映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「ウォーデン 消えた死刑囚」

2019 イラン 90分 原題《The Warden=刑務所長》監督 ニマ・ジャウィディ 出演 ナヴィド・モハマドザデ パリナーズ・イーザドヤール DVD鑑賞
1966年パーレビ王制下、イラン南部の刑務所が舞台。ここは空港建設予定地のため、囚人をバスで移送しようとしている。その最中に囚人がひとり足りないことが判明。所長は必死に探すのだが・・・・・。
雨のなか絞首台を取外すファーストシーンは色も暗くて、この先ひどい映画になりそうだが、そのうち職員や囚人がひとりひとり意外な言動をする。建具師の囚人は金を積まれても処刑台は作らないと宣言。警備犬が小さいカエルを嗅ぎだし、それが逃亡中の死刑囚のペットなのが微笑ましい。
スカートをはき、口紅を塗った社会福祉士が登場する。(革命以前のイランは女性が社会の表面で活躍していた。)所長は彼女の去り際に、構内放送で恋の歌を流したりする。また上司に昇進を告げられ、その場では無表情で、一人になると狂喜乱舞する。この辺チャップリンの「独裁者」を思い出した。
西欧諸国ではありえないことだが、法律を経ず、人情とか常識で物事が進むのがいかにもイランらしい。終幕は空も明るく、一言で性善説の映画とでも言える。死刑の数の多さで死刑大国と言われるイラン。死刑制度廃止への一石を投じた作品ではなかろうか。
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