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加藤廣の『明智左馬助の恋』の下巻を読んだ。『信長の棺』から始まった加藤廣の「本能寺三部作」を読み終わった。
下巻は、天正10年の動きから始まり、徳川家康の接待役を解かれ秀吉の毛利との戦いへの支援を命じられた光秀が、前太政大臣・近衛前久の「信長追討」の綸旨を匂わせる呼びかけに応じ本能寺で信長を囲むが光秀と左馬助には信長殺害の意図はない。ところが重臣の一人斉藤内蔵助は何としても信長を生かしてはおけないと攻撃を強行する。『信長の棺』以来示されている「抜け道」に信長は消えるが、「抜け道」は秀吉の支持で封鎖され、そこに火のついた松かさなどを投げ込まれて信長は殺されてしまう。その遺骸をは阿弥陀寺の僧によって確保され、左馬助は信長の死を確認する。光秀は秀吉軍に敗れ、坂本城に逃れる途中土民に襲われ重傷を負うが、影武者の死体を残していずこともなく消えたことになっている。最後は左馬助が、残った明智一族とともに坂本城で自害。坂本城は炎上する。この作品の中心は、「信長の死体はどこへいったか」という謎を解くことであり、加藤廣が展開した推理が本能寺と南蛮寺を結ぶ地下の抜け道だった。3作品を読み終えると、この著者の意図がよくわかるし、読者をひきつけてやまない魅力があると思う。
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