マリの朗読と作詞作曲

古典や小説などの朗読と自作曲を紹介するブログです。
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歌舞伎のセリフ,三人吉三

2022年01月09日 | 歌舞伎のセリフの口演

動画が公開されていなかったので

再投稿します。

 

「こいつぁ春から 縁起がいいわえ」

で有名な、歌舞伎のセリフ

https://youtu.be/yi86_CubleQ

 

お嬢𠮷三のセリフ

月もおぼろに白魚の 篝もかすむ春の空

冷てえ風もほろ酔いに 心持よくうかうかと

浮かれガラスのただ一羽 ねぐらへ帰る川端で

竿のしずくか濡れ手で粟 

思いがけなく手にいる百両

本に今夜は節分か

西の海より川の中 落ちた夜鷹は厄落とし

豆だくさんに一文の 銭と違って金包み

こいつぁ春から 縁起がいいわえ

 

 

河竹黙阿弥が書いた歌舞伎の脚本

「三人吉三廓初買」

(さんにんきちさ くるわのはつかい)の

大川端庚申塚の場での

お嬢吉三のセリフ。

 

 

吉三という同じ名前を持つ

三人の白浪(盗賊)が繰り広げる

名刀・庚申丸と百両をめぐる因果の物語。

三人吉三とは すなわち

お嬢吉三、お坊吉三、和尚吉三。

 

 

「こいつぁ春から縁起がいいわぇ」

というセリフは、実は

「女を川に蹴落として百両を手に入れた、

こいつぁ目出度え」と

悪党がほくそ笑む場面なのである。

が、あまり深く考えず、

セリフの語調の良さや華やかさを

楽しめばよいかと

.

ほかの歌舞伎のセリフの 動画は 

→ 切られの与三のセリフ

→ 日本駄衛門(白浪男)のセリフ

→ 弁天小僧菊之助のセリフ

 


弁天娘女男白浪

2021年11月25日 | 歌舞伎のセリフの口演

 

河竹黙阿弥作の歌舞伎

「弁天娘女男白浪(べんてんむすめ めおのしらなみ)

浜松屋見世先の場。

 

 

白浪五人男 の中でも、

弁天小僧菊之助が主役の場面は人気が高く、

「弁天娘女男白浪」という題名で、

独立した芝居として上演される。

 

 

呉服屋の浜松屋の店先にやって来た

振り袖姿の美しい娘と供侍。

二人は店に難癖をつけて

金をゆすり取ろうとするが、

別の侍の一言で、事は露見する。

美しい娘は実は男で、

盗人の弁天小僧菊之助だった。

 

正体がばれると、

振袖を脱いでどっかり胡坐、

キセル片手に緋襦袢を片肌脱ぎ、

刺青見せてのタンカが

そりゃもう痛快。

娘と供侍は白浪五人男のうちの二人であり、

別の侍に化けた日本駄右衛門と三人で、

さらなる大仕事のために

仕組んだ芝居だった。

 

弁天娘

 

弁天小僧菊之助のセリフ

知らざあ言って聞かせやしょう

浜の真砂と五右衛門が

歌に残せし盗っ人の

種は尽きねえ七里ヶ浜

その白浪の夜働き

・・・(中略)・・・

名さえ由縁の

弁天小僧菊之助たァ

おれがことだ

 

 


お富と与三郎(源氏店の場)

2021年11月13日 | 歌舞伎のセリフの口演

 

歌舞伎「与話情浮名横櫛

(よわなさけ うきなのよこぐし)」の

源氏店(げんじだな)の場。

春日八郎の大ヒット曲「お富さん」は、

この話を歌にしたもの。

わたしはまだ幼かったが、この曲を

ラジオで聞いた覚えがかすかにある。

 

 

まずは曲の歌詞から。

♪お富さん   作詞 山崎正

粋な黒塀 見越しの松に

仇な姿の 洗い髪

死んだはずだよ お富さん

生きていたとは お釈迦様でも

知らぬ仏の お富さん

エッサオー 源治店(げんやだな)

 

過ぎた昔を 恨むじゃないが

風もしみるよ 傷の痕

久しぶりだな お富さん

今じゃ異名(よびな)も 切られの与三よ

これで一分(いちぶ)じゃ お富さん

エッサオー すまされめえ 

(以下略)

 

 

 

そして、舞台「源氏店の場

かつては大店の若旦那で

今ではヤクザ者の「切られの与三」。

仲間の安(やす)に連れられて

ある家に、金をせびりに上がり込む。

そこのご新造と安とのやり取りを

聞くうちに、

ご新造こそは

因縁のある昔の女、お富だと気づく。

   

それまで端で横を向いていた与三だが、

正面にずずずいと出てきて

頬かむりの手拭をハラリととると、

その頬には、大きなバッテンの傷跡が。

そして、このセリフとなる。   

 

お富与三郎(源氏店)

「イヤさ お富 久し振りだなあ。

 

しがねえ恋の情けが仇

命の綱の切れたのを

どうとりとめてか木更津から

めぐる月日も三年越し後略)

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白浪五人男・日本駄右衛門

2021年11月11日 | 歌舞伎のセリフの口演

 

 

河竹黙阿弥(1816~1893)作の

歌舞伎世話物、「青砥稿花紅彩画

(あおとぞうし はなのにしきえ)」の

稲瀬川勢揃いの場。

白浪五人男の親玉、日本駄右衛門のセリフ。

 

白浪五人男

 

「問われて名乗るも おこがましいが

生まれは遠州浜松在

14の時に親に別れ 身の生業も白浪の

沖を越えたる夜働き

盗みはすれど 非道はせず

    ~中略

60余州に隠れもねえ

賊徒の張本 日本駄右衛門」

 

 

桜満開の土手をバックに、

五人組の盗賊が横一列に並んで

順に名乗りを上げる場面で、

錦絵のように美しい。

 

 

白浪とは盗人のこと。

五人の白浪男は、

日本駄右衛門を頭に

弁天小僧菊之助、南郷力丸、

忠信利平、赤星十三。