The Popular / Duke Ellington Orchestra
1966年、サドメルを始めてとして新しくビッグバンドがいくつか生まれても、ジャズ雑誌の人気投票ではまだデュークエリントンオーケストラの王座の地位は揺るがないものであった。ELLINGTON’66とタイトルされたビートルズナンバーなどのPOPSのヒット曲集を出したかと思えば、バージンアイランドのコンサートでは意欲的にオリジナル曲にも挑戦することもあった。そのエリントンが2回目の来日したのは'66年の5月13日。その直前にエリントンオーケストラはロスアンジェルスに立ち寄り、そこで録音したのがこのアルバムだった。
音楽を聴くためのメディアの変化は時代と共に劇的に変化している。まずはSPレコードからLPレコードへの転換、劇的に音質がよくなり長時間の演奏を可能にした。40年後半から50年代にかけてジャズの世界が大きくモダンジャズへ発展した記録が今でも聴けるのは、テープレコーダーとこのLPのお陰だ。そのLPレコードも58年にはステレオが登場し、60年代に入るとモノラル盤に代わって主流になった。そして80年代以降はCDの時代へ。今ではついに、ダウンロードの時代になってメディア自体が存在しなくなってしまった。エリントンオーケストラは、まさにこのメディアの変遷の歴史に合わせて、各時代のエリントンナンバーを記録し続けている。
フランクフォスターが来日して自分がリーダーとなるアルバムを制作することが決まった時、そのアルバムのために「日本組曲」のスコアを書いた。エリントンが来日前に録音したのは残念ながら日本組曲ではなく、十八番のエリントンナンバーだった。ただし、ステレオ時代に入ってからは初めて録音されたエリントンナンバーの名曲集であった。確かに、A列車から始まるお馴染みの曲は実に良い音で録音されている。各楽器の分解能がいいせいか、エリントンオーケストラの独特のハモリがよく分かる。特に低音の音域で。サックスセクションはハーリーカーネイのバリトンがサックスセクション全体をリードすることが多いことを再認識した。
有名バンドの長年慣れ親しんだ有名な曲だと同じアレンジの譜面を後生大事に使いがちだが、エリントンの場合はソロも含めて時代によって微妙に違えている。そして、このアルバムの特徴はエリントンのピアノがいつもよりも多く登場することだろう。
ビッグバンドの時代の流れの中で何となくこの’66年頃が時代の節目のような気がするが、エリントンは新たな試みではなく、自分達の実力をアピールするために、持ち歌でもう一度直球勝負に出たような気がする。66年の来日時のコンサートに関する日本のバンドリーダーや評論家達のアンケートが当時のスイングジャーナルに載っていた。二度目の来日ということもあり、エリントンオーケストラの良さは認めるものの、何か物足りなさがコンサートでの選曲にあるような意見が多かった。日本のファンは日本のステージで「日本組曲」を期待していたのかもしれない。
自分が持っているのは、当時の国内盤でこの頃多かったオリジナルとは異なったデザインのペラジャケ。味も素っ気もないが、自分にとってはジャズのレコードを買い出した頃の思い出のアルバム。久々に聴きながら高校生だった当時の事を思い出した。
1. Take the "A" Train Strayhorn 4:42
2. I Got It Bad (And That Ain'tGood) Ellington, Webster 2:39
3. Perdido Drake, Lengsfelder, Tizol 3:17
4. Mood Indigo Bigard, Ellington, Mills 5:12
5. Black and Tan Fantasy Ellington, Miley 5:14
6. The Twitch Ellington 3:14
7. Solitude DeLange, Ellington, Mills 3:39
8. Do Nothin' Till You Hear from Me Ellington, Russell 1:55
9. The Mooche Ellington, Mills 5:39
10. Sophisticated Lady Ellington, Mills, Parish 3:04
11. Creole Love Call Ellington 3:57
Cootie Williams Trumpet
Mercer Ellington Trumpet
Cat Anderson Trumpet
Hebie Jones Trumpet
Lawrence Brown Trombone
Buster Cooper Trombone
Chuck Connors Bass Trombone
Paul Gonsalves Reeds
Jimmy Hamilton Reeds
Johnny Hodges Reeds
Russell Procope Reeds
Harry Carney Reeds
Duke Ellington Piano
John Lamb Bass
Sam Woodyard Drums
Brad McCuen Producer
David Hassinger Engineer
Recorded on May 9,10,11 1966 at RCA Studio in Los Angels, Calfornia
1966年、サドメルを始めてとして新しくビッグバンドがいくつか生まれても、ジャズ雑誌の人気投票ではまだデュークエリントンオーケストラの王座の地位は揺るがないものであった。ELLINGTON’66とタイトルされたビートルズナンバーなどのPOPSのヒット曲集を出したかと思えば、バージンアイランドのコンサートでは意欲的にオリジナル曲にも挑戦することもあった。そのエリントンが2回目の来日したのは'66年の5月13日。その直前にエリントンオーケストラはロスアンジェルスに立ち寄り、そこで録音したのがこのアルバムだった。
音楽を聴くためのメディアの変化は時代と共に劇的に変化している。まずはSPレコードからLPレコードへの転換、劇的に音質がよくなり長時間の演奏を可能にした。40年後半から50年代にかけてジャズの世界が大きくモダンジャズへ発展した記録が今でも聴けるのは、テープレコーダーとこのLPのお陰だ。そのLPレコードも58年にはステレオが登場し、60年代に入るとモノラル盤に代わって主流になった。そして80年代以降はCDの時代へ。今ではついに、ダウンロードの時代になってメディア自体が存在しなくなってしまった。エリントンオーケストラは、まさにこのメディアの変遷の歴史に合わせて、各時代のエリントンナンバーを記録し続けている。
フランクフォスターが来日して自分がリーダーとなるアルバムを制作することが決まった時、そのアルバムのために「日本組曲」のスコアを書いた。エリントンが来日前に録音したのは残念ながら日本組曲ではなく、十八番のエリントンナンバーだった。ただし、ステレオ時代に入ってからは初めて録音されたエリントンナンバーの名曲集であった。確かに、A列車から始まるお馴染みの曲は実に良い音で録音されている。各楽器の分解能がいいせいか、エリントンオーケストラの独特のハモリがよく分かる。特に低音の音域で。サックスセクションはハーリーカーネイのバリトンがサックスセクション全体をリードすることが多いことを再認識した。
有名バンドの長年慣れ親しんだ有名な曲だと同じアレンジの譜面を後生大事に使いがちだが、エリントンの場合はソロも含めて時代によって微妙に違えている。そして、このアルバムの特徴はエリントンのピアノがいつもよりも多く登場することだろう。
ビッグバンドの時代の流れの中で何となくこの’66年頃が時代の節目のような気がするが、エリントンは新たな試みではなく、自分達の実力をアピールするために、持ち歌でもう一度直球勝負に出たような気がする。66年の来日時のコンサートに関する日本のバンドリーダーや評論家達のアンケートが当時のスイングジャーナルに載っていた。二度目の来日ということもあり、エリントンオーケストラの良さは認めるものの、何か物足りなさがコンサートでの選曲にあるような意見が多かった。日本のファンは日本のステージで「日本組曲」を期待していたのかもしれない。
自分が持っているのは、当時の国内盤でこの頃多かったオリジナルとは異なったデザインのペラジャケ。味も素っ気もないが、自分にとってはジャズのレコードを買い出した頃の思い出のアルバム。久々に聴きながら高校生だった当時の事を思い出した。
1. Take the "A" Train Strayhorn 4:42
2. I Got It Bad (And That Ain'tGood) Ellington, Webster 2:39
3. Perdido Drake, Lengsfelder, Tizol 3:17
4. Mood Indigo Bigard, Ellington, Mills 5:12
5. Black and Tan Fantasy Ellington, Miley 5:14
6. The Twitch Ellington 3:14
7. Solitude DeLange, Ellington, Mills 3:39
8. Do Nothin' Till You Hear from Me Ellington, Russell 1:55
9. The Mooche Ellington, Mills 5:39
10. Sophisticated Lady Ellington, Mills, Parish 3:04
11. Creole Love Call Ellington 3:57
Cootie Williams Trumpet
Mercer Ellington Trumpet
Cat Anderson Trumpet
Hebie Jones Trumpet
Lawrence Brown Trombone
Buster Cooper Trombone
Chuck Connors Bass Trombone
Paul Gonsalves Reeds
Jimmy Hamilton Reeds
Johnny Hodges Reeds
Russell Procope Reeds
Harry Carney Reeds
Duke Ellington Piano
John Lamb Bass
Sam Woodyard Drums
Brad McCuen Producer
David Hassinger Engineer
Recorded on May 9,10,11 1966 at RCA Studio in Los Angels, Calfornia
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