服

今晩は。

ご来訪ありがとうございます。

今　感慨深い気持ち。


「こえ」
と彼は言って小さな手で黄色のゴムの長靴を、狭い玄関のたたきに並べたものだ。
出かける時に、今日はどの靴かと選んだ結果、「これ」を選ぶのだ、と
舌足らずながら、彼は言っている。

忙しい朝、きーっとなりかけて脱力する瞬間である。

２才とか、それぐらいのころは、
紐靴はまずもって、だめ。

皆が先に外に駆け出して、自分だけが取り残されるから。

そう考えているのが手に取るように分かる。
分かるけどね、　今日は晴れてるのよね。
　雨降ってないのよね。変なのよね。

手短に説明できない自分が恨めしい。
晴れた日には、普通のシューズを履いていく子であってほしい、
という自分の想いはすぐ撥ね退けられ、
誰かの視線など全く意に介さないし、「常識」や
いつも気にかけていることはバカげたことになり下がる。

そんなことをふと思い出す。

晴れて進学となり、このところ息子は
部活もない、宿題もない春休み満喫しているようだったが
昨日今日と学力診断的なテストを受けるため、
学校へ行ったのだった。

昨日の朝は起きることもできない情けない母親だった。。

玄関脇の部屋のベッドで、かすかに、ドアが開けられ、
出かけていく気配を聞いたのみ。

どんな格好していったんだろう？

靴はスニーカー、それと先日夫と買った革靴しかないから
スニーカーだろう。
今朝はかろうじて　出かける直前の息子を見た。
ジーンズに、白いセーター。

今日は帰宅したら部屋から息子が出てきて、一緒に遅い夕食。
それまで寝てたらしい。

「服ってさ、どんなの欲しいの？」
「…薄手の、脱いだり着たりしやすい上に着るやつ、が、欲しいです」

えらく力強く答えるんだな。
しかも丁寧語。敬語といえるほど滑らかじゃない。

「黒、シンプルに、黒でいい」

話しを聞くと、なんだかイメージが持てないみたいな感じ。

大学生くらいの年齢層なら、こんな感じでは？
と、Zozotownのサイトを見せてみた。
モデルの身長とか表示されているから、自分が着たらこんな感じかって
想像つくでしょ、なにより、こういう組み合わせでこんな雰囲気がいいなぁって
思えば、お店で見る時にも、見当がつくでしょ。
パンツ（ズボンね）もいろいろあるし。
おお、スリムフィットジーンズが８千円を超えている…高いな。

「スリムフィットとかはダメなんだって、ふくらはぎで止まっちゃうから」
「ジーンズは、ユニクロでいい」

ユニクロ信望者め。安いと信じ込んでいる。

ともあれ、今のうちに見に行かないとなと、呟いていました。
気に入った服が見つかるといいです。

服を買いに行く服がない、ってありましたが。
ホントに、装うことで気持ちもアガるし、新しい場所では、
気に入った服装で臨んでもらいたいですね。

成長、してるんですねぇ。