落葉松(北原白秋)
皆さま、ご無沙汰しております。
この一か月半、
病気で入退院後に自宅療養となり、
ブログをお休みしていました。
未だ療養中です。
長いお休みにもかかわらず、
当ブログに来て下さる方々がいらして、
(最近知ったのですが)
とてもとてもうれしく心強かったです。
これからは体調と相談しながらの投稿なので
間隔は不定期になります。
朗読したい作品はまだまだたくさんあるので、
無理のない範囲で頑張ります。
ほかの方のブログを訪問することは
しばらくは難しいと思いますが、
どうかご了承くださいませ。
さて、ブログ復帰第一弾は
北原白秋の詩「落葉松」です。
浅間山麓の落葉松林の道を
人生の旅になぞらえたこの詩には、
「からまつ」という言葉が
たくさん出てきます。
「からまつ」という言葉を
口の中で軽く転がしてみると
この詩の魅力が浮かび上がります。
また句読点の使い方が実にデリケートで、
白秋は日本語の達人だとつくづく思います。
↑(youtube 再生に少し時間がかかるかも)
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鹿 三好達治作
夕暮れの峠道を、
鹿が狩の獲物となって
猟師に担がれてくる。
誰かと一緒にいて
不意に、
とても淋しくなるときが・・・。
鹿(三好達治)
三好達治(1900年~1964年)は
大阪市出身の詩人、翻訳家、文芸評論家。
「測量船」「駱駝のこぶにまたがって」
などの詩集を発表。
雪 三好達治
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
「鹿」も「雪」も
詩集「測量船」に収録。
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見知らぬ犬(萩原朔太郎)
見知らぬ犬(萩原朔太郎)
この見もしらぬ犬が私のあとをついてくる、
みすぼらしい、後足でびつこをひいてゐる不具の犬のかげだ。
ああ、わたしはどこへ行くのか知らない、
わたしのゆく道路の方角では、
長屋の家根がべらべらと風にふかれてゐる、
道ばたの陰気な空地では、
ひからびた草の葉つぱがしなしなとほそくうごいて居る。
ああ、わたしはどこへ行くのか知らない、
おほきな、いきもののやうな月が、ぼんやりと行手に浮んでゐる、
さうして背後のさびしい往来では、
犬のほそながい尻尾の先が地べたの上をひきずつて居る。
ああ、どこまでも、どこまでも、
この見もしらぬ犬が私のあとをついてくる、
きたならしい地べたを這ひまはつて、
わたしの背後で後足をひきずつてゐる病気の犬だ、
とほく、ながく、かなしげにおびえながら、
さびしい空の月に向つて遠白く吠えるふしあはせの犬のかげだ。
萩原朔太郎(1886~1942年)は、
群馬県生まれの詩人。
詩集「月に吠える」「青猫」「純情小曲集」
小説「猫町」などの著作がある。
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