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原田康子「満月」

新潮文庫1988年 (初出1984年朝日新聞社)
1992年古書店にて300円で購入(定価640円)

著者はこの10月20日、81歳で亡くなった。新聞で見る細長い顔の輪郭にデビュー当時の面影が浮んだ。渡辺淳一氏は「飄々たる日本のサガン」と言う見出しで27日の毎日新聞に思い出を語っている。彼女の小説が1冊だけ手元にあったので、読んで見た。

300年をタイムスリップして札幌に現われた27歳の侍、杉坂小弥太重則。
高校の生物教師である25歳の女主人公、まり。
彼女の祖母で、明治生まれのたしなみのある76歳。

この3人が、それぞれ自分の時代の言葉で話をしている。最近の時代劇のように、侍が妙な現代語を話すのではなく。原田康子の歴史・文学の造詣の深さゆえか。それにしても彼女は一生、処女作「挽歌」のアプレゲール少女を手放さないなあと、見事に敬語ぬきのまりの話し方に思う。

1991年の映画「満月」は大森一樹監督、原田知世・時任三郎主演。
原田知世の「時をかける少女」と共通の雰囲気もある。


→【旅】「釧路」07-3-26
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