調で言葉をはき出す。にらみつけたはずの影が笑い、それはだんだんとどこかで見た顔、まるで鏡の中にいる僕の顔へと変わっていく。影は楽しそうに口を開く。
”君は変わりたいと願っただろう? もっともっと違う自分になりたいと。だからぼくが出てきたんだ。君と交代するためにね”
 影がはき出したその言葉をきっかけに、指先の黒ずみが加速する。ざわざわと音を立てるように、静かに黒い色が広がっていく。手のひらを超えてじわりじわりとぼくの体が影に変わっていく。
”それは違う、僕はそんなの望んでいない!”
 僕の黒く塗りつぶされた体がだんだんと影だったものへと移り変わっていく。
””やめろ! やめてくれ!””
 叫んだ口は、影だったものも同じように。それはまるで僕ともう一人の僕が同時に口を開いて同じ言葉を叫んだような。そしてまた影が口を開く。
”君はぼくの影であればいいんだ。ぼくと同じ行動をして、ぼくの後をついてくればいいんだ。ぼくの言うとおりに動いてくれればそれだけでいいんだ”

 いつのまにか黒い色は腕を通り越し、体の中へと入り込んでくる。
 まるで頭の中まで影になっていくようで。胸を押さえられ、のどを止められ、口から吐き出した息は黒い霧のようで。 耳は聞こえなくなって、目の前が真っ暗になっていく。頭がだんだんぼんやりしてくる。そしてふらふらと倒れ込みそうになる。
 でも、倒れ込んでしまえば本当に影になってしまいそうで・・・・・・
 最後に見たものは地面を見つめて笑うような「ぼく」で・・・・・・
 倒れ込んだ僕は音もなく地面に吸いこまれるように、うすっぺらで・・・・・・

 気がついた時には自分の影を見つめる僕がいて、僕の動きに合わせて動く影があって、いつもと変わらない床といつもの景色があって。
”で、ぼくはどっちなんだろう?”
 影に問いかけてみても何も答えず。二人して同じように首をひねるだけで。ただ、そのときの影が少し笑ったように見えたのは、ただの思い過ごしであればいいのだけれども・・・・・・




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君の見た世界

2007年10月14日 23時42分58秒 | ことばのうみ
 君の見た世界はどんな色をしていたんだろうね。
 朝焼けも昼間の日差しも夕焼けも。もちろんその隙間にある変わりゆく瞬間。夜から朝へと変わる、いつのまにか昼になる。そしてまた夜が始まる。
 ここにいて見えるものはどこまでも続く道。立ち止まることは簡単で、振り返ることも自由。でも後ろに戻ることは出来ない。ただ前へと歩いていくだけ。
 だから後ろ向きに歩いたって何の問題もない。ただ転びやすくなるだけ。
 だから立ち止まったっていい。でもいろんな人の背中が君を追い越していく。
 続けることは大変で、でも歩いていくだけではつまらない。いつもその先にあるものを探して。
 下を向いててもいいじゃない。何か新しい発見があるかもしれない。
 上を向いてごらんよ。暗い夜の中に小さな星が見えるかもしれない。
 誰かが悪い訳じゃない。君が悪い訳じゃない。でも、空を憎むことも大地を恨むことも誰を恨むこともない。
 そして自分の中に見えるものを知る。
 誰かがわかってくれるものでもない。君に伝えたことがない。見えなくなったのは、それは弱さ。あたりまえの感情と、あたりまえの気持ちの中。
 深い霧の中は手をのばさなきゃ見えてこない。手をのばすことから始めよう。つかめそうでつかめないその先の、もっと先へ。
 また新しい明日への扉を、今日の自分の中から見つけて。明日よりももっとその先へ


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2007年10月08日 10時28分07秒 | ことばのうみ
 水は川へと流れていきました。
 その先には広い広い海が待っています。水は流れていきます。時々知らないところから来た水達といっしょに流れていきます。
 水は大きな流れをつくり、それはだんだんと大きくなっていきます。同じように流れてきた小石は、そのゴツゴツした角を削られ丸く優しい顔になっています。
 川の水に潮の香りがし始めて海へ出ます。見た目には増えることもなく減ることもない海の水。それはひとつひとつ風に吹かれて空に上っていきます。
 それはそれは時間をかけて。
 集まった水は空に雲をつくり、それはまた陸に戻ってきます。いつのまにか降り出した雨に人々は空を見上げ、街に傘の花が咲き乱れます。
 そのまま川へと流れる水もあれば、山に落ちて染みこんでいくものもあります。いつの日かまた地上へ戻ることをねがいながら、地下をゆっくりと時間をかけて旅をします。
 変わらない営みの中で、変えることの出来ない動きがそこにあります。流れに身をまかせ、またその次を目指し、いつか帰る場所へ



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夜の長い

2007年09月30日 22時40分07秒 | ことばのうみ
 夜は暗すぎるから、一本だけロウソクを灯すの。
 燭台にロウソクを置いてね、そっと火をつけるの。そうすれば見えない世界が見えてくるわ。それは電球だと明るすぎて見えないんです。やわらかな明かりでしかそれは見えないんです。
 夜は本当は暗いものなんです。人は星と月の明かりを忘れてしまったのね。でも誰もそれに気がつかない。創り出した明かり。
 いつか人が火を手に入れた時から変わってしまったのね。私たちは本当の夜というものを知りません。どこかに何らかの明かりがありますから。でもそんな明かりのない世界。想い描くだけの世界にはどうやっても戻ることは出来ません。
 でもこうやって思い出すことは出来るのかもしれません。ロウソクの明かりでペンを取るように。
 ゆらりゆらりと光が揺れます。秋の夜の気持ちのいい風が虫の声を届けに来てくれます。
 静かな夜に、この秋の夜長に、更けていく今日と明日の境目。それは忘れていた何かを思い出すような――
 やわらかな光の中で


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