映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【本】宮本百合子 作家の自伝
2010年02月21日 / 本
1997年 日本図書センター 作家の自伝シリーズ46
著者 宮本百合子(1899-1951)
彼女の作品で今まで読んだのは手紙や評伝をのぞけば「伸子」「二つの庭」などわずかに限られている。その他の部分を読んで、びっくりしたり、感動したり、ふふと微笑んだりした。
1 行方不明の処女作(1935)私の青春時代(1949)
2 一つの出来事(1919)
3 我に叛く(1921)
4 広場(1940)
5 1932年の春(1933)
6 風知草(1946)
1は少女時代、2は初婚の米国時代、3は帰国後所帯を構えた時、4は湯浅芳子とモスクワにいたとき、5は1932年駒込警察に留置された時、6は戦後網走から生還した夫、顕治との日々を描いている。母、夫、湯浅芳子、宮本顕治、いつも誰かを激しく愛し、愛されずにいられない。
彼女は両親の優れた頭脳を受け継ぎ、小学生の時に西鶴を現代語訳したり、恋愛小説を書くなど早熟だった。しかし、20才前後の新妻時代には、これが同じ人かと思う位、夫を熱愛し、甘えようとして満たされず焦れたりする。「一つの出来事」ではユダヤ人に対する幻想や同情が破れて悲嘆している。
本来すぐ誰かに幻想を抱くが、一方で確立した関係や状況には抵抗する。それは湯浅芳子が喝破した通りだ。その誠実さと情熱は、生まれと育ちに基づくのだろうか、まれに見る堅忍不抜の一生だった。ただ、ファーザーコンプレックスゆえか、男性に幻想を抱き、ひたむきに尽くして消耗したのは惜しい。
著者 宮本百合子(1899-1951)
彼女の作品で今まで読んだのは手紙や評伝をのぞけば「伸子」「二つの庭」などわずかに限られている。その他の部分を読んで、びっくりしたり、感動したり、ふふと微笑んだりした。
1 行方不明の処女作(1935)私の青春時代(1949)
2 一つの出来事(1919)
3 我に叛く(1921)
4 広場(1940)
5 1932年の春(1933)
6 風知草(1946)
1は少女時代、2は初婚の米国時代、3は帰国後所帯を構えた時、4は湯浅芳子とモスクワにいたとき、5は1932年駒込警察に留置された時、6は戦後網走から生還した夫、顕治との日々を描いている。母、夫、湯浅芳子、宮本顕治、いつも誰かを激しく愛し、愛されずにいられない。
彼女は両親の優れた頭脳を受け継ぎ、小学生の時に西鶴を現代語訳したり、恋愛小説を書くなど早熟だった。しかし、20才前後の新妻時代には、これが同じ人かと思う位、夫を熱愛し、甘えようとして満たされず焦れたりする。「一つの出来事」ではユダヤ人に対する幻想や同情が破れて悲嘆している。
本来すぐ誰かに幻想を抱くが、一方で確立した関係や状況には抵抗する。それは湯浅芳子が喝破した通りだ。その誠実さと情熱は、生まれと育ちに基づくのだろうか、まれに見る堅忍不抜の一生だった。ただ、ファーザーコンプレックスゆえか、男性に幻想を抱き、ひたむきに尽くして消耗したのは惜しい。
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