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【映画】雨月物語

上田秋成著 「蛇性の婬」「浅茅が宿」  
@テルサ名画劇場  監督 溝口健二 
1953年 出演 京マチ子 森雅之 田中絹代 

ヴェネチア映画祭銀獅子賞

3本の中では男性に好まれそう。幻想的な雰囲気は八雲「耳なし芳一」に通じる。
戦乱の時代、琵琶湖の畔に住む2兄弟。1人は武士になりたい、
もう1人は大金をもうけたいという野心を抱く。長浜で瀬戸物を売り、
まずはうまく事が運ぶが、留守の間に嫁が娼婦になったり、
妻子が殺されていたりしている。
それを夫たちが発見する過程がドラマティックである。

戦争は災いの源であり、それも男が悪いせいだと言う主張が明解だ。
いささか過剰に分りやすい中で気を吐くのが京マチ子の妖艶さ。
「赤線地帯」でもそうだったが、女の強さと美しさを放散している。
女房の田中絹代が、女の優しさと哀れさを象徴しているらしいが、
あまり魅力を感じないのは私が女だからだろうか。
この2人の女性にからむ森雅之だが、閨のシーンで横顔が美しい。
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朝鮮戦争、再軍備 (bakeneko)
2019-07-25 23:00:24
時代的背景は、朝鮮戦争.
日本は、保安隊、警察予備隊、自衛隊と再軍備を行おうとしていた.
そして、朝鮮戦争で大儲けした日本は、経済的に戦後復興を果した.

百姓の男
百姓の男は、武士=軍人になって出世を夢見た.
彼は仲間の金を持ち逃げして武具を揃えて、望み通り武士になった.そして、自決した大将の首を持ち帰る家来を刺し殺して、大将首を手に入れて出世したのだった.が、その頃、彼の妻は娼婦に身を墜していた.
この男、なぜ出世を望んだかと言えば、妻に自慢したかったに過ぎなかった.愚かさに気がついた彼は、妻と手を取り合って故郷に帰っていった.

陶芸師
陶芸師は戦争に乗じて金儲けを企んだ.そして見事に大金を手に入れたのだが.....
彼は、戦争によって滅んだ武家の娘の亡霊に取り付かれてしまった.人から言われても自分の愚かさに気付くことが出来ず、取り殺される寸前になってやっと逃げ出したのだった.けれども家に戻ってみると、お弁当を奪うだけ、それだけの事で、妻は落ち武者に殺されてしまっていた.

現在の日本は、見かけだけにしても平和なので、この映画を反戦映画と捕らえることはないかもしれません.
けれども溝口健二が描こうとしたものは、極めて単純であり明解なのです.
 
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