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【映画】火刑台上のジャンヌ・ダルク

1954年 伊・仏 67分 監督 ロベルト・ロッセリーニ 台本 ポール・クローデル 作曲アルテュール・オネゲル 出演 イングリッド・バーグマン トゥリオ・カルミナーティ DVDで鑑賞 原題 Jeanne au bûcher

私はバーグマンが2回も映画でジャンヌ役をしていたのを知らなかった。ヴィクター・フレミング監督の「ジャンヌ・ダーク」(1948年米)では鎧を着て馬に乗っている。ところが本作では裾の長いドレス姿で、死後、修道士に、処刑に至った事情を解説され、処刑のシーンに戻って短い悶え苦しみの後昇天するという、かなり地味な、カトリックの宗旨から見ると愛すべき?ヒロインである。私に言わすとジャンヌは男装したことで死刑になったようなものだから、ドレスを着ていたんじゃ意味がないと思う。

オネゲル作曲の劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」(1930年作)を映像化したもの。もともとが舞台用なので、映画化してもそう冒険は出来ないし、今見てロッセリーニ独特の面白味は感じなかった。当時は新しかったのかも知れないが・・・。

「劇的オラトリオ」とは演劇と宗教的なオペラの中間のようなもの?で、最近91年にも小澤征治指揮で演奏されている。主役をジャンヌ・モローが演じたこともあるそうだ。

バーグマンはスエーデン女性で体格がいいので、そういう点では似合っているが、何故、彼女はこの役に執着したのか。1948年作の映画に不満で、ロッセリーニの「無防備都市」を見てこの人ならと思い、夫や子供を捨ててこれも既婚の彼に走ったため、非難を浴びた。そしてついに念願かないヨーロッパ各地でこの戯曲を演じ、パリでの公演を映像化したのがこの作品だとか。しかしロッセリーニと組んだ作品はどれも当たらず、経済的にも苦しくなり、離婚に至る。情熱の趣くままに突き進んだ彼女の皮肉な運命だ。

私とジャンヌ・ダルクとの関係を書くと、まずカバヤ文庫の「オルレアンの少女」を読み、「リボンの騎士」にも通じる魅力を感じた。次に戯曲「聖ジョウン」(1923)は作者バーナード・ショーが無神論の愛蘭人なので独自の切り口であり、私はクローデル作より好きだ。他に映画で見たのはカール・ドライエルの「裁かるるジャンヌ」(1928)とかジャック・リヴェットのジャンヌ2部作(1994)。リュック・ベッソンのは見ていない。

「ジャンヌ・ダルク」
 →13-12-1
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コメント
 
 
 
Unknown (claudiacardinale)
2008-12-10 17:48:04
こんにちわ。「裁かれるジャンヌ」はクラシックですよね、これ大学の授業でみました(かならず見せられる映画の1本です)ロッセリーニは大好きな監督の一人ですが、この作品は知りませんでした。バーグマン嫌いな私なので故意的に避けてたかもしれません(笑)バーグマンはどうも、おっしゃる通り体格がいいので百姓女にしか見えない・・・(というと農業を営む女性にしかられそうですが)。なんでロッセリーニはアンニャ・マニヤー二を捨ててまでバーグマンに行ったのか????アンニャ・マニヤー二の方が格段上なのに・・・ アッすみません、ついついゴシップ系になってしまいました!
 
 
 
claudiacardinaleさん (Bianca)
2008-12-11 08:09:52
バーグマンは、美貌も演技力もさして無いのに人気が高い点で吉永小百合に似ていますが、年をとってからも映画に出続けた点もそうですね。彼女は、莫大な費用をかけた「ジャンヌ・ダーク」が不出来だったのを、フレミング監督のせいだと誤解し、自分の非力に思い至らなかったようです。ロッセリーニも、この大スターに熱烈なラヴレターを寄せられ、さらに夫と子供を捨てて、別大陸から押しかけられたのでは、一男性としても、単に義侠心からも、否とはいえなかったのでは。マニャー仁が妻だったとは知りませんでした。結局10年足らずで破局に至るのは当然。晩年「秋のソナタ」では彼女の「業」が良く出ておりました。しかし「誰が為に鐘が鳴る」の彼女は好きです。
 
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