映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「キューブリックに魅せられた男」
017 米 94分 監督 トニー・ジェラ 原題 Filmworker
出演 レオン・ヴィターリ マシュー・モディン ライアン・オニール
鑑賞 11月5日午後1時30分 ヒューマントラストシネマ有楽町にて
【物語】「バリー・リンドン」に出演した俳優レオン・ヴィターリが、その作品作りに魅了され、キューブリック専属助手となり、映画製作のためのあらゆる雑事をこなし、身を粉にして働いた30年※を見つめるドキュメンタリー。(Movie Walkerによる※実は25年)
「魅せられた」とは情熱的な恋の状態が何十年も続くということかしら。映画労働者は監督という「頭」に従う「手足」のような存在か。主人公は元来好男子で俳優としても有望だったが、キューブリックに心酔のあまりスタッフになり、滅私奉公の生活を長年つづけた結果、灰色でボロボロになったみたい。2時間しかないので、寝過ごさない様にドアの前の廊下で丸くなって寝たこともあったと語っている。
一人の天才にエネルギーを吸い取られるような人生を送った、その動機、秘密は何か?映画の中でレオンの兄姉が父親のことを語るシーンにヒントがあるかもしれない。かなり高圧的な父親でしかも家庭はほったらかしだったらしい。レオンはその父の代用をキューブリックに求めていたのかもしれない。
この主人公は「愛された男」とはあまりにも対照的であり、私はキューブリックが天才だともその作品のどこがすごいということも分からぬまま親しく付き合った、イタリア移民のエミリオ・アレッサンドロのほうに共感するのである。(私自身キューブリック映画への共感・理解がかれと似たようなものだから)
キューブリック最後の作品「アイズ・ワイド・シャット」で「謎の赤マント」に扮したヴィターリに、俳優だったころの残り香があり、彼のために少しほっとする。
しかし、少し前まで日本の勤め人の働き方はこのヴィターリのようなものだったのではないだろうか。身近にもそういう例を見聞きする。だから、その滅私ぶりにそれほどショックは受けなかったけれど感動もしなかった。「働き方改革」を叫びだしている映画現場の若い人たちがいることを、館内のちらしから知った。
→「キューブリックに愛された男」19-11-26
→「数寄屋橋公園」19-11-5 (この映画を見た日の出来事)
→「マリリン 七日間の恋」12-11-25 (撮影現場で要求されることの多岐さ)
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横浜は夫の仕事の関係で一時期住んだことのある都市なんです。今は息子一家が住んでいまして時々遊びに行きます。
ヒューマントラストシネマ有楽町はお気に入り映画館の一つです。
キューブリックご覧になったのですね。
これ見ようかどうか迷っています。
先だってこの映画館で映画を見た時火災報知器の誤作動があって
一時映画が中断しました。初めての経験でちょっと焦りました。
私は「魅せられた」より「愛された」が、イタリアびいきなので好きでしたが、margotさんのお好みではどの程度の優先順位になるかな?推察するに万難を排してというほどでもないかも。DVDになってからでも・・・です。
この映画館HTC有楽町は初めて行ったとき見つからず、交番にかけこむとお巡りさん「なんという映画館ですか」「それが覚えてないんです。なんだか長~い名前でした」というと彼の出した一覧表の一番上にあったので「それですそれです」と私。「それなら、向こうの『集』の字のついたビルです。」20年ぶりの東京はまったくのお上りさんです。格好よく振舞うには当分時間がかかりそう。