今、国民民主党の公約で話題になっている103万円の壁とは、それを超えて収入が増えると逆に手取り額が減ってしまい「若者の働く意欲を削いでしまう」という悪しき壁なんだ、というようなネガティブなものとして捉えられているようですが、それは本当なのでしょうか?
この疑問に答えるために、私なりに考えた「扶養控除の意味」から説明を始めることにしましょう。但し、これは私個人の勝手な解釈なので、その点をご留意の上で読んで頂ければ幸いです。
1、扶養控除とは
夫婦が子供を産んで成人になるまで育てるには当然ですが「相当なお金」が掛かります。夫婦の収入には貧富の差がありますから、貧しい家庭では子育てへの充分なお金の余裕なんか無いでしょう。そこで国が養育費を補助する目的で「扶養控除」という制度を設けた訳です(あくまで私の想像です)。控除ですからその分税金を免除するわけですが、中身の実態は「養育費の一部支給」です(無収入者には控除の効果が無いので、私は法改正をして控除を廃止、はっきり「子供全員に養育費支給」と変えるべきだと思います)。
なので、親の納税額は扶養控除なしの本来の金額になって一時的には増え、その分「手取りは減り」ます。そして今までのは扶養控除の代わりに「養育費の支給分」が新たに収入として入ってくるわけです。平たく言えば「また手取りが増え」ます。これは人によってあるいは計算方法の違いによって「出と入」に差があるから全くプラマイ零とはなりませんが、まあ殆ど手取り総額は変わりは無いでしょう。但し、支給された金額は親の財布に入れるのではなく、新たに「被扶養者である子供」の収入として計算されます。養育に掛かる費用の一部を代替支給するわけですから当然です。これにより、扶養に関わる手取り云々の分かりにくい問題は「子供個人の収支の問題」となって非常にスッキリして「分かり易く」なります。
◯ 子供は被扶養者だが、別途台帳を分けて収支を明らかにすること。
勿論それだけでは足りませんから親が不足分を補填することになりますし、これもまた子供の側にして見れば「追加の収入」になりますね(親は支出だが子供は収入)。そして子供が高校生になる頃には色々なアルバイトを始めて「更に自分の収入を増やす」ことになります。これらの収入を全部合計して、子供も個人として「確定申告」をする、というのが私の提案する「新・税制改革」です。
◯ 年齢・収入額に関わらず、所得税・住民税・国民健康保険料及び年金などは支給分と補填分とアルバイトの「合計収入」に対して所定の率で納税する事とします(基礎控除は適用あり)。
但し、その額は国からの支給額に含んだ形で計算するので、実質「子供の手取り」には影響しないものとして支給額を設計します。要するに、103万円とか130万円の壁を超えると新たに税金や保険料を払わなきゃならなくなるので結局「働き損」だ、という考えはなくなると思います。
2、扶養という考え方
裕福じゃない家庭の養育費が大変だから、それを国が援助して「扶養控除」という形で支給しましょう、というのがそもそもの「混乱の元」でした。元々養育費を支給するのだから、国が支給するのは「22歳の大学卒業まで」と年齢で区切れば、全く問題なく全国民に公平・平等な税金の使い方になるのじゃないでしょうか。要するに子供が小さいから支給するのであって、「稼ぎが一人前じゃないから」支給するわけじゃ無い、ということです(これ、名言じゃね?・・・自画自賛です!)。
だから22歳になるまでは「いくら稼いでも」今まで貰っていた扶養控除は無くならないので「壁自体が消え」、22歳になって社会人になる頃には当然ですが「扶養控除=国からの養育費支給」は終了します。なお、所得税・住民税及び国民健康保険料・年金も「最初っから」払っているので「税収の不足」も発生しないわけです。全ての問題が一発で解決するじゃありませんか!。
これで親が子供に「働き過ぎて扶養控除から外れる」のだけは絶対するなよ!なんてうるさく言う心配は、今後は「無用」になるでしょう。
私はこの「新しい扶養の考え方」を税制の基礎に置いて再計算すれば、103万円とか130万円とかあるいは178万円といった「壁」そのものの存在も綺麗さっぱり無くなると思っています。政治家の皆さんがこのブログを読んで税制改革してくれることを期待しましょう!
なお、主婦のパートに関しては「被扶養者の暇な時間で小遣い稼ぎ」と捉えるか、それとも「純然たる労働報酬」と考えるか、その辺が鍵になると思います。原則は、全ての税金・年金・保険料は個人が払うものとしてパート収入にも平等に課税すべき、です。その上で、扶養家族という考え方から独立した「労働者」という見方にパート者を捉え直して、それで「新たな税制」を考えるべきでしょう。原理原則に従って設計すれば、複雑怪奇な税制も「もっとスッキリ」する筈です。
と言う訳で、パートについては別のブログで考察しましょう。皆さんもご一緒に考えて頂ければこれ以上の喜びはありません。
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