映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「少年」
1969 日本 監督 大島渚 出演 安部哲夫 小山明子 渡辺文雄 木下剛志
鑑賞 しまね映画祭 10月27日 テルサ名画劇場にて
戦争で体が不自由となった男(渡辺文雄)は子供を使った当り屋で暮らそうとする。実際に起きた話に基づいている。四国から日本海側(松江も出てくる)を経て北海道まで4人家族が移動するロードムービー。男の子が犠牲になりながらも親に愛着を持っている姿はまさに虐待を受ける子供たちの典型。当り屋とは車にわざとぶつかってけがをしたと主張し、金を脅し取る詐欺・恐喝で、先を急いでいたり、警察沙汰にしたくないという、弱みを持つ相手(これが大部分なのだが)に付け入るのである。
大島渚の作品は20代から十数本見ているが、この作品は初めて。少年を主役にした「愛と青春の町」「ユンボギの日記」の系統ではないだろうか。あの戦争の意味を追及するという点で若松孝二監督を思わせる。
彼の映画は思想的な訴えが前面に出て、美しさやたのしさというものはあまり期待できぬ。
日の丸の旗が最初から最後まで、とにかく目につく。
冒頭の出演者の名前も、日の丸の周りに、出征兵士への寄書き風に書いてある。真中のマルの色が赤でなく黒であり、名前が、赤い字になっているのは批判精神のあらわれだろうか。
(12月15日追加)wikipediaによると、少年を演じる安部哲夫は施設に収容されていた孤児で、映画公開後養子の申し出もあったが断って施設にもどり、映画と縁を切った。弟(チビ)の木下剛志は幼いながら非常に存在感があると思ったが、1970年山田洋次の「家族」に出ている。
若松孝二の作品→「キャタピラー」2011-3-13
木下剛志→「家族」 14-3-20
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 晩秋から初冬 | 演劇「さんし... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |