映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「お熱いのがお好き」




1959 米 120分 監督ビリー・ワイルダー 原題 Some like it hot
出演 トニー・カーティス ジャック・レモン マリリン・モンロー
午前十時の映画祭(第9週)松江SATY東宝
物語:1929年、禁酒法時代。ギャングに追われる2人の楽師が、女性の楽団に紛れ込んで逃げようと、女装することから起きるドタバタ劇。
印象に残るのは、白塗りのジャック・レモンのあごの大きさと、マリリン・モンローの素直な愛らしさ。(ふだんMMは人工的で好きでないのだが、この映画では男たちのはるかに極端な人工美人ぶりに挟まれて自然に見える)女装の男のおぞましさと、生れたままの女性の好もしさは1959年の米国の常識である。(今もそうか)集団の常識を肯定し、それから逸脱したものを笑うのが喜劇であるならば、これは正に喜劇だろう。アカデミー賞候補、ゴールデングローブ賞や英国アカデミー賞を受けたのも、2000年に全米喜劇トップ100の1位になったのもおかしくない。
私の感覚では、女性集団に紛れ込んだ男が子どものように喜ぶのが少しも面白くない。ただ、人々が禁酒法の裏をかいくぐる様子は面白かった。葬儀場がキャバレーになると云う、いわば冒涜である。
ビリー・ワイルダーは「翼よ、あれがパリの灯だ」「第十七捕虜収容所」「失われた週末」「七年目の浮気」「アパートの鍵貸します」などの監督だ。ユダヤ人の彼は、ナチスの陰謀であるドイツ国会議事堂放火事件(1933年2月27日)の火がまだ消えないうちにドイツを脱出、パリを経て米国に亡命する。危機を嗅ぎつける能力の高い人だったようだ。しかし母親はアウシュビッツでなくなったらしい。
またモンローのわがまま?がどれほど周りに迷惑をかけたかも初めて知った。その結果が彼女の一人勝ちのような愛らしさ。監督は「彼女は2度と使わない」と言ったが「七年目の浮気」でも使って再び「2度と使わない」と言った、それほどに喜劇の才能があったようだ。
女性と男性がそう違うものではないという今日の意識に、この映画は逆らっている。しかし、ラストの「好きになれば性別はささいなこと」を意味するセリフは未来の明るさも示唆している。
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