マリの朗読と作詞作曲

古典や小説などの朗読と自作曲を紹介するブログです。
写真やイラストはフリー素材を拝借しています。

第五夜(夏目漱石)朗読MARI

2022年09月11日 | 小説の朗読

第五夜 夏目漱石

「夢十夜」より

 

第五夜(夏目漱石)朗読MARI

 

↓ 夏目漱石の他の作品はこちら

草枕


「悟浄歎異(中島敦)」より

2022年06月20日 | 小説の朗読

 

悟浄歎異(中島敦)」より終結部 

 

三蔵法師について天竺を目指す

沙悟浄の手記

 

冒頭の「孫行者(そんぎょうじゃ)」とは

孫悟空のこと。

沙悟浄は三蔵法師のことを

「師父(しふ)」と尊敬する。

 

 

 

俺(沙悟浄)が思うに

孫悟空は行動的大天才であり、

猪八戒は享楽的リアリストである。

それに引き換え俺は、

頭で考えるばかりで行動に移せない。

自分は常に調節者、忠告者、観測者に

過ぎないのか。

悟空からまだ何も学べていない。

   

「悟浄歎異(中島敦)」より

 

夜、星を見上げて野宿しながら、

悟浄は悟空、八戒、師父三蔵法師について

あれこれと思いを巡らす。

特に三蔵法師についての深く美しい洞察が、

胸をほのかに温かくする。

 

 

 

中島敦(1909年~1942年)は

東京生まれの小説家。

漢学の家系に生まれ、

東京帝国大学国文科卒業。

持病の喘息により、

才能を惜しまれながらも死去。

代表作は「山月記」「弟子」「光と風と夢」など。

 


蠅(横光利一)

2022年06月16日 | 小説の朗読

 

動画を公開していなかったので

公開して再投稿します

 

 

蠅    横光利一

 

宿場の饅頭屋のそばにとまっている

一台の乗り合いトテ馬車。

乗客が次々と集まっているのに、

なぜかなかなか出ようとしない。

 

ずいぶんと経ってから

やっと動き出したその馬車には、

猫背の馭者と六人の乗客、

そして一匹の眼の大きな蠅が乗っていた。

 

 

夏の炎天下、

様々な人生を背負った人々を乗せ

馬車は畑や森を次々と抜けていく。 

かの眼の大きな蠅は

車体の屋根の上にその身を休ませ、

馬車と共に揺れて行く。

そして馬車の行く手には

運命の道が待っていた・・・

 

 

           

 

 

高校の国語の教科書で

初めてこの小説に出会い、

深く印象に残った。

同じ作者の他の作品も読んでみたが、

残念ながら

あまりピンとこなかった記憶がある。

 

蠅(横光利一)

 

 

横光利一(1898年~1947年)

福島出身の小説家。  

菊池寛に師事。 

川端康成、片岡鉄平らと

「文藝時代」を創刊し

新感覚派の中心として活躍。

 

 


形(菊池寛)

2022年03月04日 | 小説の朗読

 

形 (菊池寛)

 

侍大将の中村新兵衛は、

武勇で知られた士であった。

 

長さが三間もある大槍を持ち、

猩々緋(しょうじょうひ)服折(はおり)

唐冠(とうかん)の兜とを身に着け、

戦場では『槍中村』として

向かうところ敵なしであった。

 

そんな新兵衛はある日、

初陣に臨む主君の子に頼まれて

服折と兜とを貸す。

そして新兵衛は、いつもと違う装束で

敵陣に突っ込んでいくのだが・・・

 

 

 

形(菊池寛)

 

猩々緋 = 鮮やかな深紅色

服折  = 鎧の上に着る陣羽織

唐冠  = 唐の冠を模した兜

(おどし)の裏をかいて

    = 鎧の胴の裏まで突き通って

 

 

菊池寛(1888年~1948年)は、

香川県松山市生まれの

小説家、劇作家、出版社の経営者。

文芸家協会を設立し、

芥川賞、直木賞の設立者でもある。

著作は「父帰る」「恩讐の彼方に」「真珠夫人」

など多数。