映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【映画】つぐない
2007年 英国 123分 鑑賞@島根県民会館
監督 ジョー・ライト 原題 Atonement
出演 キーラ・ナイトレイ ジェイムズ・マカヴォイ ヴァネッサ・レッドグレーヴ シアーシャ・ローナン
認知症で、もう後がない老作家(レッドグレーヴ)が、少女期に犯した
過ちを振り返り、生涯の最後に告白的自伝を書いている、
と言う設定だが、残念なことに、これが、三文小説。
しかし、この作家、13歳で書き始めた割には頭が単純・幼稚で、
とんでもない思い込み(あくまで思い込みであり、「嘘」とは違う!)から犯罪を告発し、
それを大人たちが検証もせずに信じる(こんなことも普通あるか?)のが発端だ。
少女は無邪気で、嘘をつくはずがないという前提は、今どきの痴漢冤罪事件や
映画「噂の二人」も思い出す。
ふたりの恋人たちも庭とか図書室とか、人目のあるところであんな振舞に及ぶのは
あまりにはしたなく、無防備だと思うがどうだろうか。
キーラ・ナイトレイは古風な薄幸の美女にピッタリ。
その妹(災難の張本人)はやせぎすの金髪で、小憎らしい。
「文学少女」って特に英米ではよくないイメージなのか、
この作品に限らず、いつも好感のもてないタイプに描かれているなぁ。
身分違いの恋、豪壮な邸宅など、英国映画の定番。
「贖罪」と言う日本語訳は大げさに感じるが、キリスト教の用語だろう。
その裏には英国人の性=罪という伝統的な感覚があるのでは。
作家は男性であることから大胆に推察すると、実は、少女ではなく少年の話では?
子どもがたまたま両親の性交現場を見て、父が母をいじめていると勘違いする
という話はよくある。そして、男子が母に恋心を抱き父の死を願うのが、
エディプスコンプレックスの定義で、その秘かな願いが戦争であれ
なんであれ叶った時、自分に罪があると思いこむこともあるのではないだろうか。
これは(読みもしないで何だが)作者の心の歴史であると仮定すると落ち着く。
なぜなら作家志望の少女がそこまで幼いとは到底信じられないから。
と言うわけで、折角美しい風景や美男美女やダンケルク戦まで描いたご苦労な映画だが、この原作の弱さから、映画自体の評価★2.5(満点を5として)
監督 ジョー・ライト 原題 Atonement
出演 キーラ・ナイトレイ ジェイムズ・マカヴォイ ヴァネッサ・レッドグレーヴ シアーシャ・ローナン
認知症で、もう後がない老作家(レッドグレーヴ)が、少女期に犯した
過ちを振り返り、生涯の最後に告白的自伝を書いている、
と言う設定だが、残念なことに、これが、三文小説。
しかし、この作家、13歳で書き始めた割には頭が単純・幼稚で、
とんでもない思い込み(あくまで思い込みであり、「嘘」とは違う!)から犯罪を告発し、
それを大人たちが検証もせずに信じる(こんなことも普通あるか?)のが発端だ。
少女は無邪気で、嘘をつくはずがないという前提は、今どきの痴漢冤罪事件や
映画「噂の二人」も思い出す。
ふたりの恋人たちも庭とか図書室とか、人目のあるところであんな振舞に及ぶのは
あまりにはしたなく、無防備だと思うがどうだろうか。
キーラ・ナイトレイは古風な薄幸の美女にピッタリ。
その妹(災難の張本人)はやせぎすの金髪で、小憎らしい。
「文学少女」って特に英米ではよくないイメージなのか、
この作品に限らず、いつも好感のもてないタイプに描かれているなぁ。
身分違いの恋、豪壮な邸宅など、英国映画の定番。
「贖罪」と言う日本語訳は大げさに感じるが、キリスト教の用語だろう。
その裏には英国人の性=罪という伝統的な感覚があるのでは。
作家は男性であることから大胆に推察すると、実は、少女ではなく少年の話では?
子どもがたまたま両親の性交現場を見て、父が母をいじめていると勘違いする
という話はよくある。そして、男子が母に恋心を抱き父の死を願うのが、
エディプスコンプレックスの定義で、その秘かな願いが戦争であれ
なんであれ叶った時、自分に罪があると思いこむこともあるのではないだろうか。
これは(読みもしないで何だが)作者の心の歴史であると仮定すると落ち着く。
なぜなら作家志望の少女がそこまで幼いとは到底信じられないから。
と言うわけで、折角美しい風景や美男美女やダンケルク戦まで描いたご苦労な映画だが、この原作の弱さから、映画自体の評価★2.5(満点を5として)
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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いたく同感でしたのでコメント
させていただきましょ、と思いましたら
受付てませんとのことで
図々しくもこちらへ。
こういう題名の成せるワザ(--)でしょうか
世の女性たちはいともコロっと売る側に
騙されてからに。
「泣きました」「感動しました」ですと。
そんな甘々記事が大半の中、Biancaさんの感想は
私にとってまさに逆転満塁ホームラン!!^^
著書名は失念しましたが原作者の前作の映画化
「Jの悲劇」は大変お気に入りの作品でしたが
本作は全くいけません。
キメの終盤に名女優V・レッドグレイヴを配して
おきながらあのお粗末な告白の台詞。
穴だらけの脚本、まずい編集。
稚拙なエピソード。
あれじゃ何も描けてないじゃないですか。
単なるムードだけの自己満足B級三文小説映画。
朝からブンブカ長文コメントで申し訳ありません。
(ペコリ)(--)^^ 2008-11-12 07:34:43
「移動速度」から移動させていただきました、またもやコメント拒否の手違いで、すみません。(管理人)
ああそうですか、「償い」というタイトルに皆コロリとだまされてしまったわけなのかぁ、恭順の姿勢を見せてるだけでぐっと来るのでしょうかね、道理で不祥事を起こした責任者達が揃ってお辞儀する図が年中マスメディアをにぎわす日本なのですね。
実は予約していた原作が手に入り今読み始めました。映画と違いかなりの力作で、冤罪にいたる子供の心理は細かく描かれていて納得です。しかし、この小説から映画を作ること自体が大冒険ですね。
映画を見た後原作を読んだのですが、原作の方がお気に入りです。
映画化はとても難しかったと想像できます。
キーラなどはかなり良かったと思うのですが、やはり脚本がイマイチだったのかしら。
私も映画のあとで原作の口です。読み終わってから、そちらの記事を拝見します。「三文小説」は、原作のことではないのです、誤解を招きそうな表現でした。