最近久しぶりにまた古代史の本を読みはじめた。岡崎康民氏の「古代史はどこがまちがっているか:考える古代史2」である。たまたま Amazon の読み放題に出てたのでダウンロードしたが著者の岡崎康民氏は学者じゃないようで、その点では「通説に囚われない」自由な意見の展開が期待できそうである。何故なら私は歴史ファンの一人として、ただひたすら「真実の探求」を第一に考えて来た。しかし残念なことに、既存の学説が「辻褄が合わない話」をそのまま事実として全く無批判に受け入れている事には、怒りを通り越して「絶望」すら覚えているのが現状だ。
例えば邪馬台国の近畿説とか天智天皇・天武天皇の兄弟説とか、間違っているのが明らかなのに訂正しようとしない学会の態度には「もううんざり」なのだ。まともに考えればすぐわかる話なのに何故個々の疑問に対して「まっとうな議論」で答えを出そうとせずに、ただ「黙殺のみ」なのだろうか?
こういう態度というのは「学問」のあるべき姿ではないと思う。だから私の読む本は、自然と「学会の定説」と異なるものになって来るわけだ。今回取り上げた岡崎康民氏の本も一見突飛とも思える説を詳細に解説し、我々の陥っている先入観を打破して、「あっと驚く真実」へと導いてくれる内容になっていると期待出来る本である。
私も最初この本を読む前は、何か「万葉集は朝鮮語で読み解ける!」式の、奇を衒った「トンでも本」の類だろうと考えていた。ところがギッチョン、これが「謎の倭の五王」に対して正面からちゃんとした科学の光を当てる「画期的な本」になるかも知れない、と思えて来たのである。
例えば応神天皇の子の「仁徳天皇」は、実は高句麗の「広開土王」だ、と「いともあっさり」と言いきっているのだ!(ほんとかよ?)。ただこれだけでは、何を又いい加減な説を唱えるているんだ!と歯牙にもかけないのであるが、この本は「ちゃんとした理論で説明している」のだから天邪鬼の私ならずとも「引き込まれ」てしまうのである。私は今回この本を熟読することで、今までに無い「新たな古代史の視点」を獲得出来たら良いな・・・と願っている。
その疑問の一例として「奈良の藤原京」の例を挙げてみよう。
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まず藤原京というのは正式名称を新益京(あらましきょう)と言って、藤原京というのは後世の呼び名である、というのが私の今までの歴史知識だった(実に底が浅いねぇ・・・)。一般に「都」というのは当然「国に一つ」しかないのが当たり前であり、何々京などとわざわざ名前を付けて呼ぶ習慣は、昔はなかったと私は思う(今でも天皇の居る場所は一般に「皇居」とだけ呼ばれている)。
これが遷都したらその場所が新たに皇居と呼ばれ、古い場所は別の名前が付く訳だ。平城京(なら)という呼び名も平安京に遷都した後に旧京という意味で「地名」をつけて呼んだのではないだろうか。何れにしても当時、平安京に住んでいる人は多分自分達の住んでいるところを平安京とは呼ばず、単に「都」と呼んでいた筈である。
そもそも飛鳥時代までは天皇の住居については「宮」と呼び、代替わりの度に引っ越していた。というか別に引っ越した訳では無く、新しく天皇になる人の住所を「宮」にするわけで、新しく都を作るわけではなかったのである。それがだんだんと役所など大規模な政治機構が必要になって、天皇の住居とは別に「都」という都市が必要になったというわけ。それが日本で初めての都「新益京」である(但し、日本で初めてというのは間違いで、元々「九州博多」にあった都が地震で壊滅状態になった為、新しく奈良に遷都した、との考えもある)。
藤原京というのはその都(新益京)の中の天皇の住居の名前が「藤原宮」だった、というのが岡崎氏の画期的な説明だ。
宮は当時から「藤原宮」と呼ばれていた。それが平安時代になって都市の名称としても使うようになり、今では都全体を「藤原京」と呼ぶようになった。確かにそう言われれば「そうなんだ」と思うしかない。が、岡崎氏はここから何故「藤原」京なんだろう?、と疑問をぶつけて来るのである。
・・・こういうのが、私が歴史を勉強していて「最も興奮する部分」なのだ。私達はその時代に生きていたわけではないから、そう言われれば「そうか」としか思わないが、改めて何故?と聞かれると確かに「どうしてなの?」と疑問に思う。宮の名称は大体「地名」で呼ばれていて、飛鳥浄御原宮とか飛鳥岡本宮あるいは飛鳥板葺宮や近江大津宮など、皆なそうである。だが藤原京では「新たに」都が作られたので、それに相応しい都市名「新益京」が付けられ、それとは別に宮を「藤原宮」と呼んだのではないだろうか。当然それが「藤原」だと言うならば、それなりに理由が必要である。
歴史家の間では元々その辺りに「藤」が多く生えていた、と言う説が定説らしいがこれは為政者にとって、日本で初めての「大規模な都市」を作った、という「誇らしい気持ち」が全然感じられなくて、ちょっと弱い。では岡崎康民氏の考えはどうなのか?
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答えは次回の当ブログで。
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