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映画「麗しのサブリナ」




1954 米 113分 ★午前十時の映画祭★松江SATY東宝にて
監督 ビリー・ワイルダー 出演 オードリー・ヘプバーン ハンフリー・ボガート ウィリアム・ホールデン

公開時はまだ小学生だったので、見たのはだいぶあとになるが、当時20代半、ヘプバーンの人気は最高潮に達していたのでは。服装・髪型などは世界に流行したようだ。
お話はヒロインが美貌と洗練によって下の階層から救い上げられるという他愛ないシンデレラ物語だが、あちこちにビリー・ワイルダーの皮肉・風刺がきいていた。

たとえば、運転手の父親の、運転席と後部座席を隔てる見えない壁の話は自由平等に見えても頑として存在する階層の壁を語るし、パリの料理学校での卵のシーン。むかし見たときは(今もだが)あんなに大量の卵を割って、何に使うのだろうと、心配した。今度は、「卵は生きているから、苦痛を与えないように、素早く」と講師が自分の首に手刀をしてギロチンを暗示したこと。欧州からナチスの迫害を逃れて米国にきた、母親は強制収容所で死んだ彼の人生を思えば、こういう風刺が入るのもうなづける。

この映画は相方も好きなのか、日本でも外国でも週末に良く借りている。この映画の人気は、男性女性を問わず、不遇な人に夢を与えるおとぎ話だからだろうか。女の場合は、今は見すぼらしくて人に顧みられなくても、磨きをかけて大変身したら、引く手あまたとなり、あの人にも振り向いてもらえるかも。とか、男性には、仕事一筋で女性の扱いは無器用でも、状況が変われば……という、現実にはなかなかありえないと思うが、かすかな希望を与えるのだろう。

ところで私は以前は変身前の彼女の方が好きだったが(↑右端は野添ひとみにそっくり)この少女趣味は私だけだろうか?
ホールデンの軽薄なプレイボーイぶりより、ボガートの冷静沈着さの魅力的と感じるのは一般的だろう。仕事人間の多い日本人男性に通じるものがあると思う。

それにしても女性と男性の年の差(ホールデンと10歳、ボガートとは30歳くらい)とか、パリで花嫁修業とか、それが料理学校とかいう点が、時代を感じさせる。リメイク版では料理ではなくべつの勉強をしていると思う。

午前十時の会場を占めていたのはいつものような中高年で、サブリナ・パンツの女性(70代位)に目を見張り、薄毛やごま塩の後頭部も多い。女性は一様に真っ黒な髪、サブリナに合わせたのか。

※1995にリメイク シドニー・ポラック/ジュリア・オーモンド&ハリソン・フォード主演
●近過去に見たのは
   1993-1-16(レンタビデオ@吉祥寺)
   1996-10-4(レンタルビデオinUSA)
●オードリー・ヘプバーン
→「噂の二人」 7-5-9
→「尼僧物語」 6-12-18
→「昼下りの情事」11-10-20
→「シャレード」 12-9-10
● ビリー・ワイルダー
→「情婦」   12-4-7
→「昼下りの情事」11-10-20
→「お熱いのがお好き」11-4-7
●ウィリアム・ホールデン
→「ワイルド・バンチ」11-10-30
●ハンフリー・ボガート
→「カサブランカ」11-12-21
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (桃すけ)
2012-10-02 13:37:19
野添ひとみに似ているというのは、初めて気づきました。
私も変身前の彼女が好き。この映画そのものをそんなに好きというわけではなく、この服装と雰囲気が大好きでした。ボガートについては、私と妹と意見が別れます。私はカサブランカのボガートが好きで、妹はサブリナのボガートが一番と言います。私はこのときの彼は暗くて、サブリナが好きになるかなあと、疑問に思います。ホールデンは問題外ですが。何で人気があったんでしょうね。
でも、さすがの観賞力ですね。そのような風刺が込められていたんですね。
ヘプバーンの映画で一番好きなのは、「ローマの休日」なんです。こんなことを言うのは、サガンが好きというくらい気恥ずかしいけれど、今、この映画の良さがわかって、DVDを何回もみています。このときのグレゴリー・ペックも大好き。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2012-10-03 11:40:09
桃すけ様、こんにちわ。
以前は貴女と同じで、ここでのボガードの魅力を感じませんでしたが、今度見て、あれっ、なかなかいいじゃないかと思いました。夜のガレージのシーンとか、海で昔のレコードをかけるシーンとかは姪に接する夫を見ているようで、距離を置きつつ、適当に心配しているのが、いかにも大人の男らしいと思います。ホールデンの方は、ヘプバーン自身が気に入っていたようなんですよ。(ちょっと幻滅ですよね)「大女優物語」中川右介著・新潮新書にありました。
 
 
 
Unknown (桃すけ)
2012-10-04 18:18:24
ヘプバーンがホールデンを気に入っていたというのは、私も本で知りました。ちよっとねえ。ご主人が姪御さんに接している様子、というところ、実は私の叔父がボガートに1000分の1程似ていて(帽子もよくかぶっていました)、だから、妹はこのボガートのことを好きなのかもしれません。ご主人素敵ねえ。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2012-10-04 18:46:57
桃すけ様
親子と違って、おじおばと甥姪の関係というのはなかなか良いものですね。一人っ子政策が続くと、その醍醐味が失われるから気の毒です。ふーん、帽子をかぶったおじ様ですか。いかにも昭和のダンディですね。当方は似ていても3千分の1くらい。
ところで、公平を期すために付け加えますと、「戦場にかける橋」でのウィリアム・ホールデンは、陽気で行動的な米国男の良さが出ていました。彼は色恋沙汰は慎しむ方がよいでしょうね。
 
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