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お年玉

12月31日午前中に、宅配便が届いた。重く嵩張ったダンボール箱で、お歳暮にしては時期が変だと思って差出人を見たら、従弟の「」君だ。

そういえば、「」君の父親つまり私の母方の伯父が満94歳で亡くなったのが、4年前の大晦日の深夜、少し元日に入った頃だ。半日前、自分で強く希望して退院・帰宅したばかり。最後まで意識はハッキリしており、家族(伯母と「」君)を一人ずつ呼んで話しをして、甥や九州の弟にも電話で別れを告げ、やがて苦しみもせず、静かに逝ったそうだ。

一人っ子の「」君は、三周忌を過ぎてから、ようやく遺品の処分をする気になり、ちょうど、散骨のように、「散本」をしたいと、9月初めにメールで蔵書目録を送ってきた。何度かのやり取りの末、書架の空具合も確認のうえ、決めた。それから1ヶ月あまりして、伯父の命日の前日に着いたわけだ。

ダンボールの中身は、橙色の表紙の漱石全集20巻(昭和3年発行)。

一日早いお年玉、伯父の生き方と趣味が、その、秘かな意志が、ここに運んできた20冊は、なかなか素敵なお年玉だと思った。

※この伯父については【本】なぞ物語→My Blog(07/3/18)で触れたことがある。
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コメント
 
 
 
Unknown (稲みのる)
2008-02-03 17:47:16
素晴しいお年玉でしたね。興味津々です。寺田寅彦が昭和3年版の漱石全集月報に、是非俳句を味わいなさいと書いているそうです。漱石を知る上で俳句は欠かせない由。
漱石は膨大な量の俳句を作っております。みのる君は、多すぎて読むのは面倒臭いと言う理由で滅多に目を通していませんが、気分転換には宜しいかと思います。
蛇足ながら、ブログのデザインを一新されましたが、文字が小さくて少々難儀しております。これも年の所為かしらん。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2008-02-04 10:51:14
稲みのるさま
字が小さくて読みにくいですか?小さくしたつもりはないのですが、前のがやや大きめだったから、そう感じられるのでしょうか?それとも、目が疲れてお出でなのかも知れませんね。視覚は全身の健康とも関係があるよし。
さて、漱石全集ですが、意外と保存状態がよく、一巻目から夜な夜な取り出しては読んでおります。当時の出版物は字が大きく肉厚で、ルビもついており、読みやすいですね。その点今の文庫本とは、全然比較になりません。残念ながら、月報は残っておりませんが、若いころ子規と親交のあった彼は、きっと俳句の才もあったのでしょう。全集の15巻に詩歌がはいっているようですので、折々読んでみようと思います。
 
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