goo

【映画】ココ・アヴァン・シャネル

2009年 仏 監督 アンヌ・フォンテーヌ 出演 オドレイ・トトゥ エマニュエル・ドゥボス レンタルDVD 原題 COCO AVANT CHANEL(「シャネル以前のココ」)

20世紀はじめに女性のファッションに革命を起こしたココ・シャネル(1883-1971)の青春時代。シャネルと聞いて、香水、宝石などの華やかな世界を期待すると失望するかもしれない。彼女の男性遍歴は、愛や恋というより、身過ぎ世過ぎのためで、ビジネスに近い。たまに純粋な恋が芽生えても(ここはまるで韓流ドラマだが)相手の交通事故死で、はかなくも終る。

地方の出身で、母親がなく、姉と孤児院に預けられたこと。彼女が当時流行のファッションを知らなかったのは、そういう生い立ちのせいで、それゆえにこそ伝統に捕らわれない感覚で、安価で楽な動きやすい服装を提供することが出来たといえる。装飾過剰の女性の不自由な服装に反撥し、労働着や水夫の服にヒントを得て、デニムやジャージ、横縞のシャツ、パジャマを採用し、白と黒を女性を最も美しく見せる色としたことなどは、若い頃の私の感覚に共通し、(→「尼僧物語」06年12月)知らないうちに彼女の影響を受けていたんだなあと思う。

生い立ちの悲惨さと対照的な名声を勝ち得た点で、エディット・ピアフと重なるが、ピアフと違うのは、愛や酒に溺れず、仕事で道を切り開いたことである。彼女の自信は何に根ざしていたのか。それは去っていった父に愛されたという思い出(作り話にしても)が植えつけたのかも知れない。

オドレイ・トトゥの鋭く射抜くような目は、まさにココ・シャネルそのもので、はまり役である。「シベールの日曜日」「ジェーン・エア」「制服の処女」を思い出させる孤児院のシーンは私好みだった。そして最後のファッション・ショーは実にエレガントだし、ドーヴィルの海岸や競馬場のシーンも華やかで楽しめる。
DVDの付録を見るとオドレイ・トトゥもスタッフ一同もシャネルの革命性と女性解放の理想をしっかり把握して、製作にあたっているようだ。

(7月3日追記)
「斉藤孝の天才伝6 シャネル 孤独力」2006年 大和書房刊
では、ダヴィンチ、サン・テクジュぺリ、ユング、漱石、空海と並ぶ天才としている。

(12年10月16日記)
→「シャネル&ストラヴィンスキー」10-10-13
→「ココ・シャネル」12-3-20
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 【映画】モデ... 清水義範「わ... »
 
コメント
 
 
 
こんにちは! (アイマック)
2010-07-04 23:20:32
シャネルの信念の強さに驚きました。
革新的な女性でしたね。
歴史に名を残す人はちがう!と思いました。
最後のファッション・ショーは素敵でしたねー。
 
 
 
星の数 (Bianca)
2010-07-06 19:11:19
「小部屋日記」のアイマック様、初めまして!コメントとTB有難うございます。この映画、世間一般に評判が良くないようで、特に男性には徹底的に悪いみたいですが、このよさが分る人と男女を問わず付き合いたいですね。ところで、星の数が5の内3.5と、アイマック様と同じですね。嬉しくなりました。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。