A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

昔の仲間に迎えられて無事に 帰ってきたものの・・・・・

2012-01-12 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Back Again / Bob Brookmeyer

ボブブルックマイヤーの第2の音楽人生のスタートとなったアルバムは多分先日紹介した“Through A Looking Glass”であろう。実は、10年以上ニューヨークを離れ、一時は音楽活動からも離れて西海岸に居を構えていたブルックマイヤーが、ニューヨークに復帰した直後に、ある種の節目とも言えるアルバムがある。そのタイトルも“Back Again”である。まさに「帰還」であるが、ジャケットを飾るブルックマイヤーの風貌に10年前の面影は無い。髪を長くたらし幾分ほっそりとした顔立ちになった姿は、音楽的のみならず肉体的にも、また人間的にも何かが変化したと思わせる。

そのブルックマイヤーを迎えたメンバーは、以前の長いニューヨークでの生活で一緒に労苦を共にしたサドジョーンズとメルルイスの2人。そして、当時のサドメルオーケストラのベーシストであったジョージムラツ。ピアノは、同じ時期一緒に西海岸からニューヨークに帰ってきたジミーロウルズの4人だった。

この手のセッションの出来栄えは誰がシナリオを作るかが重要だ。単なるジャムセッションでもセッションリーダーが重要だが、この面子だとシナリオ無しのセッションという言う訳にもいかない。尚且つ、ブルックマイヤーの復帰を祝うアルバムとなると。
それまでブルックマイヤーが参加するセッションは、ブルックマイヤーがアレンジを含めて全体の構成を作ることが多い。ブルックマイヤーとスタンゲッツの65年の再会セッションは、ハンコック、カーター、そしてエルビンのリズム隊が超豪華な顔合わせであったが、ゲーリーバートンを加えた4人が実に綺麗で爽快に流れるようなバックを生み出した。スイングジャーナルでこのアルバムの解説をした児山紀芳氏は、「同じ編成でブルーノートでのセッションもいくつかあるが明らかに音が違う。それはブルックマイヤーの指示が徹底していたに違いない」とコメントしていた。

一方で、迎える御大サドジョーンズも曲作りとアレンジに長けているだけでなく、演奏そのものでも情感豊かな表現で、時にはお茶目な、そして意表をつくプレーが得意である。ここでは、今回の主賓ブルックマイヤーを立てて自分は引っ込んでマイヤーに花を持たせたのか、反対にサドがマイヤーを迎えるお膳立てをしたのかは定かではない。曲はセッションがやり易いスタンダードを中心に、ブルックマイヤーの曲が2曲。これを見ると、やはりブルックマイヤーの構成かもしれない。
トロンボーンのソロは昔と変らない、そしていつものように掛け合いを楽しみながら、各人のソロが続く。ロウルズの朴訥なピアノも味がある。でも、全体を通してみると何故かしっくりこない。それぞれは悪くは無いのだが、皆一緒にプレーをした仲であったのに何故か他人行儀な感じだ。久しぶりなのか、遠慮があるのか・・・?

そして、この年にブルックマイヤーの復帰と入れ替わるように、今度はサドジョーンズがニューヨークを、そして自分のオーケストラを去ることになった。その真意が語られる事は無かったと言われているが、その後しばらくはオーケストラの面倒をブルックマイヤーが裏方としてみることになる。このアルバムが実は2人の引継ぎのような物だったのかもしれない。

1. Sweet and Lovely            Arnheim, LeMaire, LeMare, Tobias 8:30
2. Carib                  Brookmeyer 4:07
3. Caravan                 Ellington, Mills, Tizol 7:37
4. You'd Be So Nice to Come Home To    Porter 6:49
5. Willow Weep for Me           Ronell 3:45
6. I Love You               Porter 5:58
7. In a Rotten Mood            Brookmeyer 5:55

Bob Brookmeyer (vtb)
Thad Jones (cor,fh)
Jimmy Rowles (p)
George Mraz (b)
Mel Lewis (ds)

Produced by SamCharters
Engineer Elvin Campbell
Recorded at CI Studio, New York City on May 23-25, 1978




Back Again
Bob Brookmeyer
Universal
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする