とこのへや

とこの雑貨と、とこのお洒落着。とこは樺太に住んでいたことがあります。とこの嫁の体験談、日記、備忘など。

言い訳のかわりに

2018-07-29 20:36:42 | 丘の上(認知症・入院)

こんばんは。

今日も今日とて暑かった。

夏だからな。


シェアリングカーを予約し、夫が「よければ一緒に行ってくれる?」
と、二人で姑とこの入院先へ向かった。

問題なく病院へ到着し、夫と共に病室へ伺うと、「今点滴を…」と
看護師が処置中だったので、しばし廊下端の待合スペースで過ごす。

入院して1週間だという年配の女性と、少し会話。
『◆◆駅の近くに住んでいるんですけど、暑い日が続いて、
 一人暮らしの気安さで、適当にパン一切れ食べるぐらいで過ごしてたらね…、
 冷たい牛乳でも飲もうと思っても、買いに行かないとと、そとに出たらね。。』

お仕事を引退されて、しばらく経つのだろう。
この暑さで5キロ体重が落ちたと。買い物に行くため外に出たところ、
倒れて動けなくなったのだそうだ。

『通りかかった人に助けていただいてね、
 診察してもらったら脱水症状に、肺炎に… もう入院しないとダメだ、って
 ●●病院だったんですけど、入院必要だけれど、うちはもうイッパイだからね、って
 この病院どうですかって』

『いやもうね、3食ついてるって本当に有り難いですよ、もう』

ははぁ、うちと同じ●●病院からあっせんされている。。

●●病院はきっとキックバックもらってんだよ。。

とこは元気だけど、腕も足も骨と皮ばかり、点滴の跡が痛々しい。
本当に、か細くなっていて、足をさすろうと手を添えると、
「あ、骨ってこういう形なんだな」と分かるくらいに肉がない。

今日は「あまさけ」を持参。
「とらやの羊羹食べたんでしょ」と言っても、
病院の人に言ったら怒られるから、
とか、
病院で出してくれるもの以外は食べちゃいけないの…
とか、
尿計測しているからだめ

…ああ、(食べていいかとか)聞かないで!
とか、とにかく食べまい、飲むまいとする。

夫はそしらぬふりで、ちょっと時間が経って、付近に看護師などいなくなってから
「あ、これ飲む?」と、声掛けすると、

「飲むわ」

…ああ、人の目とか、気にしているんだな。
私たちというか私に対して、悪いと思っているんだな、ということを感じた。

飲みたい、食べたい、けれども…

そういう状態なのだ。

ごめんね。そんな心配をさせてしまうこと。


ほか、病院への支払いが「すごいことになってる」「ニュースでやってた」
「お金を払えてないから、出て行かれない」
「今日ここを空けないと、今日この部屋を出て行かないとだめなの」

矛盾だらけだ。
というか、妄想なのだ。


夫が「あ、そうそう、◆△●◎から連絡あった、退院したらこちらへ連絡くださいって」
「◆△●◎」は地名だが、とこは「どのあたりなの?」という。

知っている地名と思うが、移動には積極的になれないという反応とみた。

まぁ、点滴が取れないと、特養でも入れないから、と夫が付け加える。
分かっているのかどうか、とこは、あまり興味がなさそう。
今日出て行けと言われているわりに、お金が払えないから出て行かれないの、という。
そして「服がないのよ、下着のパンツもないのよ。」と。



・・私はもう長くないと思うの

・・今晩ね、目玉をくりぬいてね…イノシシの、こう、こういうのあるでしょ、
  それをね… それが、すごく痛いっていうのよ

もう、わからない。
わからないよ、とこ。

たぶん、私たちに、というか私に迷惑をかけたくない一心なのだろう。
夫には唯一の肉親として甘えたいけれども、甘えられないという
矛盾的な心理を感じる。


私たちは来たとおり、車で帰った。
夫は何度も私に礼を言った。
私は仕事が忙しいことや松葉杖を理由に、病院へ行ったのは久しぶりで、
とこは親し気に私の手を握り返してくれたけど、
一緒に帰りたいとは言わなかった。
どちらかと言えば、精一杯私に気を遣って、私たちが帰るよというと、
寂しいような、ホッとしたような表情を見せた。

一人暮らしの老女が言ったように、「生活」がとても辛かったのだ。
お金があったとて、買い物が辛いのだ。
食事の支度も辛いのだ。

…かといって、見知らぬ場所も、辛いのだな。


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