人村です!

舞台と結婚したと公言する「人村朱美」が綴る舞台生活 毎週火曜日更新・・・したいなぁ

秋深し、酒甘し

2008年11月11日 | 舞台
 庭一面が様々に色づいている。桜の落ち葉である。
 今年こそ真っ赤な紅葉を期待したモミジは、桜の下では陽がささず、今もまだ青い。
 今月初めには樹木の剪定をし、下草も一掃しようと思っていたのに、仕事の準備がズルズル続いて放ってある。庭の隅にあるトラちゃんのお墓への道だけが、毎日通うので“けもの道”のように禿げて土が見えている。

 三年前に伊勢青年劇場の有志が、庭師の団長と供にトラックでやって来て、見事に一本の雑草も残さず、大木以外は丸裸にしてくれたお陰で、今年は私一人でも何とかなりそうだ。と、久しぶりにやる気にはなっているのだが・・・。

 『ぼくの人生―シゲルの場合』の学校公演が終わった。
 粟野小学校の小さめの体育館に、全校生徒、先生、PTA合わせて約千人のお客様がギッチリ。
 ロック・コンサートでもやるの!?という量の機材を持ち込んだ前日仕込みでは、5年前を覚えていらした担当の先生が、「あの時は、人村さんお一人がいらした、という印象だったんですが・・・」と、目を丸くなさった。

 私もびっくりだったが、これは全てヘッドホン・ワイヤレス・マイクを初めて使用するための機材で、後は実にシンプル。セットは5年前にはなかったソファーが一つだけ。照明は2ヶ所で変化するだけだし、音響も似たようなものである。

 しかし、初めてプロ・スタッフが入ってくれて安心感は100倍。仕込みも何もお任せで芝居に集中できた。  
 何より、隅々まで声が届くというのが有り難い。声に自信ありといえども体育館で生声というのは、「果たして本当に聞こえてる?」という不安が大きかったのだ。
 
 が、安心して、小さい生徒さん向けにゆっくり目に話したせいか、予定時間を20分もオーバーしてしまい、緞帳が締まった途端、緞帳の陰で照明係りをしていたT氏に「長過ぎ~」と駄目出しされてしまった。
 上演時間の安定は、来月の母校(気比中)公演での課題である。

 それにしても、最前列の1年生たちの反応は可愛かった。私が何か問いかけると必ず応えてくれる。
 マクベスの「森が 動いてくる~!!」の台詞の所では、皆が膝立ちして後ろを振り返った。私は思わず「後ろを見ても何にも無いわよ」と突っ込んでしまった。

 校風がのびのびしているのだと感心。比較的郊外にある学校だからか、子供たちもお母さんたちも素朴で好い人たちばかりだった。

 明くる日曜は「ウィーン岐阜コンサート」。ほぼ満席のようでホッとした。来年のベートーベン第九公演に繋げる為の、大事な公演だったのだ。
 最近は敦賀市の文化シーンに興味が増し、どんなものであれ、客席が充実していると嬉しくなる。
 “予感に満ちた音”を誘導する技を見たくて、指揮者の左手ばかりを見ていた。とても楽しかった。

 月曜には若狭高浜で、やはり学校公演用の新作の打ち合わせ。以前『楽屋』という市民劇団公演で音楽を担当して下さった音楽家の新谷径世さんと二人で、朗読と演奏の共演ライヴを企画中である。芯になるものを3~4本仕込み、小さな演目数本と組み合わせて50分位の仕上がり目指す。この日は早速デモテープ(見本の録音テープ)を作った。

 生(なま)のピアノに合わせて語ってゆく楽しさは格別だ。互いに触発されて、イメージが果てしなく広がっていく・・・。私にとって初めての宮沢賢治作品も候補にあがっている。
 楽しい作業が半日続き、まだまだ話し足りないまま、12月の稽古を約して小浜線で帰途についた。

 夜、12月東京青山の『源氏舞-終焉(しゅうえん)の章』公演用DM書きが山になっているのを横目に、一人、鍋で美味い酒を飲んだ。
 仕事に明け暮れる充実感が酒を甘くする。な~んちゃって!
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