目の前に大きく大きく飛び込んでくる。受け止める事すら出来ない夕焼けは、ぼくらを通り抜けて後ろの街を照らす。
海の向こうへ沈んでいく今日の太陽は、空を朱く、海を紅く染める。振り返る君の横顔が赤かったのもこの夕焼けのせいかもしれない。
にっこりとほほえむ君を夕の光がやさしく包む。きらきらと光る海の色をうつしたように、君の顔が輝いて見える。
早いまま動き続ける僕の心臓は、まだゆるむことなくいつまでも早いままで。
言葉がいらないほどに周りの音が小さく聞こえる。夕の色に染まっていくぼくたち。まちはゆっくりと夜へと変わっていく。ぼくらだけを夕日が包み、街には明かりが灯り始める。波の音だけが聞こえて、ぼくたちは微笑んだまま。
君がそっと手を伸ばすので、僕はやさしく君の手を取った。
薬指に指輪をはめるまねをして、僕はもう一度キスをした。
いつの間にか染まった空が夜へと帰ろうとしている。
ただ目の前にいる君と、赤く染まった夕焼けが忘れられない。
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薬指に指輪をはめるまねをして、僕はもう一度キスをした。
いつの間にか染まった空が夜へと帰ろうとしている。
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