「悟浄歎異(中島敦)」より終結部
三蔵法師について天竺を目指す
沙悟浄の手記
冒頭の「孫行者(そんぎょうじゃ)」とは
孫悟空のこと。
沙悟浄は三蔵法師のことを
「師父(しふ)」と尊敬する。
俺(沙悟浄)が思うに
孫悟空は行動的大天才であり、
猪八戒は享楽的リアリストである。
それに引き換え俺は、
頭で考えるばかりで行動に移せない。
自分は常に調節者、忠告者、観測者に
過ぎないのか。
悟空からまだ何も学べていない。
「悟浄歎異(中島敦)」より
夜、星を見上げて野宿しながら、
悟浄は悟空、八戒、師父三蔵法師について
あれこれと思いを巡らす。
特に三蔵法師についての深く美しい洞察が、
胸をほのかに温かくする。
中島敦(1909年~1942年)は
東京生まれの小説家。
漢学の家系に生まれ、
東京帝国大学国文科卒業。
持病の喘息により、
才能を惜しまれながらも死去。
代表作は「山月記」「弟子」「光と風と夢」など。
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