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「野村の実践『論語』」

2010 小学館発行 野村克也著

「県立図書館は島根スサノオマジックを応援しています。」とあって、選手から中高校生に推薦する本が1Fロビーに並べてあった。中高校生でない私だが、仲摩匠平君ご推薦の本を拝借して読んでみた。スサノオマジックというのは快進撃中の当地のプロバスケットチームのことである。

著者野村克也氏はご存知のようにプロ野球・楽天の元監督。

よく「論語読みの論語知らず」と言うが、この著者はその逆で「論語を読まないうちにその教えを実践していた」ようだ。かれがこれまであちこちで語ってきたことが、一々論語と結びつけてある、中にはちょっと強引かと首をひねる章もあったけれど。

日ごろから儒教よりは道教に魅力を感じている私でも、野村氏の言葉を通じると「論語」に親しみを覚えるから面白い。野球の世界で成功を勝ち得た方針に通じるということは、儒教は、やはり抽象的でなく、仕事や生活に役立つ実際的な教えということか。(まさにそれゆえに道教より深みにかけると私が感じるゆえんかも)

「論語」は別としても、野村氏が苛烈な貧乏の中で育ち、努力によって野球人生を切り開いたこと、数々のエピソード(江夏豊とのそれは感動的だ)阪神への批判など、自伝としても読み応えがある。阪神時代によい関係だった新庄剛志についても読みたかったが、言及なし。もっとも彼はおよそ儒教とは遠い人物だが。

余談だが日ごろからこの著者には好感を抱いている。捕手で受容的であること、姉さん女房であることばかりでなく、昨年のNHKTV「ようこそ先輩」で小学生に野球を教えていたが、相手を見て工夫しながら教えており、頭の柔軟な人だと思った。
ヒマワリが長島茂雄なら自分は月見草だといい、少数派の生き方をしたこと。
あの強烈な個性を持つ沙知代夫人と添い遂げているだけでも人物というべきであろう。
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