映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「諜報員ブルント 第4の男」
サルビアの花の間に立つサギーナルシス的なたたずまい。
上左の画像は
左:ガイ・パージェス(アンソニー・ホプキンス)右:アンソニー・ブラント(I.Richardson)
下:マイケル・ウィリアムズ
上右の画像は
ガイ・パージェス(ルパート・エヴェレット)in「アナザーカントリー」(1984)
1987 英米 84分 TVドラマ レンタルDVDにて鑑賞 監督 ジョン・グレニスター
出演 イアン・リチャードソン アンソニー・ホプキンス マイケル・ウィリアムズ
原題≪BLUNT THE FORTH MAN≫
名高い「ケンブリッジ・スパイ」による1951年のソ連への国外逃亡事件を描いた英国のTVドラマを米国で編集したもの。
1930年代にこのスパイ団を組織したアンソニー・ブラントは爵位もあり、英王室の美術顧問として、英国社会の中枢部に長年あった人物で、イアン・リチャードソンが演じている。
マッカーシーの赤狩り旋風から組織を守るため、精神不安定な在米の英国外交官ドナルドをソ連に送る、というのが彼の構想だ。その付添役の男がソ連にともに逃亡した。それが「アナザー・カントリー」の主役ガイ・パージェスだが、なんとこの役にアンソニー・ホプキンス。(驚くわけは、若かりし日をルパート・エヴェレットが演じた、典型的な美青年とホプキンスのイメージが結びつかなかったから。ホプキンスさん、ご免なさい)
この二人は何もかも対照的だ。落ち着いた典雅な挙措で、貴族的とも言えるアンソニーと、酒は浴びるように飲むわ、暇さえあれば美少年を誘惑するわの八方破れのガイと、ところがこの二人は一時は愛しあう関係にあったらしい。
アンソニーは学生たちに、ニコラ・プッサンの絵を解説しながら、自分が若かった頃のマルキシズムは理想の世界を作るように思えたと語っている。その絵はバッカスの祭りで手を取り合って踊る二人のギリシア風の男性を描いている。その複製を20周年記念に彼はガイ・バージェスに贈り物にした。「ずっと一緒に踊り続けてきたなあ」という、ガイ・バージェスの述懐がかぶさる。
一見いまわしい事件に見えて、青春の友情と理想主義から始まったのだということを、ドラマは語っているようだ。
Michel Williamsの演じる男は、妻に影響を受けて、Bluntがスパイだと告発しようと企てるが、エリア・カザンの赤狩り時の裏切りも妻の影響が大きかったようだ。どちらの女性も金髪の美人で保守的で体制側なのは不思議な符号である。
「アナザー・カントリー」ではソ連で年老いたガイ・パージェスがインタヴューで、「もう一度クリケットをしたい」というが、アンソニーは「クリケットは嫌いだ」と使用人に語っているのが、面白かった。
9月2日に借りたのだが、なかなか書けなくてきょうになってしまった。
→「ケンブリッジ・スパイ」16-10-3
→「エリア・カザン自伝」 11-12-25
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今回もブログをたずねて思いましたが、 Biancaさんはほんとにブレがない。こっちはブログの記事を書くにもそのときの環境に流されたりしてあるいはパッタリとまってしまったりするけど。
そして相変わらず引き出しが多いですね。
コメントくださるのは去年の3月以来ですね。ブログの記事が環境に応じて変化するのは生きているということ、若さと感受性があるからでしょう。まだまだJ.T.さんには青春時代が続いているのかなと。引き出しが多いというのも少し考え物ですね。上品ではないし、貪欲に通じるかも……。まあもって生まれた体質ですので無理して矯正はしないようにしようと思います。J.T.さんもますます自分らしく進んで行って下さい。また覗かしてもらいます。