現代思想の入門書は今まで何冊も読んできた。その時はわかった気になっても、時が経つと、何だっけと??…
この本は、哲学書特有の難解な語彙や衒学的表現を筆者独自の解説で分かりやすく再構築している。
例えば、『「Aという映画と、Bというマンガと、Cというテレビドラマでストーリーが同じ構造になっている」、と言うとき、ここでの「構造」という言葉の使い方はある程度通じるでしょう。構造主義というのはそういう話です。構造とは、おおよそ「パターン」と同じ意味だと思ってください。』すとーんと腹に落ちます。しかも忘れないですね。
筆者は哲学の大学教授でありながら、芥川賞の候補作品にもあがった小説家であることが大きいですね。
現代思想を机上の知識としてひけらかすのではなく、逸脱的で芸術的に生きるためのアクチュアルな指針となる入門書であると思います。
『本書は、「こうでなければならない」という枠から外れていくエネルギーを自分に感じ、それゆえこの世界において孤独を感じている人たちに、それを芸術的に展開してみよう、と励ますために書かれたのでしょう。』「おわりに 秩序と逸脱」より
★★★★★
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