わけししょうロケ【愛媛】Matsuyama Ehime

日常から非日常まで、独特な人生の渡り方。不安定な安定の求め方。非正規上等、「いざ」という時のためにも。

愛媛県松山市山越「カラオケ華」【わけししょうロケ】実は中国料理の秘宝

2020年01月06日 | 食い呑み
さて、和気入道は永く愛媛県松山市山越(やまごえ)という街に住んでおりました。今現在の居住地である松山市和気町も住宅地なんですが、山越は中心部に近いだけあって、人の往来が段違いに多いですね。車の交通量も多いですし、商店や飲食店も点在している地域です。伊予鉄路面電車も徒歩で利用できるため、中心地までのアクセスもよく、街に遊びに行くとか呑みに行くのも便利だったですよ。
 
今となっては、悪さばかりの思い出がよぎるガキの頃って感じですかね。親や我が子には言えないようなことばかりで、特別にヤンチャではなかったはずですが、思い返しても酸っぱい後悔が蒸し返してくるのであります。また、マセガキでもありまして、高校生のころにはお酒をこよなく愛していましたし、魚釣りとかバンドやら武術やら、親の思惑なんぞ全く関係ない生活を謳歌していたのであります。
 
そんな高校生生活の最中、ご近所に1件の中華料理屋がオープンしたのであります。その名は「長春飯店」。中国残留孤児2世のご家族が興したお店はこじんまりとしており、日本式の商売に慣れてなかったこともあり、なかなか軌道に乗れず、静かな店内でした。それでも本場仕込みの餃子はすばらしいものがありました。武術を中心とした中国に関心が強かった和気にとっては、初めて触れることができた中国へとつながる扉となったのです。当時は中国との国交はあったものの、いろんな意味で大陸とは隔絶されており、中華文化はイギリスの租借地であった香港、台湾から流入するのが通常だったのです。
 
日中戦争の爪痕ともいうべき「残留孤児」、ほんの数年前までおこなわれていた「文化大革命」など、当事者から聴くことができた生の中国がリアルに迫ってきたのであります。そんな話に耳を傾け、餃子をいただきながら、白酒をもいただいていたのであります。その後の和気入道と中国との関わりに大きな影響を与えたんだろうなあ、といまさらながら想起したのであります。まさにリアル「どこでもドア」だったのです。
 
かくして留学(自分的には大陸浪人というか武術の修行)から帰国後、実家に戻ってきまして。こよなく愛していた長春飯店はまったく機能していない様子。しかし、松山市中ノ川で主の名を冠した「維新」という中華料理店をやっていたのです。久方振りに合った主(ダンナ)はよそよそしい態度で、どうも様子がおかしい。その後しばらくして中ノ川も閉店してしまいました。
 
その後、しばしの沈黙を経て長春飯店は生まれ変わったのであります。予想を裏切る展開? カラオケ喫茶「華」として。ご近所さんであること、これまでのお付き合いもあり、依頼を受けてなんやかんや手伝ったりしました。主(妻子)は中華屋の女将からカラオケ屋のママに見事に転身。その容姿と愛想でうまくいってるみたい、と安心しておりました。我、和気入道となって転居しましたので、その後はずっと疎遠になっていたのであります。まあ、カラオケ喫茶にとりあえず用事はないですし。
 
近々のことですが、職場の同僚が実はここの水餃子仲間であることが判明したのであります。まったくの偶然なのですが、その同僚が宇和島勤務時代に「すごくおいしい餃子があって・・・・・・また食べたいなあ」みたいな話がありまして。聴いていると、合点がいったのであります。和気曰く「知ってるどころじゃございませんぜ!」
そう。華のママ一家は松山市山越に引っ越してくる前は愛媛県宇和島市で餃子の行商をしていたんです。間違いないでしょうね、まさに和気入道produce「探偵ナイトスクープ」が始まるのであります。カラオケ喫茶ではありますが、人気の高い水餃子はあるんじゃないかな、と予想を立てて現地に飛んだのです。
店内の様子は以前とはかなり変わってましたが、シルバーの憩いの場。和気入道を見るなり「ひさしぶりやなあ~」とママ。やはり水餃子は持ち帰り用にありまして、我が家と同僚用に買って帰ったのであります。変わらぬ美味しさでありました。
 
ここで話が終わらない。そう、せっかくなので一席設けることができないか、後日になって改めてお願いすることにしたのであります。和気が知る限り、松山では日本人向けの中華料理屋はいくらでもあるのですが、本当の中国料理が食べられる処がないとずっと思ってたんですよ。そんな嘆きを吹き飛ばす秘密兵器があったじゃないか! しかもメチャクチャ親しい間柄なのに、なぜ思いつかなかったのか・・・・・まさに不覚の極まり、灯台下暗し、幸せの碧い鳥を見つけた気分。
何度か打ち合わせ。「酢豚でもなんでも作るよ」「いやいや、そんなんじゃなくて中国の家庭料理的なものをね」
かくして、新年早々に松山市山越に和気入道関係者が集いまして、宴が始まるのであります。
 
 
外見はこんな感じ。電飾効果で、以前よりえらくギラギラしている印象を受けます。


この看板は開店以来、変わってません。山越保育園のはす向かいにあるのですが、駐車場が広くなってますよ。


ドアを開けると小部屋というか、喫煙場所? かな。ややフェイント気味で、第2の扉を開けますと・・・・・・・・

そこは中国の「卡拉OK店」そのもの。色使いとか電飾とかテーブルの配置も。日本でも中国でもKARAOKEでオーケー。

ママの人気は絶大なものがありまして、今宵も年齢層高めの男女が集ってますよ。新年初営業ということもあり、満席状態。
 
先着隊はすでに生ビールGO状態でして。さ~て凄まじいBGM隊の歌唱の中、始まりますよ、中国東北地方(旧満州)のお料理の数々。生ビールに白酒(ばいちゅう)、メンバーが松山三越で選んでもらった餃子に合うというロゼワインもあります。さあ、中国に瞬間で移動できますぞ。

絶妙な歯ごたえの豚耳。香菜と山西省の黒酢が合います。

新年でってことかな? エビ。 

凉粉かな。デンプンで作るプルプル系。ほぼ日本人は多分、初めてかな。おきゅうとではありません。似てるけど。

素朴に揚げた花生。でも、美味しいんだよねえ。

日本の浅漬け的な? おひたし。柚子がたっぷり。
 
持ち込んだ「八海山あわ」と共に酸菜。ちょっと酸っぱい白菜と豚と春雨を炊いたもの。吉林省ローカルなんだそうで。薄味で美味しい。

山西省の黒酢と共に豚ニラ炒め的な。

こちらが名物「水餃子」。言うまでもなく手作りの逸品。和気入道が初めて食べてすでに35年は経つのですが、変わらぬ安定のクオリティ。冷凍の持ち帰り用もご用命ください。




さらに「烧饼」。焼き餅ではなく、お好み焼きとチヂミとなんかを足して割ったような中国的な粉物です。タマネギと油が効いておいしい。当然、初めての人が多く大好評でした。
さらに豆腐干などもあったのですが、箸をつけるタイミングなく下がっちゃたのかな。白酒が効いてきて、すでに記憶も薄れつつあるかしら。
 
まあ、呑み食いでそうとう盛り上げっているのではありますが、なにしろ我々和気御一行様以外もそうとうなもんです。まさに「天国に一番近い」カラオケ喫茶状態。命名!「山越の小梅太夫」を筆頭にガンガン曲が予約されていきます。しかも、フロアはダンスゾーンと化し、和気だけ見知らぬお姉さんに引っ張り出されまして。調子っぱずれた演歌でチークまで付き合わされる始末。ステップとか全然わからんぜ。
まあ、そんな盛り上げりが続く中、けっきょく4時間もおりました。居心地がいいといえるのか。参加メンバー全員の総意を確認したわけではないんですが、「こういう世界があるんだ」「こういうものアリ」的なコメントが多く。まあ、勉強になった部分も往々にしてありました。
 
翌日、置いてた車を取りに行きまして、ママとちょっとお話。「次は休みの日に貸し切り状態でしようかねえ」(意味的に)とのこと。気を遣っていただきました。さて、次回の参加者を募りたいと思います。中国の家庭料理を所望される、和気にご縁のある方もない方も、お声掛けくださいませ。
 
でもね、異空間というか亜空間というか、なんか変にクセになりそうなクラブも捨てがたいような。