明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

リハビリステーションでの会話

2017-04-28 22:56:21 | 生命・健康・医療
いつもリハビリに来ている70代後半の品の良いご婦人がトレーナーに向かってこう言った。「武道館でビートルズやってたの、ビートルズ知ってる?」。60代のトレーナーは「もちろん知ってますよ」と言い、30代の若いトレーナーも「私も知ってます」と声をかけた。ご婦人は「私も健康だったら行きたかったけどね、10万円」、いい値段である。「結構するねぇ」とトレーナー。私は微笑ましい会話に、しばし運動の手を休めた。「だけどジョンレノン、暗殺されて残念だわ。今回の公演はポールアンカだけなのよ」。一同「???」。

「山田さん、ポールアンカじゃないよ、ポールマッカートニー!」。トレーナー達は苦笑していたが「そうだったかしら?」と本人は至って真剣である。あーあ、ここはリハビリ施設だからお年寄りばっかりだし、記憶もうっすらとボケている。私なんかまだ若い方だし足もしっかりしているのだから、早くここを卒業しないといけない。そう思うとリハビリにも力が入るってもんだ。しかしこれだけで山田さんは認知症と決めつけるのはまだ早い。そう、ポールは合っている、だから全く思い出さないよりマシだと思わなけりゃ。

まぁ認知症予備軍ぐらいだがここでは何が起きても不思議ではない。それが老人介護施設の現状である。ほとんどの人が車椅子でなきゃ生活できないのだ。もちろんほんとに認知症になってしまったらこの施設では扱えないので、もっと重度の患者が対象の施設に移るしかない、皆さんまだ健康な方である。人生の最後の何年かを過ごすかも知れないこういう介護施設に毎週通っていると明るい人陰気な人ぼーっと中空を見ているだけの人と色々いて、施設の介護スタッフの人も底抜けに明るく満面の笑顔で接しているのがわかる。

大した給料でもないのにと思うと、頭が下がる。出来ればこういう所にはお世話になりたくないものだが、果たしてどうなることやら。さぁもう腕上げを10セット、リハビリ通いは先が見えないと辛いね。

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