母が亡くなってからひと月が経ちました。
母を見送った日々に感じた事を少し綴りたいと思います。
母を看病した日や、亡くなった日がたったの一ヶ月前だったとは思えず、遠い昔のような気がします。
看病の為に病院や実家を行ったり来たりの忙しい日々、亡くなってからの葬儀関連などで、やらねばならない事、考えなければならない事の多さ、そしてその後も、いつまでも悲しみにひたっている暇など与えられず、日常は忙しく流れており、いろいろな事があり、ひとところに留まってはいられないので、たったひと月しか経っていなくても遠く感じられるのでしょうか。
母は思いのほか、あっけなく逝ってしまったので、介護をしたという程のものではありませんでしたが、その短い看病期間と、母を見送った事で、私の新たな人生観が生まれました。
以前、映画『 おくりびと 』を観て感じた事なのですが、
人は、どんな人生を送っていても、その終幕で、あとに残る人に心をこめて送られてこそ、最終的に幸せな人生だったと言えると思うし、
一方、自分より先立つ人をきちんと送る事が、人としての役割であり、命のバトンを繋ぐ事でもあると思ったのです。
母が長くないと知ってからは、この思いを胸に、子として、人として、生み育ててくれた感謝と、母が歩んできた人生への尊敬の念を伝える最後のチャンスと思い、しっかり看病し、見送ろうと思いました。
正直、看病生活が始まったばかりの時は辛いと感じる事もありましたが、自分の役割が見え、気持ちの持って行き場が確立してからは、看病も、そして母が逝ってしまった後も辛いという事はありませんでした( 寂しくはありますが )。
私には、順番上では、これから見送る人が何人もいます。
その人達をキチンと見送る事が、私の存在理由であるという事が、今、はっきり見えてます。
そういう哲学が自分の中に生まれた事が嬉しくあり、それを教えてくれた母に感謝しています。