goo

映画「人間魚雷出撃す」


1956 日活 86分 レンタルDVDで鑑賞 監督 古沢卓巳 
出演 石原裕次郎 長門裕之 津川雅彦 森雅之 葉山良二 芦川いづみ 左幸子

小学6年のとき学校から連れて行かれた(併映は「若の花物語 土俵の鬼」)。
当時、戦争への郷愁から先生たちがこんな映画を選んだのではと感じ、抵抗があった。
今見ると、戦争批判・人命重視の観点も盛り込んである。裕次郎と長門裕之の顔のみ記憶に残って、内容は解らなかったと思っていたが、実は大体を理解していたのが分った。

終戦直後、ワシントンの軍事法廷に参考人としてよばれた伊58潜水艦艦長(森雅之)の供述から、映画は始まる。森雅之は、軍隊経験があるのか、知性と教養ありげな風貌で、観客の信頼を呼び起こす。(当時はこの場面はあまり理解できず、したがって記憶に残っていない)通訳に岡田真澄が出ている。

原爆をテニアン島へ運んだあとの米艦インディアナ・ポリス号を撃沈したことで、艦長は呼び出されたらしい。
4人の若者が、特攻兵器「回天」で出撃するのだが、               

                 

このポスターでは葉山良二が中心でいかにも重要人物のようだが、かれは甘いマスクの二枚目らしく終始格好よく振舞い、第一回出撃で死んでしまい、映画の重心は出撃が遅れた2人に置かれる。19歳の長門裕之と慶応ボーイで予備学生の石原裕次郎だ。
長門裕之は母の写真を肌身離さぬ最年少の下士官で、早く手柄を立てたい(死にたい)とあせっている。病身の弟(津川雅彦)だけにそれを打ち明けて、両親には知らせていない。裕次郎は妹(芦川いづみ)の手製の人形を枕元に吊しているが、戦争の行方を懐疑する学徒らしさと、おなじみの「ちょっと不良な坊ちゃん」的な姿勢を見せている中尉だ。(この年、彼は「太陽の季節」「狂った果実」「乳母車」にも出演している。)

「軍艦マーチ」に送られて艦船が出ていくシーンはちょっと涙が出た。パチンコ屋だけでなく当時は運動会でも定番のBGMだった。また「同期の桜」を裕次郎らが歌うシーンが出てくる。しかし「貴様と俺とは…」まで歌ったところで敵艦が現れ、「見事散りましょ」は聞かれない。
ほかにも高品格、安部徹、西村晃、浜村純、内藤武敏、二本柳寛など中堅の俳優が連なっているが、1956年とはどういう年だったのだろうか?おそらくオリンピック開催への機運が高まり、日本も世界に向かって主張すべきは主張しようという気分が出て来たころではないだろうか。その点で現在に似ている。

→「プロフィール」6-11-7
→「Tokko(特攻)②」7-8-25
津川雅彦
  →「山椒大夫」9-10-31
  →「濹東綺譚」7-12-16
長門裕之
  →「22歳の別れ」7-9-3
石原裕次郎
  →「銀座の恋の物語」6-10-19
 →「小林旭」11-5-22
森雅之
  →「帰郷」7-10-28
  →「雨月物語」9-10-28
左幸子
  →「はだしのゲン」13-11-11
→「氾濫」 9-11-22
  →「真昼の暗黒」 7-2-12 
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 映画「小さい... 映画「女経」 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。