吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

「風立ちぬ」を観てきました 1

2013年08月28日 | 思うこと

出張先の名古屋でレイトショーで観てきました。

このスタジオの作品はジブリアニメとも宮崎アニメとも呼ばれますがこれは間違いなく宮崎アニメ。

あくまで僕個人の考えとしてと言っておきますけれど、宮崎アニメは状況を描くものだと思っています。
非常に精緻に状況を描くことで物語を紡いでいくというスタイルです。
ただ、限られた時間内で状況を描くことに注力しているため、人物像の掘り下げまで手が回らないところはあります。
セリフが弱く、主人公が表情に乏しいことも多いです。

この作品の主人公ほど感情移入出来ない人物も珍しいです。
あまりに淡々と飄々としている。セリフも単調。
感情表現は目線とその対象、それからボトボトと流す涙くらいのもので、あれを恋愛物語と受け取った人はちょっとどうかと思います。

あと、あの時間に追われて自宅と仕事場を往復するだけの生活は、クリエイター系の方々にウケが良いようですね。
すっごく共感出来るようです。

非常に詳細な描写は「含み」が多いので、いくつもの解釈が出来るというのは名作なのかも知れません。
しかしながら、観終わった時に、何とも言えないモヤモヤ感、すっきりしない気持ちが残りました。

他で指摘されていないようなので、僕も細かいところをひとつ突いておこうかな。

「きれいな飛行機」を追い求める主人公ですが、そのイメージの中でも、紙飛行機でも「逆ガル翼」(ググってね)にこだわっています。
終盤の成功した試作機もそう。
だけど、彼が完成させたその後の量産機にその翼は採用されていなかったわけです。
こだわりを手放して成功したのは成長なのか妥協なのか?
少なくとも宮崎監督はそれを意識して描写しているので、何かしら思うところはあるのでしょう。

続きます。次回は暴論を吐くかも。







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