映画「春の画SYUNGA」関連で浮世絵、春画を調べていたら、「鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)」というユニークな絵師を発見した。
2015年の「春画展(永青文庫)」で観ているはずですが、肉筆春画では月岡雪鼎に夢中で記憶に残っていないですね。
鳥文斎栄之(1756〜1829)は、歌麿と人気を争う絵師だったそうです。歌麿の大首美人画に対して、栄之は十二頭身といわれる全身像を描きました。
鳥文斎栄之がユニークなのはまずその出自にあります。
武家それも旗本出身で、第十代将軍徳川家治(1737〜86)の御小納戸役として「絵具方」という役目を務め、御用絵師狩野典信(1730〜90)に絵を学びましたが、家治の逝去で引退し、武士を捨て浮世絵師になります。
姫路藩主の弟だった酒井抱一(1761〜1829)が生まれながらのリザーブで比較的自由な立場だったのに比べ、将軍に仕える身分だった栄之が浮世絵師になるのは異色ですね。
後年、肉筆画に専念し、作品が帝お召し上げなったエピソードもユニークです。
さらに、肉筆春画が豪華絢爛で、カラーのレディースコミックを見ているようなのです!
・信貴山緣起絵巻 通期場面替え
・伴大納言絵巻 第一期のみ
・鳥獸人物戯画
甲乙丙丁各巻一期
・伝源頼朝像
・伝平重盛像
・伝藤原光能像
・久能寺経 第三期第四期
・平家納経 通期
・慈光寺経 第三期第四期
デヴィッド・ホックニー展の後は、MOTコレクションへ
『視覚や触覚にとって、世界は表面の連続であり、あらゆるものは様々な「表皮」で覆われている。 私たちはものを「表皮」において感知し認識する。 だから、あるものがリアルに感じるかどうか、決定的なのはその表皮の質 なのである。「皮」は感性と物質を繋ぐインターフェイスであり、 感性 と物質の交流のなかからイメージが生じてくる。』
「名和晃平ーシンセシス」 2011.1図録より
村瀬恭子(1963〜) Carousel 2003年
水の中で溺れているのか、泳いでいるのか…