こんばんは。
姑とこが入院したのは今月初旬だ。いまや2週間。
前回訪れた際にはあまりきょろきょろと見ることもなく、ただとこを見舞って帰ったものだが。
病院って特有の、清潔な中にも何か澱んだような空気感がある。とこの病室に居る間にも「たすけて~」という悲鳴というか断末魔というか、かなり老齢の、女性の声が響いて、また、通りかかってふと見えた病室のベッドの上、口を開けた状態でぴくとも動かないひと。入院着を着せられ、拘束され、顔には酸素を通す透明な細いチューブがまとわりつき、目は閉じられている。
アンモニア臭はしない。しないことにほっとしながらも、それは尿管にチューブを通された上に日本の優秀な製品、紙おむつがあてがわれ、「管理」されているからだ。
先日みかけた、お隣の方は、目が動いていたが、声を発することはないように思った。
肌が、しわもなく、ぴかぴかしていて、血色はあまりよくはなかった。顔の表情筋が、硬直しているような感じだ。びっくりしている顔のまま、止まっている。
口は、閉じられていない。目だけが周囲の動きを追っている。
看護師たちは声を掛けてからケアをするが、忙しいし、相手の反応を待っていると手元もあやういのだろう、とにかく手早く行っていく。
先日、夫と、ふと日本は寝たきりの人、多いんだってね、海外はどうなのかな。という話になった。
かつてそんなタイトルの本がなかったか。早速、検索するとやはりヒットする。
医療系のサイトにある。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20120620-OYTEW61295/
要約すると、つまり。「寝たきりになる前に尊厳死」ということだ。
胃ろうは基本的にしないのだ。欧米ではそれは逆に「老人虐待」なのだ。
私はその考え方に賛成だ。
私が食べたくないと言って食べなかったら、胃ろうはしないでほしい。
肺炎になっても、入院はしたくない。
出来る限りの延命なんて、してほしくない。
この肉体には感謝していている。私の心と共にあった身体。それで十分だ。
85くらいまで、健全な脳と肉体でいたら、それで十分だ。
…この病院の看護師たちは、医師の処方に従って、正当に作業労働している、それが医療行為だから。
食べなくって脱水症状を起こし、死にかけている、だから点滴を打つ。
肺炎を起こしている。だから抗生剤を投与する。
私が社会に対して生産しない存在になったら、医療行為は不要だ。
私の息子が老齢の私に胃ろうしようとしないよう、いまからきっちり話しておかなければ。
さて、姑とこ。夫の、「あぁ、そうやって管とか触るから抜いちゃうかもって思われて拘束されるんだよ、触っちゃだめだよ」とか「こうしてお世話してくれてる人に感謝しないとね」との言い分にはややうんざりなのかもしれない。私は痩せさらばえたそのとこの体を見れば、本当に切なくて涙が止まらず、花粉の鼻水とまざってぐっちゃぐちゃになってた。
なんとか涙を拭いて、やっと落ち着いてそばにいて見れば、とこも拘束の一部であるミトンを外してもらい、自分の細腕を見ている。
そして、やや、ふがふがとした声でいう。
「あらぁ、こんなにしわしわよ」
私はここぞとばかりに、認識してほしくて、「ほんとよ、こんなにしわしわになって。おかあさん食べないから、脱水症状で熱が出て、入院したんだよ、覚えてる?」と言った。
「…だめよ、食べなきゃ。」さらにダメ押しした。
先日会った時には、「食べないとね」と言っていた。トイレに行きたいとも言った。水を飲もうとして私の手からペットボトルを取った。
「いらないわ」と言ってた、すかした姑とは違う。
うっかり、まだそんなに暑くない時期だからと水分補給を怠っただけなのかは、よくわからないが、今は、生きようと思っていると、信じたい。
隣の方は、私たちが通るのを、目で追っているように思えた。
誰かが、その強張ったほほを、優しく撫でてくれるのを待っているみたいに。
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