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【映画】また逢う日まで

1950 日本 110分 モノクローム
監督 今井正 脚本 水木洋子 原作 ロマン・ロラン「ピエールとリュス」出演 岡田英次 久我美子 杉村春子 銀座シネパトス3にて(5月6日14:10)同時上映は、「夫婦」水木洋子脚本&成瀬巳喜男監督

この有名な青春・純愛・反戦映画については過去にあまりにも書かれすぎていて、いまさら私が書く気が起きないくらいだ。実は観てから時間が経ちすぎていて、書けないというのもある。それで、あまり語られない当時の学生群像について。水木洋子のシナリオは、西洋風の洒落た雰囲気を戦時下の東京に現出している。本当にこんなだった?と思うが、過去の記憶はえてして画一化されるもので、実際はそう誰も彼もがギリギリの生活にあえいでいたわけでもないだろう。当時を経験した今井正や水木洋子は確かにこういう人々・光景を見たに違いない。なかでも大学生・芥川比呂志の貴族趣味は印象的である。それは私の専門の甘味に関わるので。「ぜんざいは小豆でなければ!芋ではだめっ!」そういって、友人たちへの同行を断るのだ。自分が彼の立場にあったら、あそこまで厳格になれる自信がない。

空襲下の出会いは多分「哀愁」に由来して「君の名は」へと受け継がれたのだろう。またガラス越し接吻(せっぷんと読みキスの意味)のほうは、1946年「はたちの青春」で邦画のキスシーンを見たばかりという観衆にとって、初からあまりに直接的なキスでは、この知的な抑制の効いたふたりに相応しくないと感じられただろう。念のために、このガラスは電車のではなく、人目のない郊外の家のである。これがいまだに人気があることを思えば、公共交通では要注意ですぞ、アベック(一対の男女、カップルの意)の皆さん。
シネパトスについて。
銀座の真中に、時代錯誤とも思える一画がある。薄暗い天井の低い地下、店店の間にシネパトスの3館があり、その一つは、最近名画座に衣替えしたようだ。地下壕とどこか似ているから、この映画を観るにはぴったりの環境だ。名画座の魅力を堪能したわれわれの世代、そしてシネコンしか知らない若い世代にも人気が出るかもしれない。ただし、前もって場所を確かめてから行くこと。私の場合、この12年、東京に来ていない間に記憶が変形したのか、歌舞伎座の向かい側にあるはずが見つからない。ムダ足を踏んだ挙句、方角が90度違っていたことに気づき、次の日出直した。

※2013年3月31日閉鎖、埋められて2020年公園に。(2021-12-15記)

岡田英次
  「善魔」14-3-9
久我美子 
「釧路」7-3-26
今井正  
  「宿毛」 7-3-31
  「真昼の暗黒」7-2-12

  「今井正 4作」16-10-29
水木洋子 
  「怪談」11-2-28

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (ヒッチ)
2010-08-14 06:36:20
TBどうもありがとうございました。
このガラス越しのキスシーンが有名ですが、戦時下の男女を描き方としては、少々異色でしたね。
こちらからもTBお返ししようと思いましたが、うまくいきませんでしたので、アドレス貼り付けておきます。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2010-09-05 01:02:01
ヒッチ様
コメント有り難うございます。お返事がこんなに遅れて申し訳ありません。(承認制にしてからまだ間がなく、こまめに見る癖がついてませんでした。いっそ承認制は中止しようかな・・・。)又お宅にも伺いなおしますね。
 
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