映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
浮世絵遊覧 歌川広重展
島根県立美術館 1月27日ー2月14日
水難事故のため霞んでしまったが、ちゃんと記事にしておこう。
はじめに、この画家を安藤広重と憶えていたので、名前が気になった。年譜によると、かれは江戸の下級武士・安藤家に生まれ、13歳で両親に死別、家督を継ぐが、絵心が勝り、15歳で歌川豊廣に入門し、27歳で家督を弟に譲り、絵師になったことがわかった。封建時代になかなか愉快な生き方である。
思い出すのは漱石の「三四郎」の一節だ。
「九段の燈明台を知っているだろう。あれは古いもので、江戸名所図絵に出ている」「先生冗談言っちゃいけません。なんぼ 九段の燈明台が古いたって、江戸名所図絵に出ちゃたいへんだ」広田先生は笑い出した。実は東京名所という錦絵の間違いだということがわかった。
この江戸名所図絵、東京名所のどちらも広重の描いたものではないか?単なる推測だが。広重の絵が人気があったのは、モチーフを前面に大きく描く大胆な構図にあるのではないか。一方薄墨で背景をぼかす画法も夜景などで、しっとりとした情緒をかもしている。全国各地の風景を描いているが、必ずしも現地に足を運ばずに描いたとのこと。
島根県立美術館所蔵の浮世絵は500点を誇るが、桑原羊次郎・新庄二郎のコレクションがもととなっている。後者の北斎富岳図は大阪万博に展示されたほどの優品とのことだ。
初代・歌川広重(1797-1858)
~~~~~~~~~~~~~~~~
同じ日、島根県高等学校写真展(8日まで)を見た。点数の多さと水準の高さに驚き、いかにも山陰らしい風景に親しみを覚えたが、特筆すべきは「孤独」「不安」「寂しさ」などという語がタイトルで目立っていたこと。もう自分は忘れているけれど、10代後半の特徴なんだろうか。
2014年3月13日付記
今年の高校写真展を見たら、4年前とはがらりと変わっていた。どうも希望や連帯、明るさ志向に変わっているみたいだ。(11年3月11日以来かも知れない)ただ一つ「つらい」というタイトルの女子の泣き顔が目についたのみ。
水難事故のため霞んでしまったが、ちゃんと記事にしておこう。
はじめに、この画家を安藤広重と憶えていたので、名前が気になった。年譜によると、かれは江戸の下級武士・安藤家に生まれ、13歳で両親に死別、家督を継ぐが、絵心が勝り、15歳で歌川豊廣に入門し、27歳で家督を弟に譲り、絵師になったことがわかった。封建時代になかなか愉快な生き方である。
思い出すのは漱石の「三四郎」の一節だ。
「九段の燈明台を知っているだろう。あれは古いもので、江戸名所図絵に出ている」「先生冗談言っちゃいけません。なんぼ 九段の燈明台が古いたって、江戸名所図絵に出ちゃたいへんだ」広田先生は笑い出した。実は東京名所という錦絵の間違いだということがわかった。
この江戸名所図絵、東京名所のどちらも広重の描いたものではないか?単なる推測だが。広重の絵が人気があったのは、モチーフを前面に大きく描く大胆な構図にあるのではないか。一方薄墨で背景をぼかす画法も夜景などで、しっとりとした情緒をかもしている。全国各地の風景を描いているが、必ずしも現地に足を運ばずに描いたとのこと。
島根県立美術館所蔵の浮世絵は500点を誇るが、桑原羊次郎・新庄二郎のコレクションがもととなっている。後者の北斎富岳図は大阪万博に展示されたほどの優品とのことだ。
初代・歌川広重(1797-1858)
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同じ日、島根県高等学校写真展(8日まで)を見た。点数の多さと水準の高さに驚き、いかにも山陰らしい風景に親しみを覚えたが、特筆すべきは「孤独」「不安」「寂しさ」などという語がタイトルで目立っていたこと。もう自分は忘れているけれど、10代後半の特徴なんだろうか。
2014年3月13日付記
今年の高校写真展を見たら、4年前とはがらりと変わっていた。どうも希望や連帯、明るさ志向に変わっているみたいだ。(11年3月11日以来かも知れない)ただ一つ「つらい」というタイトルの女子の泣き顔が目についたのみ。
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )
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いつもながら Bianca さんの旺盛な好奇心と感受性に学ばせていただいています。
このところコメントが少なく、気になさってはいけないとの老婆心(の反対語?)から、「静かではございますが足繁く(?)訪ねている者もございますよ」とメッセージを差し上げました。
絵画の鑑賞はとても出来ませんが、河鍋暁斎に詳しい友の影響でしょうか、毛嫌いしていた絵画に少しだけ抵抗感が薄くなってまいりました。
「春ごもり」など Bianca さまには似合いません。
Bianca さまも若き日々は絵画を敬遠されたのでしたか。想像も付かないことです。
河鍋暁斎はお化けを描いたり鳥獣戯画のようなものを画いたりしてます。外国では北斎などより遙かに評価されている由でございます。私は素朴な美しい絵画、音楽、彫刻には惹かれますが、醜悪さを抉り出したようなものには嫌悪を覚えるだけでした。
しかし、絵画も詩と同じく魂の叫び声でもあると言う視点に立ちますと嫌悪感と言うのは申し訳ないかなと思うようになったのございます。
それでも未だに幼い魂で、現実に眼を閉ざし、美しいもののみ見聞きして居たいのでございます。
わかりかたの程度にもよるのでしょうが、環境によっても眼が拓かれるのでしょうね。
知己に茶道の家元がいました。そこに泊めていただきますと日常のこととして素敵な(と次第に感じるようになった)器などを用いていました。宝物とされている道具に常日頃触れていますと、次第に染まってしまうようですね。○○の作などと美術史的な知識とは無関係に美術品鑑定眼の様なものが次第に出来てしまうように思いました。